元兄嫁の妻と年上の未亡人と行き場のない愛人

しゃーりん

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王太子殿下は、この部屋の本来の主人である男に書記官として同行するように命じた。

爵位の継承に関わるこの部署で、最初に応対した男の上官である。
彼は一言も口を開かないまま、ずっと我々と王太子殿下が話しているのを聞いていた。

急に命ぜられても大して驚いていない。
彼、というか、各部署の上官たちは、王太子殿下のこうした言動に慣れていそうだと思った。


「殿下、まさか、今からカーマイン伯爵家に?」

「善は急げと言うだろう?」

「面白がっているようにしか見えませんがね。
申し遅れました。フィリップ・カイゼルです。確かに、話を聞いていた私が同行した方がいいでしょう。
そして思い通りに話が進めば、ケビン殿は現伯爵からの継承で問題ないかと思います。」


母から祖父に、祖父からケビンに、という恥ずべき継承にはならずに済みそうだ。
汚点として後世に残らずに済むのであればその方がいい。
 

「あ、親子鑑定の道具も必要だな。」


そうだった。
マリアンナが父の子であるかを確かめなければならない。
 

こうして、ケビンは祖父と、王太子殿下はカイゼルと一緒に馬車に乗り込み、カーマイン伯爵家へと向かった。


 

屋敷に着くと、突然の帰宅に執事や使用人、そして母が慌てて出迎えた。

母は、王太子殿下と祖父もいることで、何か察したような顔をした。


「母上、父上はどこに?」

「あの人は……おそらくカトリーヌの部屋ではないかしら。」


ケビンが領地に向かってからずっと、父はカトリーヌと過ごしていたのではないか。 
今までケビンが気づかなかったは、父がケビンには悟られないようにしていたのだろう。
 

「いいね。現場を確認しに行くか。」


王太子殿下は間違いなく楽しんでいる。

しかし、現場を見れば離婚しやすくなるのは確かだ。



カトリーヌの部屋に向かい、一応、扉をノックしたが返事はなかった。

寝室だと聞こえないか?
そうだろうと思いながら扉を開け、寝室の扉も耳を澄ませてから開けると、父とカトリーヌは裸で抱き合って眠っていた。
情事真っ最中でなくてまだよかったと思うべきか。

それでも、情事の後の匂いがプンプンする。 

自分の父親と、一応、戸籍上はまだ妻のそんな姿を見ても、何とも思わなかった。

強いて言えば、ベッド毎、この二人が消えたらスッキリしそうだというくらいで。


「え……!?何、きゃあっ!あっち行ってよ!!」


カトリーヌが人の気配で目を覚ましたが、ケビンに母、祖父、王太子殿下だと認識できただろうか。

裸の体を隠す物を探して、ベッドの下に落ちている上掛けを見つけ、スッポリ被った。


「王太子殿下、妻と父の不貞を確認しました。」

「うん。そうだね。びっくりだよ。伯爵もケビンも離婚したらどうかな?」


王太子殿下はわざとらしくそう言った。


「ええ、もちろんです。母上も、そうしますよね?」

「え……?ええ。離婚、してもいいのよね。」
 

父の言いなりだった母は、戸惑いながらそう答えた。離婚はできないと思っていたのだろうか。


それにしても、父はまだ寝ている。
 

 
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