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しおりを挟む父は見舞いに訪れた時、リンジーベルの部屋の寝室の方から微かな声がしたと言った。
「私は、ゆっくりと寝室の扉の方へと近づいた。聴こえた声はリンジーベルの喘ぎ声だった。」
嘘でしょ?!じゃ、まさか相手はスタッド?!
「すぐに甲高い大きな声がした。その後、スタッドの声がした。彼らの会話はおぞましかった。」
ー・ー・ー・ー
『俺もイクから股を閉じろ。』
『ふふ。すぐに出そうね。』
『パンパンだからな。……うっ!触るなよ。飲むのか?』
『今日は嫌。』
『あぁ、早くナカにぶちまけたいなぁ。一番奥で。』
『あと半年よ。アトラスと結婚したら純潔じゃなくなるから、その後、ね?』
『……ふう。見ろよ。胸の上も腹の上も俺の子種塗れだな。これをナカで出したら孕むんじゃないか?』
『なにバカなこと言ってるのよ。』
『俺の子が公爵家の子になるってのも面白いよな?』
『ダメよ。フルールと楽しみにしているの。お互いの子が恋仲になってくれたら嬉しいわねって。』
『そっかぁ。どっちも俺の子になったら近親相姦だもんな。同性なら問題ないけど。』
『子供の性別は産むまでわからないのよ。そんな賭けはできないわ。』
ー・ー・ー・ー
「そんなおぞましい会話を耳にした後、リンジーベルの母親が私たちに挨拶するためか部屋までやってきたんだ。部屋の扉は開きっ放し。『どうしたの?』と母親が私に聞いた。そこで私は寝室の扉を開けた。」
その時の父の心情を思うと、胸が痛い。でも一緒にいた母はどこにいたの?部屋の入口?
「急に扉を開けられたリンジーベルとスタッドは、私を見て驚いていた。『違う』とか『これはっ』とかアタフタ言い訳をしようとしていたが、リンジーベルの母親が寝室を覗いた。その時にフルールも見てしまった。」
父の深い後悔が窺える。
母に見せるべきではなかったのだろう。
浮気を耳にするのと目にするのとでは、心の傷の深さは遥かに違うはず。
「フルールは倒れ、リンジーベルの母親は裸でスタッドの子種塗れのままの娘を何度も叩いていた。」
母は倒れたのね。
スタッドという婚約者を、母は信じていたし愛していた。ひどい裏切りだわ。
「私はフルールを抱き上げて、婚約破棄の話し合いは後日と言って屋敷を出た。玄関の控室で待っていたフルールの侍女を連れて馬車に乗り、フルールの屋敷に向かった。
フルールが倒れた経緯を、私は侯爵夫妻に話した。当然、激怒していたよ。」
あの温和な祖父と祖母でも許せるはずがないわ。
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