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しおりを挟む僕は新しく妻となった女性を抱けるとは思えなかった。
彼女も、前の妻との離婚がショックで僕が落ち込んでいるままだと思っており、何も言ってこなかった。
ライザが離婚して修道院に行ったことは知られているが、子供を流産して産めない体になったから離婚したということになっている。
バリーの子をライザが産んだということは、僕の家にもライザの家にもバリーの家にも都合の悪いことだったから。
子供はバリーの愛人が産んだことになっているという。
だが、僕は不思議だった。
ライザを愛人にしたがったバリーが、修道院に行くことを許した?
あの男なら自由になったライザを監禁しそうな気がしたから。
子供だけ引き取ったことが、どうしても腑に落ちなかったのだ。
そんな時、バリーの妻であるアデラインを見かけた。
彼女はライザとも仲が良かったと記憶している。そしてライザが生んだ子を育てている。
一体どういった経緯だったのか知りたい。
それに、ライザのいる修道院がどこかも知りたかった。
バリーに口止めされている可能性もあるが、誰も教えてくれない僕が監禁されていた間の出来事を教えてくれるように頼んでみた。
アデラインは少しの時間なら、と言ってくれた。
僕の両親が、ライザの産んだ子供の引き取りと慰謝料を求めに侯爵家を訪れた。
侯爵夫妻はおらず、バリーは独断で了承した。
その晩、バリーはアデラインと離婚すると言った。
そして、ライザと妻にする、と。
ライザを、彼女が生んだ男の子と一緒に侯爵家に迎え入れると言ったのだ。
侯爵夫妻は、姪のライザに手を出したバリーを叱り、アデラインの家との付き合いがあるために離婚は認めないと言った。
ヒューイットと離婚したライザが子供と一緒に侯爵家に入るなどと世間に知られると、不貞は一目瞭然で妻を追い出した不義理者と家名が地に落ちる。
そんなことをして誰が幸せになれるのか。大バカ者だとバリーは言われ、それでも諦められない。
そんな息子を見て、ライザとアデラインがいいなら愛人したらいいと侯爵は言った。
そして、子供だけは庶子として引き取ることをアデラインに認めてほしい、と。
アデラインはそれを認めた。アデラインの子供は女の子だったから。
だが、それをアデラインから聞いたライザは、あんな男の愛人になんてなりたくないと断った。
アデラインはライザがバリーと関係を持ったのは同意だと思っていた。
襲われたということを知らなかったという。
バリーから逃げるには、修道院に行くしかないとアデラインが言ったらしい。
しかし、ヒューイットの家に慰謝料を払ったのはライザの家も同じで、これ以上、親を頼ることはできないとライザが言ったので、修道院に入る寄付金はアデラインが準備したらしい。
子供をそのままアデラインに渡し、貴族として身を寄せるための一時金は馬車に、追加の寄付金は後で送るからとライザを急いで修道院に行かせた。
そうでないと、バリーに捕まってしまう恐れがあるから。
バリーは、ライザが修道院に入ったと聞いて怒り、取り返しに行こうとしたが、醜聞になるようなことをするなと侯爵に叱られて諦めた。
「ライザの子供は侯爵家の跡継ぎになるわ。心配はいらない。
実家に頼んで寄付金を多めに用意してもらったから、ライザは修道院で苦労しないわ。
穏やかに過ごしていけるはずよ。」
「そうでしたか。いつか、ライザと暮らせるように僕は両親を説得するつもりです。」
「あら。今の奥様は?子供はどうするの?
ライザと再婚は難しいわ。子供ができないってことになってるもの。
あなたには子供が必要なんじゃない?
跡継ぎを育てないと、ライザは迎えに行けないわ。
あなたとライザが一緒に暮らせるようになるのは、その後じゃない?」
「子供……跡継ぎ、ですか。子供が育つには時間がかかりますね。
ライザは待っていてくれるだろうか。」
「手紙を書いたら?どの修道院にいるかは教えられないけれど、私が代わりに送るわ。」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
僕は、どうしてどの修道院いるかを教えられないかを理解していなかった。
ただ、バリーに知られてはいけないのだと勝手に思っていた。
だが、それは僕に教えられない理由ではない。
どちらかと言えば、手紙を送るといったアデラインの方がバリーにどの修道院かを知られる可能性が高いのに。
そんなことを深く考えることもせず、僕はアデラインに感謝していた。
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