駆け落ちの事実などありません。

しゃーりん

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21.

 
 
赤子を抱いて宿舎に戻ったロベルトに、同僚やニコルたちは驚いていた。 


「ロベルト?ようやく王都から戻ったと思えば、その赤子はどうした?」

「……俺とエリーの子だって。エリーはこの子を産んで死んだって。」


ロベルトは赤子を抱いたまま泣き崩れた。

誰かが赤子を受け取ってくれて、ロベルトの腕の中は軽くなった。


「ララがこの子を育ててたの?」

「……そんな感じだった。」

「じゃあ、エリーはララのところにいたんだね。夫に浮気された者同士、慰め合ってたのかな。」


その言葉に、ロベルトは息が詰まる思いだった。


「出産は命がけだからね。こうして父子だけ残されることもある。そうなった場合は私たちも協力し合うことになっているけど、ロベルトさん、あんたはここで仕事を続ける気があるの?」


王都でさんざん浮気相手と遊んできたくせに、図々しくもまだここで働くのかと言われた気がした。


「エリーには謝っても謝り切れない。本当に申し訳ないことをしたと思ってる。心を入れ替えて、エリーが遺してくれたラスを育てていきたい。どうか、助けてください。」


ロベルトは必死で頭を下げた。

もう、自分にはこの子しかいないのだ。


「……仕事に行っている間は、みんなで協力して面倒は見るよ。だけどそれ以外はあんたが親としてちゃんと育てなきゃダメだから。わかってる?」

「頑張ります。」


その時、ラスが泣き始めた。


「私の母乳を飲ませてくる。」


一人の女性がそう言ってくれて、ラスを連れて行った。

その間、ロベルトは女性陣からも男性陣からも子育てについていろいろと教わっていた。
部屋の掃除も手伝ってくれて、赤子に必要な物も持ってきてくれた。
 

「ラスの産まれた日は聞いたのか?」


そう聞かれ、ロベルトは知らないと気づいた。

ラスの誕生日は、エリーの命日でもあるだろう。
エリーの墓の場所も聞かなければならない。

また明日にでも、ララに聞きに行こう。そう思っていた。
だが、しばらくは寝不足で、それどころではなかった。
 
ロベルトがララの元を訪れた時には、ララは仕事を辞め、既にこの街からいなくなっていた。
 

エリーという名の女性が亡くなったという記録は、教会で見つかった。
その日がラスの誕生日だとわかり、そしてエリーは共同墓地に葬られたということもわかった。

ロベルトは、ようやくラスを自分の子だと届け出をすることができた。
エリーの死亡届も。


「エリー……、本当に悪かった。君を愛していたのに。絶対幸せにするって約束したのに。ごめん。
ラスは立派に育てると約束する。それでいつか、伯爵夫妻に孫として会わせてやるからな。」
 

ロベルトは、それを目標にしてラスを育てていくことを共同墓地のどこかにいるであろうエリーに誓った。


 

 

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