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しおりを挟むカティアナは自分が未婚の子持ちであるため、ロベルトに相応しくないと追い出されるのかと思っていたが、辺境伯夫人の様子からそうではないと気づいた。
「あの、私とロベルト様がお付き合いをしたり、結婚することに反対しないのですか?」
「あらどうして?」
「未婚の子持ちですし……」
「そんなこと気にしていないわ。ロベルトが人生を共にしたいと思える人があなたなのであれば、私はあの子の母として応援するだけよ。」
住処と仕事を失うかもしれないと思っていたカティアナはホッとした。
「そうでしたか。……実は、私も昨日、ロベルト様に同じことを言われまして。お付き合いや結婚より先になぜ妊娠なのか、わからなくて今日聞こうと思っていたんです。」
「まさか、ロベルトは告白もしていないの?」
あれは告白と言えるのだろうか?
「告白、らしきものはありました。」
友情ではなく情欲込みの愛情という表現を、告白ととっていいのであれば。
黙って話を聞いていたイーリスが何かに気づいたようだった。
「カティアナは結婚する気がなかったでしょう?だからじゃない?子供ができれば結婚する気になるんじゃないかってロベルトは思ったんじゃないかしら。」
そんな馬鹿な。
「それだわ!」
え?!そうなの?
「ロベルトがカティアナさんに好意を持っていることはわかっていたの。いつ告白するのかしら?ってずっと思っていたの。だけど、今の関係を壊したくないのか三年も経ってしまって、もうこのままなのかと半ば諦めていたのよ。今のままでもあの子が幸せならそれでもいいと思って。
だけど、結婚する気がないカティアナさんと結婚する方法を考えたのが”妊娠したら”ってことに繋がったんじゃないかしら。
あの子、あまり女性と話したことがないから恋愛事情に疎いでしょう?誰か周りに、妊娠がきっかけで結婚することが決まった人でもいたんじゃないかしら。」
それは……あり得るかも。
「ねぇ、カティアナさん。私が聞くのも変だけど、あなたの気持ちはどうなのかしら。あの子のこと、迷惑がっているようには見えないから嫌いなわけではないとわかるけれど、男として意識していないわよね?あの子の思いにも気づいていなかったようだし。
その気がないなら私からあの子に言うわ。正直に教えてくれないかしら。」
息子の恋愛事情に親が乗り出すのはいかがなものかと思うが、手順がおかしいロベルトを不安に思ってのことだとわかっている。
本人と話す前にその母親やイーリスに先に言うことになるとは思っていなかった。
「ロベルト様が私やアレックのそばにいてくれるのが自然に感じていて、アレックと親子みたいだなと思ったことも一度や二度ではありません。
一人で子育てをすることは考えられないほどロベルト様はそばにいて当たり前の存在になっているのだと気づきました。
ロベルト様が私を望んでくださるのであれば、アレックの父親になってもらいたいですし、夫婦になれたら嬉しいなと思っています。」
カティアナがそう言うと、夫人とイーリスは喜び、ロベルトをすぐに呼び出した。
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