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序章 仇討ち編
12.仇討ち
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「見えてきました。そろそろ久留里地区に入ります!」
「よし、山への麓の辺りで止めてくれ」
「はい!」
車両を山道に続くところへ置いてそこからは徒歩で向かい事にした。皆武器やサバイバル道具を持って車から降りる。
鍵を閉めてGPS信号が発進されていることを確認すると山へ入る。このGPSを頼りに戻ってくることになる為、確認は怠れない。
「ここからは静かに警戒して行くぞ。いいな?」
コクリと頷くのを確認して山へと分け入っていく。
俺を先頭に幸地、早波、魔法銃部隊、遠距離魔法部隊、治癒部隊、殿が力也という体制で進んでいる。
なにかあった時に力也のパワーは助けになること間違いなしと思っての配置だ。
険しい山の中を五感を研ぎ澄ましながら山頂を目指して登っていく。
ここの山はそこまで高い山ではないが、体力が消耗される。
(こんなことでへばるようでは、鍛錬が足りないな。戻ったら鍛え直さなければ)
しばらく上るとジスパーダの物と思われる戦闘服の切れ端が落ちていた。
この辺りで秀人達は戦ったという事か。
辺りを警戒する。
「それは?」
「戦闘服の切れ端だ。この辺りで戦闘があったんだろう」
「では、近くに?」
「可能性はある」
刀をいつでも抜けるように構えながら登る。
────ガサガサッ
斜め前の方向から草をかきわける音がする。
中止していると白いウサギのようなものが飛んできた。
「なんだウサギ────」
「────構えろ!」
ウサギはホーンラビットというウサギに角が生えた魔物だった。しかし、それは何かに追われていた。追っていたものが今来るはずだ。
ホーンラビットは切り捨てて来るものに備える。
黒い影が見えた。デカい。やはり。牛鬼と言っていたが、あれはミノタウロスだ。あっちに居た時のランクはBランク相当だ。こっちの世界では今の所、最上位に強い魔物だ。
「やつは強いぞ! 心してかかれ! 油断するなよ!?」
「「「はっ!」」」
まずは俺が前に出て抑える。手持ちの斧を振り下ろしてくる。刃を添えて受け流す。
────スドンッッッ
凄まじい力の振り下ろしに土がめくり上がり、そこかしこに土や石を飛ばしていく。
今が振り下ろしていて隙がある。そう察知して足を切りつける為、横薙ぎに刀を振るった。
────ギィィィィィンッ
何かに行く手を阻まれた。
それは、俺が秀人に渡した。『神明』であった。この魔物が持っていたのだ。どおりで発見されないわけだ。
「オマエ、ナカナカヤル」
この魔物話ができるのか? それに俺は驚いた。このランクの魔物が話すわけないのに。咄嗟に距離を取った。
「お前、しゃべれるのか?」
「ニンゲン、クッタラ。ハナセル、ナッタ」
頭に血が上るのが分かる。こんなに頭にきたことが過去あっただろうか。この笑い方は人を自分より下の者だと思っている。完全に自分が狩る側だと思っている。
「そうか。もうしゃべるな。頭が沸騰しそうだ」
────ゴオウッ
体から青い炎が噴き出す。これは皆で討伐して意味があるんだ。そう思って討伐隊も組んだ。そして指導もした。だが、もうどうでもいい。
「コノケン、イイ。モッテタヤツ、オシカッタ」
「口を開くなぁぁぁぁ! 魔物風情がぁぁぁぁ!」
幸地にアイコンタクトをしてから俺はミノタウロスに切りかかった。
斧を横にして阻まれる。
そこに刀で切り付けてくる。
そういうつかい方か。
わかってねぇなぁ。
手首に回し蹴りを放つ。
刀を落としはしなかった。
だが、いいんだ。
積み重ねるだけ。
もう一度切りかかる。また同じことの繰り返しだった。話せるようになったと言っても所詮、脳は魔物だ。
手首目掛けてまた蹴りを放ち寸止めする。
ミノタウロスは手を引っ込めた。
クルリと回りバックスピンキックを放つ。
「せいっ!」
「ゴオォォォ」
叫びながら腰を折る。
────ズバンッッッ
ミノタウロスの腕から手首と『神明』が切り離されて飛ぶ。
俺はそれを掴むと飛びのいた。
ここまで三秒だ。
────ビィィィィィィィ
二本のレーザービームがミノタウロスの心臓部を貫通した。
しまいだな。
「ファイヤーアロー!」
「ライジングボルト!」
炎の矢が深々と突き刺さり天から舞い降りてきた稲妻により消し炭となった。
(秀人。おまえの相棒は取り返したぞ。そして、ジスパーダが仇をとった。お前は負けちゃいない。俺達は勝ったんだ)
「やりましたね! 武藤隊長! やっぱすごいです!」
「幸地が俺の合図を受け取ってくれたからよかったんだよ。ありがとな」
「ぼ、僕は、できる事をしようとしただけです!」
さっき言ったことを実践したということか。部下の成長ってのは本当に早いもんだな。
「アッシの大剣の出番はありませんでしたねぇ」
「アタイの素早さも出番はなかったねぇ」
力也と早波は不満そうに言っているが口は笑っている。
「仕方ないですよ! 力と速さと技! 全てを兼ね備えた隊長が相手しちゃいましたからね!」
「なんかすまん」
頭に手を置いて謝るとみんな笑顔になった。
「さぁ、帰りましょう!」
「だな。この『神明』は天地家に渡そう」
刀しかないけどしかたない。
鞘はもう一度作ってもらうか。
抜きみだと危ないので着替えで持ってきた服を切り裂いて巻き付けて持ち帰ることにしたのであった。
(ジスパーダは強い。秀人これからもっと強くなるぞ! 空から見ててくれよ?)
見上げた空は綺麗な夕日やけ空だった。
「よし、山への麓の辺りで止めてくれ」
「はい!」
車両を山道に続くところへ置いてそこからは徒歩で向かい事にした。皆武器やサバイバル道具を持って車から降りる。
鍵を閉めてGPS信号が発進されていることを確認すると山へ入る。このGPSを頼りに戻ってくることになる為、確認は怠れない。
「ここからは静かに警戒して行くぞ。いいな?」
コクリと頷くのを確認して山へと分け入っていく。
俺を先頭に幸地、早波、魔法銃部隊、遠距離魔法部隊、治癒部隊、殿が力也という体制で進んでいる。
なにかあった時に力也のパワーは助けになること間違いなしと思っての配置だ。
険しい山の中を五感を研ぎ澄ましながら山頂を目指して登っていく。
ここの山はそこまで高い山ではないが、体力が消耗される。
(こんなことでへばるようでは、鍛錬が足りないな。戻ったら鍛え直さなければ)
しばらく上るとジスパーダの物と思われる戦闘服の切れ端が落ちていた。
この辺りで秀人達は戦ったという事か。
辺りを警戒する。
「それは?」
「戦闘服の切れ端だ。この辺りで戦闘があったんだろう」
「では、近くに?」
「可能性はある」
刀をいつでも抜けるように構えながら登る。
────ガサガサッ
斜め前の方向から草をかきわける音がする。
中止していると白いウサギのようなものが飛んできた。
「なんだウサギ────」
「────構えろ!」
ウサギはホーンラビットというウサギに角が生えた魔物だった。しかし、それは何かに追われていた。追っていたものが今来るはずだ。
ホーンラビットは切り捨てて来るものに備える。
黒い影が見えた。デカい。やはり。牛鬼と言っていたが、あれはミノタウロスだ。あっちに居た時のランクはBランク相当だ。こっちの世界では今の所、最上位に強い魔物だ。
「やつは強いぞ! 心してかかれ! 油断するなよ!?」
「「「はっ!」」」
まずは俺が前に出て抑える。手持ちの斧を振り下ろしてくる。刃を添えて受け流す。
────スドンッッッ
凄まじい力の振り下ろしに土がめくり上がり、そこかしこに土や石を飛ばしていく。
今が振り下ろしていて隙がある。そう察知して足を切りつける為、横薙ぎに刀を振るった。
────ギィィィィィンッ
何かに行く手を阻まれた。
それは、俺が秀人に渡した。『神明』であった。この魔物が持っていたのだ。どおりで発見されないわけだ。
「オマエ、ナカナカヤル」
この魔物話ができるのか? それに俺は驚いた。このランクの魔物が話すわけないのに。咄嗟に距離を取った。
「お前、しゃべれるのか?」
「ニンゲン、クッタラ。ハナセル、ナッタ」
頭に血が上るのが分かる。こんなに頭にきたことが過去あっただろうか。この笑い方は人を自分より下の者だと思っている。完全に自分が狩る側だと思っている。
「そうか。もうしゃべるな。頭が沸騰しそうだ」
────ゴオウッ
体から青い炎が噴き出す。これは皆で討伐して意味があるんだ。そう思って討伐隊も組んだ。そして指導もした。だが、もうどうでもいい。
「コノケン、イイ。モッテタヤツ、オシカッタ」
「口を開くなぁぁぁぁ! 魔物風情がぁぁぁぁ!」
幸地にアイコンタクトをしてから俺はミノタウロスに切りかかった。
斧を横にして阻まれる。
そこに刀で切り付けてくる。
そういうつかい方か。
わかってねぇなぁ。
手首に回し蹴りを放つ。
刀を落としはしなかった。
だが、いいんだ。
積み重ねるだけ。
もう一度切りかかる。また同じことの繰り返しだった。話せるようになったと言っても所詮、脳は魔物だ。
手首目掛けてまた蹴りを放ち寸止めする。
ミノタウロスは手を引っ込めた。
クルリと回りバックスピンキックを放つ。
「せいっ!」
「ゴオォォォ」
叫びながら腰を折る。
────ズバンッッッ
ミノタウロスの腕から手首と『神明』が切り離されて飛ぶ。
俺はそれを掴むと飛びのいた。
ここまで三秒だ。
────ビィィィィィィィ
二本のレーザービームがミノタウロスの心臓部を貫通した。
しまいだな。
「ファイヤーアロー!」
「ライジングボルト!」
炎の矢が深々と突き刺さり天から舞い降りてきた稲妻により消し炭となった。
(秀人。おまえの相棒は取り返したぞ。そして、ジスパーダが仇をとった。お前は負けちゃいない。俺達は勝ったんだ)
「やりましたね! 武藤隊長! やっぱすごいです!」
「幸地が俺の合図を受け取ってくれたからよかったんだよ。ありがとな」
「ぼ、僕は、できる事をしようとしただけです!」
さっき言ったことを実践したということか。部下の成長ってのは本当に早いもんだな。
「アッシの大剣の出番はありませんでしたねぇ」
「アタイの素早さも出番はなかったねぇ」
力也と早波は不満そうに言っているが口は笑っている。
「仕方ないですよ! 力と速さと技! 全てを兼ね備えた隊長が相手しちゃいましたからね!」
「なんかすまん」
頭に手を置いて謝るとみんな笑顔になった。
「さぁ、帰りましょう!」
「だな。この『神明』は天地家に渡そう」
刀しかないけどしかたない。
鞘はもう一度作ってもらうか。
抜きみだと危ないので着替えで持ってきた服を切り裂いて巻き付けて持ち帰ることにしたのであった。
(ジスパーダは強い。秀人これからもっと強くなるぞ! 空から見ててくれよ?)
見上げた空は綺麗な夕日やけ空だった。
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