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翌朝、シェリーナと共に朝食を食べ、執務に向かった。
ラーズが戻ってくるのはいつになるか、できるだけ早く調査結果を知りたかった。
今の心境では、レイチェルを抱きたいとは思わない。
しかし、それをいつまで躱せるかわからない。
周期的に考えれば、レイチェルは月のものが終わって数日。
そろそろ妊娠しやすい時期に入るので、必ず誘ってくるはずだから。
何年もの間レイチェルが妊娠することを望んでいたというのに、避けようとするなんて。
不審の種が芽吹きそうでウズウズしているのがわかる。
それが先入観になりそうなので、なんとか押しとどめる。
今晩もシェリーナのところに行きたい。
でも、そうするとレイチェルは泣くだろう。いや、怒るか?
今更な気もするが、仕方がない。夜中まで仕事をしよう。そして自分の部屋で寝る。
5日前、罵られたんだ。
自分からレイチェルに会いに行く必要はないと自分を納得させた。
レイチェルは拗ねているのか、2日経っても何も言いに来なかった。
折れるのは自分ではなく私だと言いたいのだろう。
何故、私が許しを請うと思うのか。それがレイチェルを甘やかした自分のせいだと気づいた。
そうだな。下手に出ていたのは私だ。レイチェルはずっと王女様。
自分から謝るなどプライドが許さないだろう。
そして、ラーズが戻ってきた。
「お疲れ様。話は聞けたか?」
「ええ。ですが、同じ話をしたのは二度目だということでした。」
「……誰が先に聞きに行ったかはわかっている。問題ない。早速調査結果を聞いていいか?」
「ええ。覚悟して聞いてくださいね。」
ラーズは、レイチェルの元婚約者から聞いた話を婚約当時のことから語った。
レイチェルは末の王女で父である国王陛下に可愛がられていた。
なので、国内に嫁がせようと8歳の時に公爵令息セザールと婚約した。これが元婚約者。
公爵令息は2歳上の真面目な令息だった。彼が14歳で学園に入学するまでは仲が良かった。
入学してからは前ほど会えなくなった。
2年後、レイチェルが入学してからは学園でも会うことができた。
しかし、入学前に教育の一つとして閨に関する知識の勉強があったらしい。
興味を覚えたレイチェルは、どうせ結婚するのだからとセザールを誘った。
当然、セザールは断った。王女はまだ14歳。性的な目で見たことすらなかった。
学園でそんな会話をしたため、たまたま聞いていた者たちがいた。
それが、セザールより一つ上の最終学年の令息たち。
遊び上手な3人の令息に声をかけられ、レイチェルの興味は更に煽られた。
『避妊薬があるし、妊娠しなければ問題ないよ』
『王女が純潔でなくても単なる貴族令息は文句は言えないよ』
『男がいろんな女を知るように女がいろんな男を知ってもおかしくないよ』
令嬢は純潔で嫁ぐと学んだが、彼らは婚約者と既に閨事をしていると言った。
レイチェルは婚約者には断られたというと、婚約者に経験がないからではないかと男が言った。
『男に経験がないのであれば女にあれば閨事は上手くいく』
その言葉で、レイチェルは令息3人に手ほどきをお願いした。
この、レイチェルから頼んだというのが大事だったのだ。
代わる代わる3人の令息に抱かれて、レイチェルは純潔を失った。
その関係は彼らが卒業する少し前まで続いた。
なぜ、婚約者だったセザールがこんなに詳しく知っているかって?
それはレイチェルとの関係を怪しんだセザールが、令息3人に確かめたからだった。
卒業後はそれぞれ婚約者と結婚するため、レイチェルとの関係は終わったと告げられた。
誘ったのはレイチェルから。
無理強いしたことなどない。
経験のない婚約者を喜ばせるために、レイチェルはいろいろ覚えたよ。
これからは君がレイチェルと楽しんで。
避妊薬は飲ませていたから、妊娠はしてないよ。
そう言われたセザールは、どうにかして婚約を解消したくなったという。
しかし、それはレイチェルの望みともなる出来事が訪れた。
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