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「ユラ、お前を叩いた令嬢の元婚約者が謝りたいと言っている。
明日、学園から帰って来たら会ってやってくれるか?」
「別にその方が悪いわけではありませんわ。お気になさらずにとお伝えください。」
「その男、アレンは…あの時お前を助けた男だ。直接、礼を言いたがっていただろう?」
「…え?そうだったのですか?ならお会いしたいです。」
「わかった。帰って来たら声をかけてくれ。」
そう言って部屋を出たライアンは笑いそうになった。ユラの顔が真っ赤になったからだ。
痴態を見られて恥ずかしかったことを思い出したのか、アレンに少しでも好意があるのか。
ユラの様子から、二人はうまくいくのではないかと思った。
翌日、王太子の執務室に近い応接室でアレンとユラは再会した。
「ユラ、彼がエグフラン侯爵令息アレンだ。じゃあ、私は仕事に戻る。」
「え?ライアン様?」
「ミミがいるから二人ではない。ゆっくりと話をすればいいよ。」
そう言って出て行ってしまった。
「改めまして、エグフラン侯爵家のアレンと申します。アレンとお呼びください。
この度は、元婚約者のことでご迷惑をおかけし、申し訳ありませんでした。」
「いえ、彼女のことはアレン様が悪いとは思いません。お気になさらないでください。
隣国アニオン王国キャベン公爵家のユラと申します。ユラとお呼びください。
私の方こそ、先日は助けていただいてありがとうございました。
遅くなりましたが、お礼にこちらを…」
ユラは手にしていたものをアレンに渡した。
何かお礼をしようと選び、ライアンから渡してもらうつもりだったが直接渡せることになった。
「え?私に?ありがとうございます。開けて見ても?」
「ええ。」
中には黒をベースにアレンの瞳の色で装飾されたペンだった。
「こんな素敵なものを…ありがとうございます。」
「いえ、婚約者がいらっしゃると聞いていましたので、身に付けるものだとご迷惑かと思って。
これなら何本あってもお仕事でお使いいただけるかな?と。」
それから二人はお互いの国のことや趣味のこと、読んだことがある本の感想や好きな食べ物など、話が弾んだ。
時間が経ち、そろそろ…といった頃にアレンが聞いた。
「ユラ様は婚約を破棄なさったと聞きました。相手に未練は全く?」
「ええ。これっぽっちもないです。…アレン様は?」
「私も全く。正直、肩が軽くなった気がするくらいです。」
「ああ、なかなか強烈なご令嬢でしたわね。」
ユラは頬に手を当て、お互い苦笑する。
「ユラ様、もしこの国で暮らしてもよいと思われたら、私との結婚を考えていただけませんか?
お互い婚約者がいなくなったばかりですが、私は…あなたに惹かれています。
あの件より前から、遠目に見かけるあなたの笑顔に癒されていました。
こうしてお会いして、もっと一緒にいたいと思っています。」
ユラはアレンのストレートな告白に驚き、顔が真っ赤になった。
熱くなった頬を両手で隠して答えた。
「嬉しいです。とても。もっとアレン様のことを知りたいです。」
「では、婚約を前提にお付き合いいただけますか?」
「はい。…大丈夫だとは思いますが父にも報告しておきますね。」
「ええ。侯爵家という身分が御父上にどう判断されるかは不安ではありますが浮気はしません。」
「でも…またあんな状況に直面したら?」
「その時は、頑張って扉を壊します。無理なら、女性に自分で触るように言います。
そこにあるもので対処してもらいますよ。あなたじゃなければ。」
「じゃあ、あれは私だったから?」
「もちろんです。あなたが許可を出したから私の理性が欲望に傾いてしまって…」
二人して思い出してしまい、顔が真っ赤になった。
ひとまず休日に図書室で会う約束をした。
婚約を解消したばかりなので、あまり目立たない場所で会う方がよい。
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