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しおりを挟むジュリアを愛人にしてから、ケビンは三日と開けずに彼女の元へと通った。
体を繋げるばかりではなく、少しずつ上達していくジュリアの手料理も目当てだ。
味付けに少々失敗しようが、それも話題の一つで、一緒に食べるだけで楽しいと思えた。
ジュリアはミシュリーの紹介で、裕福な平民の子供に文字やマナーを教える仕事をしており、ケビンに頼るばかりではない。
ちゃんと自立した女性になっていた。
体の相性がいいだけでなく、彼女と一緒にいると幸せで、楽しくて。愛しているのだと思ったのはわりとすぐのことだった。
ケビンが愛を告げると、ジュリアは学生時代からケビンに憧れていたのだと言った。
数年後に両想いになっているなど、学生時代の自分たちは思いもしていない。
小さなパーティーや、ケビンの友人主催のパーティーなどは、ジュリアを連れて行った。
愛人に批判的な夫人もいるが、この頃になるとケビンとカトリーヌは形だけの夫婦だということが知られており、むしろケビンとジュリアを”愛し合っているのに結婚できない二人”と認識されることもあった。
まぁ、間違ってはいないので否定はしていない。
そんな好意的な目で見てくれる貴族も増え、ジュリアに友人もできた。
ジュリアの両親は、ジュリアがケビンの愛人になっていることを知り、恥ずかしいからやめろと言ってきたらしいが、”娼婦になろうとしていたところを彼は助けてくれたの”と言うと、気まずげに逃げ去ったらしい。
金を渡すことなく追い出したことを思い出したのだろうが、身勝手すぎるだろう。
ケビンの妻カトリーヌはあるお茶会で、言われた。
「カトリーヌ様は、亡くなられたルシオ様のことをさぞかし愛しておられたのね。」
「え……?あ、まぁ、そうです、わね。」
ルシオの名前が今更出てくるとは思っておらず、カトリーヌは驚いて曖昧な返事をした。
「ケビン様も素敵なのに、ルシオ様への愛を貫き続けるほどでしたら、離婚して差し上げたらいかが?」
「り、離婚!?」
「ええ。そうすればケビン様も愛する女性と結婚することができると思いませんこと?」
「愛する、女性?」
ケビンの女性関係は耳にしたことがあった。
未亡人との関係がしばらく続いていたはずだったが、まさかその女性と?
「あら。ケビン様なら離婚歴のある愛人よりも、まだ学生のうちの姪もお似合いかもしれないわ。」
カトリーヌという妻がいるにも関わらず、夫人たちが、ケビンの後妻に誰が似合うかを話して盛り上がっている。
それを前にして、カトリーヌは、”未亡人じゃなくて離婚歴のある愛人って、誰のこと?”と考えていた。
「ルシオ様は細身のお方でしたものね。カトリーヌ様は騎士をされていたケビン様のようながっしりとしたお方は好みではないのですね。私なら、心は別の方のところにあっても、体だけは試してみたくなりそうですわ。」
「あ!わかります。体力がある男性は何度も求めると聞きますものね。騎士の妻は大変だと言いながら幸せそうな顔をしている方は夜の夫婦生活に満足してる証拠だって聞きますし。」
「自分が満足したら勝手に終わる男性なんかより上手そうだし、……大きそうだし?」
「いやだぁ、もう~」
勝手に盛り上がっている夫人たちを前に、カトリーヌは何も言えなかったし、聞けなかった。
ひょっとして自分は、この上なく間違った判断をしてしまったかもしれないと気づいてしまったから。
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