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しおりを挟むデイヴィスが、娘ダイアナの誕生パーティーでのことを話すと、国王陛下は目を見開いて驚いていた。
「ジルベールが、男爵令嬢を連れて行った?ダイアナの誕生パーティーに?」
「ええ。男爵令嬢の参加を断ると、ジルベール殿下も帰るとおっしゃったので、そのまま帰っていただきました。殿下はダイアナを侮辱しすぎです。
こうした心労が重なり、ダイアナは記憶を失うことになってしまったのです。
婚約を解消すること、認めていただけますよね?」
国王陛下は眼球をあちこちに彷徨わせていた。
どうするべきか、頭を悩ませているのだろう。
「記憶を失ったのは、今朝のことなのだろう?」
「ええ。」
「すぐに戻るかもしれないではないか。」
やはり、そういうか。
「国王陛下、いつ記憶が戻ろうと、ダイアナとジルベール殿下は一緒に国を背負える夫婦とはなれません。
今でさえ、ダイアナに執務を押しつけている。王妃も今引き継ぐ必要のない執務をさせようとする。
記憶喪失はダイアナの心の悲鳴なのです。ご理解いただけないようであれば、ダイアナは病気療養として領地に連れ帰りましょう。ダイアナに傷がつこうと構いません。王家で飼い殺しにされるよりも、よほどいいでしょう。」
デイヴィスは何が何でもダイアナを王家から自由にしてやりたかった。
国のために努力しようとも、苦楽を共にしてくれる相手がいなければ空しいだけだ。
執務をするだけならば、王太子妃や王妃でなくともいいではないか。
「まだ婚約者であるダイアナに頼っていたのは、確かにこちらも悪かった。だが、いつか背負うことになるものを王妃は少し早めにしただけのことだ。そのことは見直す。ジルベールの執務も本人にさせる。それでどうだ?」
そういう問題ではない。
「国王陛下は、ジルベール殿下が男爵令嬢に産ませる子供を将来の王にする気なのですか?」
「男爵令嬢は妊娠しているのか!?」
違う。そうなるかもしれない未来の話だ。
「もしこのままダイアナとジルベール殿下が結婚すれば、ダイアナを妃にしながら執務ばかりさせ、ジルベール殿下は好みの令嬢を閨に呼んで孕ませる。それが男爵令嬢になる可能性が高いのですが、それでも構わないのですか、と言っているのです。」
この国の側妃制度は廃止されている。
何代も続けて、妃が産んだ子が王位を継いできたので問題なかった。
愛人との子は一代伯爵か嫁ぐ運命であり、王族として扱われない。
「ダイアナが産めば問題なかろう?」
「ダイアナと婚約解消できなければ、ジルベール殿下は側妃制度を復活させるおつもりですよ。」
ダイアナはお飾りの妃として、執務だけをさせられるのだ。
側妃制度の話を聞いても、ダイアナは『子供は愛された方が幸せだから』と言っていた。
ダイアナが産むのではなく、ジルベールが自分で選んだ女性との間に産まれた子なら愛するだろうという意味だ。
ちなみに側妃制度の話は、一昨日にダイアナから聞いたばかりだった。
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