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しおりを挟む姉は自分の思っていたことをブルーム様に告げる。
「私も同様です。ブルーム様に恋をして会わない時間を寂しく思うこともありませんでした。
政略結婚ですし、暴力的ではなく生理的嫌悪を感じる方でなければ構わないと思っていました。
あなたは私の家族にも優しいし、リュゼットのことも親身になって考えてくれている。
ここでお茶を飲みながら二人のやり取りを見るのも楽しいと思っていました。
ですが、少し前にリュゼットに言われた言葉で現実を見始めました。
『結婚式の準備、次期公爵夫人、女主人』
婚約しているので当たり前のことなのに、迫ってきた結婚に躊躇しました。
公爵家にはリュゼットは連れて行けません。
私は、リュゼットがいない状態でブルーム様と過ごすことに違和感を感じました。
ブルーム様とリュゼットを弟と妹のように見てしまっていたのです。
年上のブルーム様に失礼なことを言っているのは承知しています。
ですが、お互いに他の道を選んだ方が幸せになれると思うのです。」
しばらく誰も言葉を発しなかったけど、ようやくブルーム様が答えた。
「申し訳なかった。ミーガン嬢の気持ちを理解できていなかった私が悪い。
婚約解消は受け入れる。
アンドレなら、君とうまくいくだろう。
君たちの婚約を私は祝福するよ。」
「ありがとうございます。よろしいですか?お父様。」
「あーうん。仕方ないな。お互いが納得しているなら認めよう。
アンドレ殿下、ミーガンとの婚約の話は陛下にはまだですよね?」
「ええ。相手は誰か言っていませんが、婚約者ができるかもしれないとは言って来ました。
おそらく、ミーガン嬢かリュゼット嬢のどちらかだとは気づかれていますけどね。」
ここでまたブルーム様が口を挟んだ。
「陛下がリュゼットだと思ってる可能性があるのか?
お前、早く帰ってミーガン嬢との婚約の手続きをしてこい。」
「その前に君たちの婚約解消の手続きが必要だけどね。
というか、ブルーム。お前まだ気づいてないの?」
呆れたように言うアンドレ殿下にブルーム様は何のことだかわからないようだ。
なぜだか、私は嫌な予感がして逃げたくなったけど、お姉様が腕を掴んでいる。なんで?!
「どういうことだ?ミーガン嬢と婚約するんだろ?」
「うん。もちろん。
だけど、そのことを言ってるんじゃない。
お前はリュゼット嬢のことばかり気にしているだろう?
ミーガン嬢が婚約者だったのに、リュゼット嬢を呼び捨てにしている。
可愛いんだから気をつけろと小言ばかり言っている。
私が近い距離で話すと引き離すくせに、自分の距離が近いことは気づいていない。
男側の粗探しばかりして、お前の目に適うリュゼット嬢に相応しい婚約者ってどんなだ?
どの男も気に入らないんだろ?その理由は?」
ちょっと?!アンドレ殿下、もう止めて!気づかない方が平和な気がするから!……私が。
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