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しおりを挟む息子ウォルタスを罰すると決めた国王陛下は一人の親としてクレベール公爵に謝罪をしてきた。
「ウォルタスが大変申し訳ないことをした。」
「リリスティーナはもう生き返りません。」
「そうだな。だが……実はあの禁術には問題があるから禁術となっている。」
それはそうだろう。禁じられた術なのだから。
「血を……閉じ込めたい者の血を術に利用する。ウォルタスはリリスティーナ嬢の血を用いて研究施設の敷地内から出られないよう術を施したはずだ。」
血、か。リリスティーナの血はいくらでも手に入っただろうな。
「術を解除するにも血が必要になる。だが、解除されなければ術を受けた本人が死んでいても術の効果が消えないために問題が起こったのだ。……死者が生者を乗っ取るという、問題が。」
その昔、極悪犯に術を施して牢に閉じ込めた。
拳一撃で人を殺せる男を捕まえるのに月日を要し、女子供関係なく何人もが犠牲になっていた。
そのため、牢から出さず、誰も牢に入らずに処分するために食事に毒を盛った。異例な処刑だ。
極悪犯はあっけなく死んだ。
遺体を処分するために、二人、牢に入った。
そのうちの一人が人が変わったようになり、極悪犯同様、多くの人を殺した。
捕まって少しすると、男が以前の様子に戻った。
彼は言った。『極悪犯に体を乗っ取られていた』と。
誰も信じなかった。
だが、今度は違う男が極悪犯同様に世間を騒がせ始めた。
その男は極悪犯が死んだ牢に入った時期があったのだ。
そう。二人目の男が正気に戻った頃にあの牢にいたことが判明した。
怨霊か何かかと恐れられたが、やがて極悪犯と牢を結び付けた術の影響ではないかと気づいた。
だが、死者が相手では術は解除できない。
術に施された効果は一年だったとわかり、三人目の男を牢に閉じ込めたまま一年が経つのを待った。
やがて三人目の男も正気に戻り、『牢に入った途端、知らない男に乗っ取られた』と証言した。
三人目の男は酔っ払って喧嘩をして一晩あの牢に入れられた男だったため、翌日には極悪犯に乗っ取られた状態で街へと戻っていたのだ。
乗っ取られていたとはいえ、多くの人を殺めた記憶もある男は精神に異常を来した。
そして禁術に指定されて誰も使えないようになった。
「つまり、何が言いたいのかと言えばだな、ひょっとすると……」
「リリスティーナの精神があの研究施設内にまだいるとおっしゃりたいのですね?」
「あ、ああ。荒唐無稽のように思えるかもしれないが、その可能性があるのだ。」
国王陛下も伝え聞いているだけで確信はもてないのだろう。
だが侍女ミミに憑依したリリスティーナは間違いなく本人だと公爵は認めているため、国王陛下の話も嘘ではなく事実だとわかっているし、むしろ禁術になった経緯に納得した。
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