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ティアナの兄ギルバートは、アイザックにティアナが再婚することを告げ、不法侵入については過去のティアナに対する感謝と相殺することで不問にすると言い、アイザックは隣の屋敷に帰された。
その時のアイザックは、自分のしでかしたこととティアナの再婚を聞いたことで呆然としていたという。
ルークのためにも、真面目な父親に戻ってほしいとティアナは思った。
その後、王家からマルセン伯爵家にティアナを王太子殿下の側妃に望む書面が届いた。
両親と兄は、ティアナが側妃になることは現状での最善だと認めたらしく、受け入れてくれた。
義姉シェリルは唖然とした後、倒れた。
ティアナがいなくなれば、シェリルも心穏やかに暮らせるだろう。
父の愛人ジェーンの娘として生まれたティアナ。
母エレナと同じく、庶子の母となる経験をし、
父フレデリックと同じく、配偶者以外の異性と不貞をし、
実母ジェーンと同じく、妻のいる男性の愛人になる。
しかし、愛人と言っても側妃。妻である。
正妃に認められている第二の妻というところが、普通の愛人とは違うところ。
もう誰もティアナを批判することはできない。
サイラスと結婚し、庶子オリヴィアの母になれと言われた時は、『あぁ、これが愛人の娘である私に相応しい結婚』だと思った。
だけど今は違う。
愛人の娘として生まれても幸せになっていいと思っている。
ただ、してはいけないことはある。
望まれていないのに、子供を産むこと。
実母ジェーンは父の足がいつか遠のくことを恐れて子供を盾に選んだのではないかと思う。
命を軽んじた身勝手で幼稚な行為。
子供が父親と一緒に暮らせない生活。
自分と同じような身の上にしてしまう子供にジェーンは何も思わなかったのだろうか。
ジェーンを愛人にした父がティアナの存在を一生悔やみ続けるのは自業自得。
しかし、母を傷つけたことは愛人として最低ではないか。
愛人は貴族であろうが平民であろうが身を弁えるべきである。
愛人は正妻を敬わなければならないとティアナは思う。
祖母は愛人だった。
母も愛人だった。
そして自分も、側妃という愛人になる。
ティアナは子供を産まない。
多くを望まず裏切らず、信頼と愛情があるだけ。
だからこそ、ディランを心から愛し、ディランも愛してくれる。
ディランの癒しになり、情欲を受け止める存在に。
ディランは甘え上手で、ティアナは甘え求められることが嬉しくて。
ティアナが欲していた幸せは、それだけ。
これが、愛人の娘として生まれたティアナの幸せな結婚である。
<終わり>
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