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しおりを挟む案内された別室には、上官の男ともう一人、なぜか王太子殿下がいた。
「カーマイン前伯爵、ケビン、久しぶりだ。」
王太子殿下にそう声をかけられ、頭を下げた。
彼は兄ルシオと同い年だったことで、兄の訃報を知り、声をかけてくれたことがある。
「私がここにいるのは偶然だから気にしなくていいが、ケビンが伯爵になる手続きをしたいのか?」
「はい、そうです。」
「伯爵本人が一緒ではないのは、父親が原因か?」
「ええ。あの婿デサントにはもう我慢ならないのですよ。ケビンを飛ばしてルシオの嫁が産んだマリアンナを跡継ぎにする気でいるんです。だが、そのマリアンナはルシオの娘ではなかった。デサントの娘です。
王太子殿下、デサントを乗っ取り策略の罪、孫の嫁のカトリーヌを托卵の罪で捕縛できませんかね?」
祖父は思いっきり王太子殿下にぶっちゃけた。
王太子殿下は目を丸くして驚いていた。
「情報量が多いな。ケビンはルシオの嫁と結婚したんだよな。その嫁は父親の愛人ってことか?」
「そうです。兄も俺も、カトリーヌと閨を共にしたことはありません。」
「そう言えば、ケビンとは形だけの結婚だと噂で聞いたな。夫人が今でもルシオを愛してるとかって。それが、まさかの父親の愛人か。ふざけた女だ。」
王太子殿下の耳にまで噂が届いているとは。
俺にジュリアがいることも知っていそうだな。
「だが、ルシオが亡くなってから何年も経ってるのに、なんで今なんだ?」
そう思うのは当然だろう。
「兄がカトリーヌと初夜を迎えていなかったことを知らなかったのです。先日、領地で兄の元侍従と話し、マリアンナが兄の子ではなく父の子だろうとわかりました。」
「だろう?確定ではないのか?」
「兄は父から、自分の子として育てるように言われたようです。そして父がカトリーヌと今も関係を持っていることは母から聞きましたので、おそらく父の子だと思います。」
「他の男と関係を持っていない限りはそうだろうな。いずれにせよ、伯爵家の血筋じゃないしな。
それにしても、ルシオやケビンより、年配の男がいいのか?その女は。」
王太子殿下は首を傾げている。
人の好みは様々だが、父のどこがよかったのかをカトリーヌに聞いてみたいものだ。
「乗っ取りと托卵か。托卵の方は、親子鑑定をすれば確定するが、乗っ取りの方はルシオの子だと思っていたと言い逃れをする可能性はあるぞ?」
兄とカトリーヌが初夜を迎えていなかったという証拠がないのだ。
父は兄の子だと思っていたと主張して、カトリーヌを切り捨てるかもしれない。
息子の嫁と不貞をしていたというのは世間体は悪いが罪にはならない。
乗っ取りは重罪扱いであるため、父が認めることはないだろう。
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