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しおりを挟む王宮に着いて、側妃として与えられた部屋に入ったローザリンデは自分付と紹介された侍女キャロルに早速お願いをした。
「ひと月後、私の従妹が王宮侍女として働き始めるの。
王城勤務になるって言ってたけれど、私の侍女にお願いできないかしら?」
「王城勤務予定の侍女を、ですか。失礼ですが、ご本人様の了解は取れているのでしょうか。」
「驚かせたいの。王城で働くつもりが、私の侍女になれるなんてあの子も喜ぶわ。」
「……一応、ローザリンデ様のご希望は伝えておきます。ですが、確実にできるとは言えません。」
「どうして?私は側妃になったのよ?王族でしょ?これくらい聞いてもらわなきゃ。」
「各担当場所に配属される前に、まず座学で様々なことを学びます。その後、研修があります。
それにより、合わない場合は配置転換もあり得ます。
この王宮勤務に配属になった場合でも、王族の方々の担当にすぐになれるわけではありません。
下積みと信頼を経て、配属となりますので。」
「ふ~ん。でも私の従妹なの。早く側に置きたいって伝えてほしいわ。」
「……かしこまりました。」
「そうそう、殿下のお渡りは、もちろん今日よね?」
「本日は顔合わせのみと伺っておりますが。」
「あらそうなの?公爵家で体も磨いてきたのに。夜、寝所でお待ちしていますって伝えて。」
「……かしこまりました。」
お茶を出して、ひとまず部屋から出たローザリンデ付の侍女キャロルは内心混乱していた。
アレが公爵令嬢?我が儘令嬢じゃないの?
聡明で人望もある模範的な完璧令嬢って聞いていたのに。
彼女は自分が我が儘を言ってるという自覚がないのかもしれない。
王宮に来て早々に2つも自分の意見が通るのが当たり前だと思っているなんて。
これから毎日、自覚のない我が儘を言われ続ける予感がして、専属侍女をやめたくなっていた。
ローザリンデに言われた2つのことを侍女長に報告した。
「ローザリンデ様の従妹ですか。近しい者が側にいると安心するのかもしれませんが。
その従妹の令嬢の意見を聞いてからですね。
お互いに望むのであれば、研修で適正を見ましょう。
王太子殿下のお渡りの方は、お望みなのであればそうしましょうか。
そのために来られたのですからね。
殿下にはそのように伝えてもらいます。」
「ローザリンデ様は従妹を驚かせたいと言っておられました。
そのご希望には添えないということでしょうか。」
「そうね。確認もせずにいきなり配属するわけにはいかないわ。
気に入っているからといって、誰でも王宮侍女にされては困りますからね。」
「わかりました。決まり事のため驚かせるのは無理だとお伝えします。」
「お願いします。……何か他にもありますか?顔に出ていますよ?」
「ローザリンデ様は……王族になったのだから自分の意見が通ると思われている節があります。」
「あぁ、ひょっとして、勘違い側妃様かも。」
「勘違い側妃様?」
「ええ。側妃としての暮らしを貴族と同じように考えて嫁ぐ勘違い側妃様。
立場は貴族より上にはなるけれど、一番不自由なのは側妃様なのよ。
それを知らないまま側妃になられたのかもしれないわね。
側妃という地位に浮かれて実情を覚えていないのではないかしら。
公爵令嬢だったのですから、必ず一度は勉強しているはずですからね。
おそらく、これから毎日のように現実を知って泣くか喚くかの暮らしが慣れるまで続くわね。」
ため息交じりにそんなことを言う侍女長を見て、キャロルはやはり専属侍女をやめたくなってしまった。
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