愛人の娘だった私の結婚

しゃーりん

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王妃と王太子妃とのお茶会を終えてバーク侯爵邸に戻ったティアラは精神的にとても疲れていた。


「まさか、公妾の打診をされるなんて。」 
 

そうは言っても、今の王家に公妾制度はもうない。
 
昔、貴族の妻を一定期間、王族の愛人にすることで見返りを得るという制度が公妾と呼ばれていた。 

国王から一夜の情けを得ることや、気に入られて召し上げられることが誉だと言われていた時代があり、だが実情は泣く泣く閨を共にさせられていただけだ。 
 
夫の元に戻っても、以前のようには戻れなかった夫婦もいたというし、国王との子を妊娠してしまった妻もいるという。
 
貴族も同様に何人も愛人を囲う者が増え、国の乱れが深刻になったことで新たな王が公妾制度の廃止を宣言した。

王族は一夫多妻(正妃と側妃)、貴族は一夫一妻制である。
側妃制度が廃止されていないのは、正妃に子供ができなければ継承者争いになるから。

王妃は言った。


『妻は大きく四つに区別できるの。
一つ目は、夫を他の女性と共有することができる妻。
二つ目は、夫の相手が自分だけなら、夫への好意の有無はともかく閨を共にできる妻。
三つ目は、夫の浮気を知ったら、閨を共にしなくなる妻。
四つ目は、子供を産む役割を終えたら、閨を共にしたくない妻。』

『私は、一つ目、ということですね。』


ティアナはそう答えた。


『ええ、そうね。わたくしたちは四つ目なの。』


つまり、子供を産む役目を果たしたからもう閨は共にしていない?


『女と違って男は適度に欲の発散が必要になると知っているかしら?』

『教育でそう聞きました。自分ですることも可能だと。』

『ええ。だけど、どうやらそれでは満足度が違うらしいの。女にはわからないことだけど。』


王妃が呆れたようにそう言った。

要するに、だから男は浮気をしたり娼館に行ったりするのだということだろう。 

 
『王族でも男は男。妻が相手をしなければ、誰か女性が必要になるわ。それが側妃の役割でもあるけれど、側妃を据えたら簡単には変えられないから決めるのも難しいの。』

『それは、そうですね。』


国王や王太子の側妃になるために近寄ってくる女性も少なくない。
未婚の令嬢を相手にすれば、責任が生じる。

 
『実は、こうしてお茶会をするのはね、一時でも夫の相手をしてくれる夫人を見極めるためなの。』


つまり、夫を裏切れる夫人を探しているということ?
愛人を見繕って夫に勧めるのも妻の役目なんてさすが王族。


『それは、国王陛下と王太子殿下のどちらのお相手を?』


国王陛下は50歳台、王太子殿下は25歳のはず。


『今探しているのは息子の方よ。』


王太子殿下のお相手らしい。
王太子ご夫妻には王子殿下が二人いるから、もう行為はしていないのね。

 
『ティアナ夫人には、ひとまず週に一度、相手をしてもらいたいの。どうかしら?』


どうかしら?と言われても。


『夫には秘密なのですよね?知られた場合はどうなるのでしょうか?』

『ちょっとした罪はどんな貴族にもあるのよ。』 


それと引き換えに文句は言わせないということらしい。
それに、愛人のいる男は妻の浮気も気にしないものなのだそうだ。


『少し考えさせていただいてもよろしいでしょうか?』

『ええ。いいお返事を待っているわ。』 


またお茶会に招待すると言われ、ティアナは帰ってきた。

 

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