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しおりを挟む演劇は面白かった。確かに笑えた。そういう演出だからね。
でも……ヤバくない?ブルーム様。
婚約者を蔑ろにすると、痛い目に合いますよっていう警告が入っているんじゃない?
チケットを持ってきたのはアンドレ殿下。
殿下はおそらく、状況を知っているわ。
すごく嫌な予感がするのは私だけ?
それから、2度ほどまた4人で出かけた。
私がアンドレ殿下と少し近い距離で話すとすぐに引き離すブルーム様。
そうすると、アンドレ殿下はお姉様とお話する。
その隣でグチグチと私に距離感を説くブルーム様。
あのね、アンドレ殿下が近寄って話したの。私は寄ってないの。
ついでに言えばブルーム様も近い!
何度、このパターンを繰り返しただろう。ブルーム様、お姉様と二人でデートして?
ブルーム様とアンドレ殿下が学園を卒業したある日、二人がうちの屋敷にやってきた。
今日は出かける約束はしていないけど?
と思っていたら、両親と姉と約束があるらしい。
自分は関係ないかと部屋に戻ろうとすると、アンドレ殿下から一緒にいていいと言われた。
いや……逃げたい。本能的にヤバい気がしていた。
でも、お姉様にガッツリ腕を掴まれて残ることになってしまった。
応接室には、両親と姉と私、アンドレ殿下とブルーム様の6人。
お茶を入れた使用人が下がると、姉が口を開いた。
「お父様、お母様。私はブルーム様との婚約を解消します。」
「「「「え?」」」」
驚いたのは両親と私、そしてブルーム様だった。
「前から考えていたのです。私とブルーム様は合わないと。
表面的には夫婦とはなれるでしょう。
ですが、心を許し合えるとは思えません。」
動揺した父が姉を説得しようとしていた。
「だが、もうお前も18歳になる。今から新たな婚約者を探すなど下位貴族になるかもしれんぞ?」
「実は、アンドレ殿下から……」
みんなの目が一斉にアンドレ殿下に向かった。
ブルーム様がびっくりして問い質した。
「アンドレ、お前、人の婚約者を口説いたのか?」
「う~ん。そうとも言えるけど、これはお前への救済でもあるんだよ?
ミーガン嬢には、もしお前との婚約が解消できたら、ぜひとも私の婚約者にと言った。
正直、ミーガン嬢は侯爵令嬢だから釣り合いも取れて国王である両親も文句はない。
それに、美人で聡明で優しくて我慢強い。会話も楽しいし。
お前には勿体ないなと思って。」
ここで姉が慌てて口を出した。
「アンドレ殿下、悪者になるような言い方をしないでください。
婚約解消は私の気持ちによるところが大きいのです。
ブルーム様。婚約して2年、あなたは私のことをどれくらい考えました?」
「え……」
「特にこの一年半、あなたは私を婚約者だと思っていました?」
うわ~。。。やっぱりお姉様は怒っていたのね。ごめんなさい……
応援ありがとうございます!
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