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しおりを挟む学園で孤独に過ごすココミアに声をかけたのは、ある伯爵令嬢であった。
もちろん、何度か話をしたこともあり悪い印象を感じたこともなかった。
「ありがとう。でも、迷惑にならないかしら?今、噂が……」
「大丈夫よ。私たちは正しい情報を聞いているわ。気にしないで。」
なるほど。彼女のグループは正確な情報収集を行い、みんながちゃんとした経緯を知っているのだろう。
ビアンカの都合の良い言い分は、いずれ事実ではないと知れ渡る。
ビアンカは自分の行いが更に立場が悪くなるように追い込んでいることに気づかないのかしら。
侯爵の対応にケチつけていることになっているのよ?
稀にあるって聞くわ。
愚かな令息・令嬢をあぶり出すために学園側も静観することがあるって。
暴力的な行為がないのと、私が平気そうだから咎められないだけなのに。
たかが一週間でも、真偽を確かめることなくあからさまに私を非難した者たちの未来は明るくないわね。
こうして私は、課題だけでなく休み時間や昼休憩時も一緒に行動する友人ができたことで、孤独ではなくなった。
公爵令嬢1人、侯爵令嬢1人、伯爵令嬢3人、そこにココミアが加わった。
ココミアがこのグループに加わったことで、下位貴族の中でも静観していた者たちは気づいた。
ビアンカが嘘をついているのだと。ココミアに非がないのだということを。
なぜなら、このグループの公爵令嬢ラフレンツェは第二王子殿下の婚約者。
王族の婚約者が、問題のある令嬢を取り込むはずがないのだから。
ココミアがラフレンツェのグループに入ったことを知ったビアンカは、愚かにもラフレンツェに訴えかけた。
「ラフレンツェ様、ココミアに騙されてはいけません。
彼女は私の婚約者を誘惑するような女なのです。
ここにいる皆様の婚約者も誘惑するかもしれません。近づかない方が賢明です。」
「……それは私たちが愚かだと言っているの?それとも婚約者たちが愚かだと?
私たちはココミア様がそんなことをする令嬢とは思っておりません。
先日の侯爵家での詳細も聞いておりますが、彼女に非はないかと。
あなたが婚約解消されたのは自業自得だと思いますよ。」
「なっ!ひどいです。私は何もしていないのに。ココミアの騒動に巻き込まれたのですよ?」
「……わざわざ巻き込まれに行ったのはあなたでしょう。
こうなると、騒動を起こしたあなたに侯爵様が下した処分がまだ甘かったように思いますね。」
「どういうことですか?他家の婚約解消にまで口出しした侯爵様も悪いのです。」
子爵令嬢であるビアンカが堂々と侯爵様が悪いと言葉にするなんて……愚かすぎる。
周りで聞いていた者たちも驚いた。
「……あなた、侯爵様に感謝するべきなのに正気でそんなことをおっしゃるの?」
「感謝?わからないわ。浮気したのはデント様です。
婚約を解消するなら私が慰謝料を貰えるはずなのに、侯爵様の言葉で私が悪くなったのよ。
感謝できるはずなんかないじゃない!」
そもそも、浮気じゃないってところから理解してほしいわね。
「……本気でわかっていないのね。
侯爵家で騒動を起こしたあなたは、まだここにいるじゃない。そのことを感謝するべきなの。
侯爵様のお気持ち次第で、平民に落とされてもおかしくなかったのよ?
それに、伯爵家以上には正しく経緯が伝わっているわ。
今後、あなたを招待する貴族はいるかしらね?」
「侯爵家での騒動って言っても、大げさに考えすぎだと思います。
だって、婚約者が浮気していたのですもの。声を上げることの何が悪いのかわからないわ。
そんなことで平民落ちだなんて、侯爵様が非難されるんじゃないかしら。」
ダメだ。ビアンカには高位貴族の常識は何も通じないようね。
「……あなたが何一つ反省していないということがよくわかったわ。
ココミア様が私たちの婚約者を誘惑するなどという、あなたの妄言は聞き入れません。
なので、もう私たちにもココミア様にも近づかないでね。」
ラフレンツェ様は、そう言ってビアンカの前から立ち去った。私たちも後に続く。
もう、ビアンカと話す価値など何もないというように。
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