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しおりを挟む両親や近しい身内が揃ったところで、兄ルシオの葬儀は執り行われた。
兄は跡継ぎという立場でまだ爵位を継いでいたわけではないので、王都にいる貴族たちが参列するほどではなく、葬儀後に訃報は広まることだろう。
しかし、来客に煩わされることなく領地でひっそりと行ったことで、ゆっくり兄とお別れをすることができた。
兄嫁は気の毒だが、彼女の泣き叫ぶ声がなくてよかったとケビンは思ってしまった。
カトリーヌよりも長い期間を兄弟として過ごしてきたのだ。
兄夫婦は、婚約して半年、結婚して五か月。
わずか一年足らずの関係なのに、カトリーヌが一番つらい思いをしているというような振る舞いを目の前で見てしまったら、兄との別れがどこか白けた気になってしまっていたかもしれない。
そう思ってしまうほど、ケビンはカトリーヌのことを知らなかった。
ケビンにとって、カトリーヌはまだ他人なのだろう。
だから、ここにいなくてよかった、などと思ってしまい、兄には申し訳ない思いがした。
「カーマイン伯爵家は、ケビンが跡継ぎになるのよね?」
叔母がそう聞いてきた。
父が答えた。
「そうなるな。ケビン、騎士を辞めて家に戻って来なさい。」
「……わかりました。」
騎士は辞めたくなかったが、仕方なかった。
「ケビンは独身でしょう?あなたに合いそうな令嬢を紹介するわ。」
叔母がそう言うと、再び父が答えた。
「ケビン、お前はカトリーヌと結婚しなさい。」
「は!?」
どうして兄嫁と結婚を?
「カトリーヌのお腹にはルシオの子がいるんだ。お前がルシオに代わって父親になれ。」
「ですが……義姉上はまだお若いのですから、出産後に再婚したい相手が見つかるかもしれませんよ?」
再婚に子供は邪魔だろう。
兄の子供はうちに置いて実家に帰ってもらえばいいんじゃないのか?
「子供から母親を奪うつもりか?カトリーヌにはもう話してある。お前は言われたことに従えばいい。」
カトリーヌにはもう話した?
彼女は俺と結婚することに同意したというのか?兄を亡くしたと聞いたばかりだったのに。
葬儀も済ませていない段階で、弟との結婚を提案した父も、それをすぐに受け入れたカトリーヌも、頭がおかしいのではないかと思った。
チラッと母の様子を見る。
母は兄の死を聞いてから呆然とした様子で、ショックが大きいようだ。
今の話もおそらく初めて聞いたはずなのに、反応がない。
カーマイン伯爵家は母の血筋で、父は入り婿だ。
母は執務のほとんどを父に任せ、父は兄にどんどん任せていた。
今度はそれを、ケビンがすることになるのだ。
それは仕方がないが、今時、兄の妻を弟が娶ることに誰も何も言わないのか?
そう思ったが、祖父母も叔母も、父の言葉に異を唱えることはなかった。
ケビンは、兄の子をお腹に宿したカトリーヌと結婚することが決まった。
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