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しおりを挟む葬儀を終え、両親よりも先に王都の屋敷に戻った。
妊娠で葬儀に向かえなかったカトリーヌは憔悴しているかと思ったが、顔色もよく元気だった。
「あら。おかえりなさい。」
「……ああ。」
葬儀の様子も何もカトリーヌは聞くこともなかった。
父に縋りつくように、自分も夫と最後の別れをしたいと泣き叫んでいたのは何だったのだろうか。
あまりにもあっさりとした態度に、ケビンは逆に戸惑ってしまった。
『悪阻はないのか?』と体調のことを聞こうかと思ったが、どうやら何か食べている方が気分がいいらしいと使用人から情報を得た。
両親のいない屋敷は、カトリーヌが主人だといった感じになっており、カトリーヌと結婚の話をしようかとも思ったが、機嫌が悪くなりそうな気がしてケビンは両親を待つことなく自分の住まいに戻った。
どうにも、彼女が苦手だ。
兄の喪が明けてからの結婚になる。
つまり、半年は入籍するべきではないため、ケビンはその間、騎士を続けようと思った。
しかし、屋敷に戻った父からはすぐに騎士を辞めるように手紙が届き、ケビンはすぐに辞められるものではないため三か月後に戻ると手紙を送り返した。
父は仕事を押し付けたいだけだろう。
どうせ、兄と比較して貶されるのだから、少しでも屋敷に戻るのを遅くしたかった。
三か月後、ケビンは騎士を辞めて実家に戻った。
「ようやく戻ったか。お前はルシオの代わりをしなければならないのに何故すぐに戻らなかったっ!」
「……既に決められていた勤務と、先日の花祭りを終えるまでは、と団長に頼まれましたので。」
「騎士なんかお前一人いなくなってもいくらでもいるだろうがっ!こっちはいないんだぞ?」
「兄上が伯爵だったわけではありません。父上がいるのだから数か月くらい困るはずがないと団長は判断されたのだと思います。違いますか?」
一般的に、跡継ぎが執務に携わるのは、学園を卒業してからのことだ。つまり18歳になってから。
それまでも領地のことを学んでいるが、実務を手伝うことは少ない。
学生の間は学業が本分であり、試験で恥ずかしい順位をとる言い訳が実務にあってはならないからだ。
しかし、兄は14歳の頃から少しずつ実務を手伝わされていた。
祖父が母に爵位を譲り、領地で暮らし始めたからだ。
両親が兄を可愛がっていたのは優秀だからということに加えて、便利だったからだということに気づいたのは、ケビンが騎士になってからのことだった。
兄は笑顔の裏の苦労を弟に見せないようにしていたから。
『お前は好きなことをしていればいいよ』
兄はそう言ってくれたが、もっと早くに気づいていれば、騎士にならずに兄の手伝いができたかもしれないと思ったこともあった。
「あ、当たり前だろう?お前がいなくても私一人でも問題なかったんだ!」
それが本当なら、早く戻って来いと言う必要はなかったと思うが。
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