父の幸せを壊したのは私

しゃーりん

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アンジェラが庭にいると聞き、アレックは向かった。


「アンジェラ!」

「アレック!おかえりなさい。」


思えば、こんなに離れたのは初めてだった。

三か月近く会わなかった間に、アンジェラは少し大人っぽくなったように感じた。

もうすぐアンジェラも15歳になる。
それに合わせてアレックは戻ってきたのだ。 
 

「実のお父様はどんな方だった?」

「親子だとわかるくらい顔は似てるなって思った。侯爵としてはちゃんとしてる人だけど、男としては母様に未練があるというか後悔してるんだろうなぁって思ったよ。」

「お姉様は?」

「結局、会わなかった。なんか、僕に合わせる顔がないって姉の方も後悔してるみたいだよ。」

「……ウジウジね。」

「うん。ウジウジのジメジメ父娘なんじゃないかな。二人は似ているのかも。」


仕事以外の私生活はどんよりしているのではないだろうか。
二人とも離婚してまだ半年も経っていないらしいから、今の暮らしに慣れていない時にアレックが訪れることになってしまったのかもしれない。 


「僕を侯爵家の跡継ぎにすることに不安はないと言ってもらえたよ。あとは学園の成績でがっかりされなければ問題ないと思う。」

「アレックは侯爵家の跡継ぎになることに不安はないの?」

「あるよ。もちろん。レイバンと一緒にいたから跡継ぎの大変さはわかるし、学び直さないといけないこともたくさんあるし。でも仕事は一人で全部やることでもないし、アンジェラと結婚したらアンジェラがそばにいてくれるだろう?
僕たちそれぞれの両親みたいに、支え合って、話し合って、笑い合っていれば、不安に思うことも何とかなるさ。」

「そうね。アレックと私は、……ウジウジじゃないもの。」
 

アンジェラの言葉に、二人で笑った。

 
「……実はね、ある伯爵家から私に縁談の申し込みがあったの。」


昔よりも政略結婚が減ったとは言え、学園入学前に婚約の話を進めておきたい貴族もいる。
爵位のつり合いは今でも重要視される傾向にあり、伯爵家も下位貴族との縁より高位貴族との縁を望むからだ。
 

「父はまだ考えていないと断ったみたいだけど、二学年上の方で焦っているみたいだから入学後に接触してくるかもしれないと言われたわ。」 

「そうか。……僕、入学前にエレイズ侯爵家に入ろうと思う。」


アンジェラは驚いた顔をした。
決めるのが早すぎる。そう思っているのだろう。
だが、覚悟を決めたから今でも一年後でも三年後でも同じことだ。


「エレイズ侯爵に言われたんだ。アンジェラと一緒にいるためには爵位が牽制になるって。今のままではその伯爵令息がアンジェラに接触しても強く出ることもできない。言いがかりをつけられて不利になるのはこっちだ。
だけど、侯爵家の息子であれば婚約を前提にアンジェラと交流していると知らしめることができる。」

「アレック、嬉しいわ。でも、そうなると一緒にここに戻ることはなくなるのかしら。レイラが、寂しがるわ。」

「レイラが王都に来ればいい。アンジェラのところでも伯母のところでも滞在できるだろう?それに、僕の妹なんだからエレイズ侯爵家に遊びに来ることも許してもらえるはずだ。」
 

両親はともかく、レイラが来るくらいは認めてくれるだろう。

しかし、エレイズ侯爵家に入るとなると、学園もそこから通うことになるのか。
楽しみにしてくれていた伯母には申し訳ないが、時々顔を出すことで許してもらおう。

 
 
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