傷物扱いされていても私はあなたと結婚したい

しゃーりん

文字の大きさ
7 / 9

7.

しおりを挟む
 
 
「ユラ、お前を叩いた令嬢の元婚約者が謝りたいと言っている。
 明日、学園から帰って来たら会ってやってくれるか?」

「別にその方が悪いわけではありませんわ。お気になさらずにとお伝えください。」

「その男、アレンは…あの時お前を助けた男だ。直接、礼を言いたがっていただろう?」

「…え?そうだったのですか?ならお会いしたいです。」

「わかった。帰って来たら声をかけてくれ。」

そう言って部屋を出たライアンは笑いそうになった。ユラの顔が真っ赤になったからだ。
痴態を見られて恥ずかしかったことを思い出したのか、アレンに少しでも好意があるのか。
ユラの様子から、二人はうまくいくのではないかと思った。 


 
翌日、王太子の執務室に近い応接室でアレンとユラは再会した。
 
「ユラ、彼がエグフラン侯爵令息アレンだ。じゃあ、私は仕事に戻る。」

「え?ライアン様?」

「ミミがいるから二人ではない。ゆっくりと話をすればいいよ。」

そう言って出て行ってしまった。

「改めまして、エグフラン侯爵家のアレンと申します。アレンとお呼びください。
 この度は、元婚約者のことでご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。」

「いえ、彼女のことはアレン様が悪いとは思いません。お気になさらないでください。
 隣国アニオン王国キャベン公爵家のユラと申します。ユラとお呼びください。
 私の方こそ、先日は助けていただいてありがとうございました。
 遅くなりましたが、お礼にこちらを…」

ユラは手にしていたものをアレンに渡した。
何かお礼をしようと選び、ライアンから渡してもらうつもりだったが直接渡せることになった。

「え?私に?ありがとうございます。開けて見ても?」

「ええ。」

中には黒をベースにアレンの瞳の色で装飾されたペンだった。

「こんな素敵なものを…ありがとうございます。」

「いえ、婚約者がいらっしゃると聞いていましたので、身に付けるものだとご迷惑かと思って。
 これなら何本あってもお仕事でお使いいただけるかな?と。」
 

それから二人はお互いの国のことや趣味のこと、読んだことがある本の感想や好きな食べ物など、話が弾んだ。
時間が経ち、そろそろ…といった頃にアレンが聞いた。

「ユラ様は婚約を破棄なさったと聞きました。相手に未練は全く?」

「ええ。これっぽっちもないです。…アレン様は?」

「私も全く。正直、肩が軽くなった気がするくらいです。」

「ああ、なかなか強烈なご令嬢でしたわね。」

ユラは頬に手を当て、お互い苦笑する。

「ユラ様、もしこの国で暮らしてもよいと思われたら、私との結婚を考えていただけませんか?
 お互い婚約者がいなくなったばかりですが、私は…あなたに惹かれています。
 あの件より前から、遠目に見かけるあなたの笑顔に癒されていました。
 こうしてお会いして、もっと一緒にいたいと思っています。」

ユラはアレンのストレートな告白に驚き、顔が真っ赤になった。
熱くなった頬を両手で隠して答えた。

「嬉しいです。とても。もっとアレン様のことを知りたいです。」

「では、婚約を前提にお付き合いいただけますか?」

「はい。…大丈夫だとは思いますが父にも報告しておきますね。」

「ええ。侯爵家という身分が御父上にどう判断されるかは不安ではありますが浮気はしません。」

「でも…またあんな状況に直面したら?」

「その時は、頑張って扉を壊します。無理なら、女性に自分で触るように言います。
 そこにあるもので対処してもらいますよ。あなたじゃなければ。」

「じゃあ、あれは私だったから?」

「もちろんです。あなたが許可を出したから私の理性が欲望に傾いてしまって…」

二人して思い出してしまい、顔が真っ赤になった。
ひとまず休日に図書室で会う約束をした。
婚約を解消したばかりなので、あまり目立たない場所で会う方がよい。














 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『スキルなし』だからと婚約を破棄されましたので、あなたに差し上げたスキルは返してもらいます

七辻ゆゆ
恋愛
「アナエル! 君との婚約を破棄する。もともと我々の婚約には疑問があった。王太子でありスキル『完全結界』を持つこの私が、スキルを持たない君を妻にするなどあり得ないことだ」 「では、そのスキルはお返し頂きます」  殿下の持つスキル『完全結界』は、もともとわたくしが差し上げたものです。いつも、信じてくださいませんでしたね。 (※別の場所で公開していた話を手直ししています)

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····

藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」 ……これは一体、どういう事でしょう? いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。 ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した…… 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...