家族に裏切られて辺境で幸せを掴む?

しゃーりん

文字の大きさ
18 / 19

18.

しおりを挟む
   

学生時代から私を思っていてくれただなんて知らなかった。
 

「ごめん。ただの愚痴の手紙だと思ってた。
 それに、学生時代もクラレンスと結婚すると思ってたからあなたの気持ちに気づいてなかったわ。」

「俺はずっとプリムが好きだよ。俺じゃダメか?
 学生の時はプリムがクラレンスを好きじゃなくても受け入れていることがわかっていた。
 政略結婚なんてそんなもんだし、爵位が下の俺が奪うようなことをすると家にも迷惑がかかるから。
 だから、アイツに問題がない限り気持ちを伝える気はなかった。
 まさか、卒業後にやらかすとは想定外だった。
 辺境に行ってプリムを捕まえようかとも思った。
 だけどチェリムでは跡継ぎになれないだろうから、必ず帰って来ると思って待ってた。
 チェリムが跡継ぎになれたとしても、手続きに帰って来るだろう?その時に告白するつもりだった。
 でも、のんびり待たずに辺境に行くべきだったな。
 辺境の男が忘れられないか?俺じゃダメか?対象外か?」


ルシードを忘れられないのは恋しいと思うからではなくて、まだ腹立たしいから。
まぁ、会わなければそのうち忘れるだろうけど。


「ダメ……じゃないんだけど、嬉しいんだけど、正直、もう結婚相手に期待したくなかったの。
 クラレンスはチェリムを好きになったし、辺境で付き合った人は浮気した。
 愛人も娼婦も絶対嫌だって言ったのに。それに納得して付き合ったのに、裏切られた。
 だからもし結婚することになっても、相手に期待しないでおこう。浮気されたら離婚しようって。
 子供がいたら、もうそれでいいかなって。」

「俺は絶対に浮気しない。好きな女性がそばにいてくれるなら他の女になんか触りたくもない。
 というかさ、もう期待したくないのに相手が俺だったら期待したくなるってことじゃないのか?」


ん?あれ?そういうことになる?


「赤の他人だったら期待しないで済むと思ったのかも。
 だけど、コリンのことは友人として知ってる。あなたを信じたい。その気持ちがあるのね。」
 

コリンが私の前に膝をついて、私の手を軽く握りしめた。……温かい。


「プリムが結婚相手に期待することをやめたとしても、俺は裏切らないから後悔することはない。
 誰を選んでも同じなら俺を選んでくれ。お前が俺を捨てない限り、そばにいる。」

「え?私が捨てるの?」

「そうだよ。俺が縋りついてるんだから。
 プリムは選ぶ側だ。不要になった男を切り捨てていっても問題はない。」

「いや、あるわよ。そんな、男を使い捨てにするような女にしないでよ!
 でも……浮気したら本当に捨てるわよ。一度でも絶対に許さない。それでもいい?」

「ああ。プリムも浮気するなよ?」

「しないわよ!」


こうして私はコリンとの結婚を決意した。

コリンがとても嬉しそうな笑顔になったので、自然と私も嬉しくなった。
コリンの私への思いを知ってしまうと、ルシードからの愛情は薄っぺらい表面的なものだったように思う。
平民とは違う手入れされた外見と所作、辺境伯の姪、治癒魔力。
私の中身は二の次だった。 
ルシードは貴族としてのプライドで、平民との結婚など考える気もなかったんだと思う。
冷静になると、あの人のどこが良かったのか不思議だわ。


 
ふと考えた。
もし、ルシードの浮気に気づかないままプロポーズを受けていたら、彼は辺境騎士を辞めて私についてきてくれたかな。
伯爵家の跡を継ぐ私と結婚して、幸せに暮らせたかな。

いや、ルシードはいつか私を裏切っただろう。彼は快楽に弱い。
仕事や子供に夢中になる私の目を盗んでコッソリと愛人を囲う。娼館にも行く。

私に対する愛情と性欲は別な人だもの。

ルシードとは幸せになれなかった。辺境だろうと、ここだろうと。そう思った。



だから、もうルシードのことは思い出さない。

コリンを信じて、一緒に幸せになろうと思う。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹が私こそ当主にふさわしいと言うので、婚約者を譲って、これからは自由に生きようと思います。

雲丹はち
恋愛
「ねえ、お父さま。お姉さまより私の方が伯爵家を継ぐのにふさわしいと思うの」 妹シエラが突然、食卓の席でそんなことを言い出した。 今まで家のため、亡くなった母のためと思い耐えてきたけれど、それももう限界だ。 私、クローディア・バローは自分のために新しい人生を切り拓こうと思います。

三度裏切られたので堪忍袋の緒が切れました

蒼黒せい
恋愛
ユーニスはブチ切れていた。外で婚外子ばかり作る夫に呆れ、怒り、もうその顔も見たくないと離縁状を突き付ける。泣いてすがる夫に三行半を付け、晴れて自由の身となったユーニスは、酒場で思いっきり羽目を外した。そこに、婚約解消をして落ちこむ紫の瞳の男が。ユーニスは、その辛気臭い男に絡み、酔っぱらい、勢いのままその男と宿で一晩を明かしてしまった。 互いにそれを無かったことにして宿を出るが、ユーニスはその見知らぬ男の子どもを宿してしまう… ※なろう・カクヨムにて同名アカウントで投稿しています

【完結】我儘で何でも欲しがる元病弱な妹の末路。私は王太子殿下と幸せに過ごしていますのでどうぞご勝手に。

白井ライス
恋愛
シャーリー・レインズ子爵令嬢には、1つ下の妹ラウラが居た。 ブラウンの髪と目をしている地味なシャーリーに比べてラウラは金髪に青い目という美しい見た目をしていた。 ラウラは幼少期身体が弱く両親はいつもラウラを優先していた。 それは大人になった今でも変わらなかった。 そのせいかラウラはとんでもなく我儘な女に成長してしまう。 そして、ラウラはとうとうシャーリーの婚約者ジェイク・カールソン子爵令息にまで手を出してしまう。 彼の子を宿してーー

妹が公爵夫人になりたいようなので、譲ることにします。

夢草 蝶
恋愛
 シスターナが帰宅すると、婚約者と妹のキスシーンに遭遇した。  どうやら、妹はシスターナが公爵夫人になることが気に入らないらしい。  すると、シスターナは快く妹に婚約者の座を譲ると言って──  本編とおまけの二話構成の予定です。

【完結】妹ばかり愛され追い出された姉ですが、無口な夫と暮らす日々が幸せすぎます

コトミ
恋愛
 セラフィナは、実の親と、妹によって、家から追い出されることとなった。セラフィナがまだ幼い頃、両親は病弱なカタリナのため設備環境が良い王都に移り住んだ。姉のセラフィナは元々両親とともに住んでいた田舎に使用人のマーサの二人きりで暮らすこととなった。お金のない子爵家な上にカタリナのためお金を稼がなくてはならないため、子供二人を王都で暮らすには無理があるとセラフィナだけ残されたのだ。そしてセラフィナが19歳の時、3人が家へ戻ってきた。その理由はカタリナの婚約が上手くいかず王宮にいずらくなったためだ。やっと家族で暮らせると心待ちにしていたセラフィナは帰宅した父に思いがけないことを告げられる。 「お前はジェラール・モンフォール伯爵と結婚することになった。すぐに荷物をまとめるんだ。一週間後には結婚式だ」  困惑するセラフィナに対して、冷酷にも時間は進み続け、結婚生活が始まる。

妹に婚約者を奪われたけど、婚約者の兄に拾われて幸せになる

ワールド
恋愛
妹のリリアナは私より可愛い。それに才色兼備で姉である私は公爵家の中で落ちこぼれだった。 でも、愛する婚約者マルナールがいるからリリアナや家族からの視線に耐えられた。 しかし、ある日リリアナに婚約者を奪われてしまう。 「すまん、別れてくれ」 「私の方が好きなんですって? お姉さま」 「お前はもういらない」 様々な人からの裏切りと告白で私は公爵家を追放された。 それは終わりであり始まりだった。 路頭に迷っていると、とても爽やかな顔立ちをした公爵に。 「なんだ? この可愛い……女性は?」 私は拾われた。そして、ここから逆襲が始まった。

幼馴染の生徒会長にポンコツ扱いされてフラれたので生徒会活動を手伝うのをやめたら全てがうまくいかなくなり幼馴染も病んだ

猫カレーฅ^•ω•^ฅ
恋愛
ずっと付き合っていると思っていた、幼馴染にある日別れを告げられた。 そこで気づいた主人公の幼馴染への依存ぶり。 たった一つボタンを掛け違えてしまったために、 最終的に学校を巻き込む大事件に発展していく。 主人公は幼馴染を取り戻すことが出来るのか!?

【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!?  今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!

黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。 そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※

処理中です...