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アリーシャは、これまでに二度、大きな判断ミスをしたと今では思っている。
その一度目は、学園の二年生になって三か月ほどが過ぎた頃のことだった。
同じクラスになったキール男爵家のロベルトが、アリーシャに告白してきた。
「アリーシャ嬢、あなたが好きです!俺と付き合ってください!!」
クラスメイトたちの前で、ロベルトはそう言った。
アリーシャは、ロベルトからの好意は何となく感じていた。
よく話しかけられるようになって、何度か休日の誘いもあったから。
騎士を目指しているロベルトは背が高く、体格もよくて、爽やかな顔立ちだった。
しかし、男爵家の次男であるロベルトとの付き合いは両親がいい顔はしないだろうと思い、誘いに乗ることはなかったというのに、こんな人前での告白に、アリーシャは断りづらくなってしまった。
誰もかれもが、アリーシャはロベルトの告白を断らないだろうと思っているのがわかったから。
「……よろしくお願いします。ロベルト様。」
少し気弱で押しに弱いアリーシャはそう返事するしかなかった。
……これが一度目の大きな判断ミスだった。
「アリーシャ、大丈夫なの?」
心配してくれているのは、アリーシャの友人カサンドラ。
「ちょっと卑怯じゃないかしら。ああするとアリーシャが断れないとわかっていたに決まっているわ。」
確信犯だとカサンドラは怒っている。
「ロベルト様との交際をやめたいと思ったらちゃんと言うのよ?私も手伝ってあげるし、三年生で一緒のクラスにならないようにすることもできるわ。だから、我慢しないでね。」
「ありがとう、カサンドラ。確かにお付き合いをするつもりはなかったけれど、これもご縁だと思って試してみるわ。」
ひと昔前と違い、学生の間は交際する貴族も増えた。
その相手と結婚することもあれば、卒業後は別れて親の勧める相手と結婚することもある。
そのため、ロベルトとの交際も、その後別れることになっても、醜聞というわけではないことがアリーシャの気を少し楽にさせていた。
ロベルトとの交際は、思った以上に楽しかった。
彼は明るく、アリーシャを笑顔にしてくれる太陽のような人で、アリーシャもだんだんと彼に惹かれていった。
「俺、近衛騎士を目指しているんだ!そうすれば騎士爵も貰える。いいと思わないか?」
近衛騎士とは王族を護衛する騎士のことで、騎士の中でも非常に狭き門を通らなければならない。
騎士としての腕はもちろん、知力・体力・礼儀作法など、選考基準はいろいろある。
アリーシャは正直言って、ロベルトの夢物語になるだろうという気はしたが、彼の持ち前の明るさと人懐っこさで上官に気に入られると、あり得ない話ではないかもしれないとは思った。
ロベルトの剣の腕前がどの程度かは知らないけれど。
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