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しおりを挟む第二王子殿下フレデリックから婚約解消を言われたことをセレンティアはすぐに両親に伝えた。
「お父様、ついにフレデリック様から婚約解消を言われましたわ。すぐに手続きをしてくださいませ。」
「本当か?理由はお前の浮気か?証人はいるか?」
アマディオが計画した、セレンティアが男を侍らせて浮気をしていると思わせるという案はセレンティアの父であるスノウ侯爵も聞いていた。
王子との婚約をこちら側から解消するには難しく、少しでも可能性があるのならとアマディオの稚拙な計画も黙認していたのだが、本当に浮気だと思ったのであればフレデリックは愚かとしか言いようがない。
「私は純潔ではないから托卵されたら困る、と。ふしだらな性根をなおすに相応しい修道院を紹介してやると食堂という数多くの人がいるところで言われましたわ。」
「は……?お前が純潔じゃないと言ったのか?あぁ、アマディオたちと浮気をして体まで許したと思っているということか。やはり殿下は甘いな。証拠もなくセレンを侮辱するとは。
これは正に王族に相応しくない行いと言える。間違いなく陛下も婚約解消を認めてくれるだろう。」
スノウ侯爵は、娘セレンティアの婚約解消手続きを進めるために王家へと伺いを立てた。
そして同じころ、アマディオのクラウド侯爵家、ロックスのブライト伯爵家でも息子たちから報告を受け、言いがかりをつけられた息子の身の潔白を証明したいと王家に伺いを立てた。
立て続けに三貴族家からの手紙に、国王陛下はフレデリックがやらかしたことを悟った。
しかし、フレデリックはなぜかまだ報告に来ない。
口頭で伝えるだけで婚約解消になったと思っているのだろうか。
それとも、後になって王族に相応しくない行いだったと後悔し、報告することを躊躇しているのか。
どちらにしろ、フレデリックとセレンティアの婚約解消は決定だった。
こうなってしまえば纏めて処理をするしかないと同じ時間に呼び出すことに決めた。
こちら側は、スノウ侯爵とセレンティア、クラウド侯爵とアマディオ、ブライト伯爵とロックス、そしてなぜかクラリーチェ。
クラリーチェは証人という立場としてロックスに同行を頼まれた。
王家側は、両陛下と王太子殿下、そして第二王子殿下フレデリック。
フレデリックは入室するまでなぜ呼ばれたかを知らされていなかったらしく、こちらの面々を見てひどく驚いていた。
「では始めるとする。愚息フレデリックがセレンティア嬢に婚約解消を突きつけた。間違いないな?」
国王陛下に睨みつけられながら確認されたフレデリックは首をカクカクと縦に振った。
「その際に、フレデリックはセレンティア嬢にひどい言いがかりをつけて侮辱した。間違いないな?」
再度聞かれたフレデリックは縦に頷きかけて、慌てて首を横に振った。
「違います。セレンティアはここにいる男二人と浮気をしていたんだ。そんな女と結婚なんてできない。」
フレデリックは自分の数々の浮気行動は当たり前だと思っており、下位貴族ではあるが何人もの令嬢の純潔を奪っていることについては悪いことだと思っていない。自分の結婚相手のセレンティアは純潔であるのが当然だと思っているにも関わらず、だ。
フレデリックのせいで何件もの婚約破棄が起こっていたことも知らない。
フレデリックは自分の言っていることが正しいと自信を持っていた。
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