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しおりを挟む侯爵夫人は倒れることなく二人に聞いた。
「一体なぜそんなことになっているのですか?」
レーシアは当たり前のように答える。
「お義母様、これは熱を下げるための民間療法です。
男性の場合、子種を出すのは体に溜まった熱も一緒に出すことになるんです。
それにこの行為って汗をかくでしょ?それも効果があるんです。」
「でも…妻は私です。あなたがすることではありません。早くどきなさい!」
侯爵夫人の動揺も伝わることなく、侯爵に跨ったままレーシアは告げる。
「お義母様、いいことを思いついたんです。
侯爵家の血筋のために、ファルク以外の男とは交わるなと言いましたよね?
でも、お義父様がいました。侯爵様です。血筋です。
昼間はお義父様、夜にファルクと交われば子供はどちらの子でも侯爵家の子です!」
侯爵夫人は今度こそ本当に倒れそうになったが、それでも倒れない自分が恨めしく思った。
すると、レーシアはまた余計なことを言う。
「お義父様、また大きくなってきましたね。あ、すごい。」
少し体を揺するレーシアを侯爵夫人は信じられない思いで見ていた。
しかし、我に返り、震えながら部屋から出て行った。
侯爵はレーシアが言った子供という言葉に反応してしまった。
自分にもまだその機能が備わっているのだと実感したのだ。
妻はファルク一人しか産めなかった。というか、あまり閨の行為を好まなかったのだ。
ファルクを出産後、数回で拒否されたのをきっかけに閨を共にしなくなった。
侯爵は娼館にも行くことはなかったし、愛人もいなかった。
なので、今、レーシアが自分の上で腰を振った体位も初めてだった。
侯爵は再び突き上げ始め、レーシアは上体を後ろに反らせながら喘ぎ始めた。
「あん…グチュグチュ…音、すごい…はぁ…んん…気持ちいい…ああ!」
レーシアは潮を吹いた。服の下と侯爵の腹辺りが濡れている。
締め付けに耐えた侯爵は上体を起こし、逆にレーシアを押し倒して激しく出し入れし始めた。
「あ、っ待って…まだ…あ、あ…また…イクっ!」
今度は侯爵も締め付けに耐えることなく中に子種を放った。
「お義父様、すごく気持ち良かった。また子種くれる?」
「ああ。お前が私とファルクだけに抱かれるならな。」
「うん。わかった。侯爵家の子供を産むためだもんね。
ファルクは夜って言うから、お義父様は昼間ね。時間ある?」
「ああ。昼食後の休憩時でいいだろう。長時間は無理だがな。」
「嬉しい。ありがとう。」
抱きついて喜びを露にする息子の嫁を撫でながら、侯爵は考えを巡らせていた。
侯爵の熱はすっかり下がっていた。
この民間療法が効いたのか、ありえない事態が起こったショック療法か、定かではない。
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