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しおりを挟む婚約を解消したビアンカが、ココミアを非難している。
そのことをデントが知った頃にはココミアは第二王子の婚約者である公爵令嬢のグループに囲われていたのでホッとした。
デントが浮気をしたからビアンカとの婚約が解消されたという噂は耳にしていた。
しかし、それは侯爵家での騒動を聞きかじった者が真偽を知らずに話しただけだと思っていた。
『浮気したのか?』と直接聞かれたら、『元婚約者の勘違いだ』と返事をしていたのだ。
まさか、ビアンカ本人が学園で言いふらしていたとは知らなかった。
あれは浮気ではないと両親や侯爵も認めた。
なのに浮気だと言いふらすビアンカは悪質である。
デントに対してもココミアに対しても名誉棄損になるため、ビアンカの子爵家に抗議文を出した。
ココミアが公爵令嬢のグループに入ってから、ココミアを非難した者たちは焦って情報収集をした。
ようやく正確な経緯を知った時にはもう遅い。
誤った情報に踊らされ無実の令嬢を非難することに加担するような者がいる家とは付き合いを断ると言われたり、跡継ぎを変えなければ付き合いを継続しないと言われたり、婚約を解消されたり、援助を打ち切られたり……
親から叱責された令息・令嬢の怒りは、もちろんビアンカに向いた。
「嘘つき!あなたの言うことを信じたのに!」
「婚約解消は自業自得じゃないか!」
「侯爵様の温情を理解できなかったの?」
「お前のせいで俺の将来が狂ったじゃないか!」
いやいや、ビアンカの言い分だけを信じた自分たちにも責任があるのよ?
誰も私に確認に来なかったし。
そりゃ、都合の良いように嘘をついたビアンカが一番悪いけどね?
そんなことを思っていたら、みんなに責められたビアンカの怒りの矛先がココミアに向いた。
「何よ何よ何よ!ココミアが私の婚約解消の理由なのは間違いないじゃない!
あんな紛らわしいことがなければ、私が侯爵様に怒られることもなかったわ!
高位貴族は誰も私を誘わない?それを仕向けたのがココミアよ!私は悪くないわ!!!」
癇癪を起こしたように怒り狂うビアンカに、誰も同意はしなかった。
侯爵家での出来事は単なるキッカケであって、いずれ婚約は解消されただろうと誰もが思った。
「いい加減にしてくれないか?君との婚約解消にココミア嬢は関係ない。」
騒ぎを聞いて駆けつけたデントが、ビアンカに言った。
「侯爵家での騒動がなかったとしても、近々僕は婚約解消を言うつもりでいた。」
デントのその言葉に、ビアンカは驚いて言った。
「何年も婚約している私を捨てるつもりだったの?
ココミアじゃないなら相手は誰?いったい誰が浮気相手なのよ!」
「浮気相手なんていないよ。
君のその思い込みが激しいところと人の意見を聞かないところに疲れたんだ。
それに、まだ子爵令嬢だというのに将来の伯爵夫人だとあちこちの店に触れ回る。
君の言動のせいで、僕はいろんな人から憐みの目で見られていたんだ。」
「……何よ。別に間違っていないじゃない。伯爵家に嫁いだら将来は伯爵夫人でしょ?」
「まだ結婚をしたわけではないのに、普通は自分から触れ込まない。
君には謙虚さというものが全くないね。
連れて行ったことがない高位貴族の夜会に今回連れて行ったのは両親にも見てもらいたかった。
君が言う将来の伯爵夫人として相応しくないというところを。」
そして、見事に嫁として相応しくないという言動を伯爵どころか大勢の高位貴族に見られたというわけだ。
「あ、あのくらい、寛大になれない侯爵様がおかしいのよ!」
ひきつった笑みで侯爵を貶すビアンカは、もうどうしようもなかった。
さすがにこれ以上はビアンカ本人だけでなく学園にも苦情が来そうだと思った教師は、ビアンカを強制的に連れ出そうとした。
その最中、ビアンカは怒りがおさまらなかったのか叫んだ。
「私を捨てるような薄情な男と結婚してくれる女なんていないわ!
そこにいるもう一人の薄情なココミアと結婚したらどう?2人して社交界で笑われたらいいわ!」
ビアンカの笑い声が廊下に響いていた。
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