男女の友人関係は成立する？……無理です。

18.

　
　
父と母はそれぞれ婚約者に浮気をされて、婚約破棄になっていたようだ。


「私も両親に見たこと聞いたことをそのまま話し、リンジーベルとの婚約破棄を願った。もちろん両親は、誰の種を孕むかもわからない女を嫁にはできないと同意してくれた。
すぐさま、婚約破棄を申し入れて、翌日に話し合いの場がもたれた。」
　

少しでも早く縁を切りたい気持ちだったのね。


「リンジーベルの父親、侯爵は夫人が現場を見ていたこともあり、平謝りだった。だが、挿入まではしておらず、リンジーベルは純潔は失っていないから、何とか許してもらえないかと懇願してきた。
だから私は、二人がしていた会話をそのまま侯爵に伝えたんだ。結婚後も関係を持つ気があったどころか、スタッドに関しては孕ませても構わないと思うような発言まであったということを。」
　

女性がダメだと言っても、ナカに子種が放たれてしまえば、妊娠する可能性はあるのだという。
避妊薬はそこまで万能ではないし、不妊にもなりやすい。　

　
「それに、リンジーベルの侍女は二人の関係を知っていたのではないかと思った。誰も部屋にいなかったからね。姉弟みたいな従弟でも、成人した男女を二人きりにはしてはいけない。そこも侯爵に問い詰めた。すると、彼らの関係は二年前からで、侍女たちも知っていたらしい。知らなかった侯爵はスタッドの出入りを許していたことを後悔していたよ。」


後悔してもどうしようもない。
侍女たちはリンジーベルではなく侯爵家に雇われているのだから、報告するべきだったのだ。

　
「侯爵家は婚約破棄を受け入れるしかなかった。慰謝料の額も決まり、終わった。
リンジーベルは話し合いの場には来なくてね、私が最後に彼女に会ったのはベッドの上の彼女だ。」


それはおそらく、今でもという意味で父は言ったのだと思った。
　　

「同じように、近々フルールもスタッドとの婚約を破棄するだろうと思った。しかし、少し経っても話し合いはされていないようだった。
私は婚約破棄の二日後には学園に行ったが、リンジーベルとスタッドはもちろん、フルールも何日経っても来なかった。」


話し合いが終わらないことには学園どころではないものね。


「私は心配になり、フルールの元を訪れた。スタッドとの婚約破棄を手伝えるものなら手助けしようとも思ったんだ。おそらく、スタッド側が言い訳をして受け入れないのではないかと思ってね。
ローゼマリーの前でこんなことは言いたくないが、男側は、結婚前に経験があろうと不問にされるからね。婿に入る身で愛人を囲って子供を産ませていたら問答無用で婚約破棄にできるが。」　


遊んだ程度で婚約破棄は難しいということらしい。