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第一章 秋田編
15.異世界化の手掛かり?
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「おはようございます!」
「あれ? 今日は休みじゃないんすか?」
「はははっ。ちょっと調べたいことがあってな」
基地の入口で隊員にそう言われ気恥ずかしくなって笑って誤魔化す。
本当の所、連休なんて貰う事なかったから暇なんだけど、そんなこと言ったら寂しい奴だと思われちゃうから言うまい。
この魔人戦闘部隊は世界各国にある機関となっているが、一応独立した世界的な組織となっている。実は資料館が敷地内にあるのだ。
その資料館というのがこれまでの歴史の調査資料がそこに詰め込まれているという事。それを今回は調べに来たのだ。
敷地内の端の方にこじんまりとある角ばった白い建物。それがこの基地の資料館だ。
入口で身分証代わりの認証カードを翳して入る。
中に入ると紙の匂いがするのと少しかび臭い。換気したりした方がいいと思うんだけどなぁ。一応冷房は入っているのでいいのかもしれないが。
自分の目的の所を探す。まずは歴史書でも読んでみようか。記憶が戻る前はこんなところ寄り付かなかったから、読んだことなんてなかったのだ。
分厚い「異世界化の歴史」という本を手に取りページをめくっていく。
内容は世間で言われているような内容とだいたい同じ。ある日突然魔物が発生した。それを最初に討伐したのは最初の魔人。その事実から、魔物の発生と魔人の発生はほぼ同時期だと言われているとある。
「この内容は読んでもあんまり役に立たなそうだな」
それ以降は魔物に関してとか私の考察といった著者の適当な見解が書いていて少し見たが、役には立たなそうだった。
他に何かないかとみていくと魔法に関しての考察が書かれたものもあった。それを手に取りページをめくる。
「魔法の属性に関しての考察か?」
それならと思いページをパラパラとめくると一個の写真が出てきた。突然出現した祠があったとのこと。場所は秋田の大湯環状列石だ。秋田県鹿角市にある縄文時代後期の遺跡に今までなかった祠があったようだ。
これは気になり携帯端末で検索する。
パワースポットとしてしられているそうだ。
「パワースポットねぇ」
誰かのいたずらかなと思いそのままスルー。
そもそも街も急に森林化したりして意味の分からない状態となっている。意味の分からない物だらけな為、気にしてはいられないのだ。
目ぼしいのはないと考え調査資料の方を見ることにした。
魔物の出現分布という資料があり、各地のジスパーダが調べた魔物の確認された場所に丸いシールが貼ってある地図が見つかった。
「ふーん。こんなに細かく調べてたんだなぁ」
当時は本当に忙しかったと聞いている。魔物の発生件数もかなり多かったのではないだろうか。ある程度の誤差はあるだろうが、大きな日本地図を机の上に広げてみた。
東京周辺と関西、東北、北海道、沖縄。満遍なく魔物が発生していたことを示している資料だった。
日本だけの資料だが、世界ともなると凄いことになるだろうな。そう思ったが、そうでもないらしい。世界の分布図だとそこまで被害は大きくないようだ。
「日本だけ? 標的にされている?」
異世界から標的にされる意味がわからないよなぁ。
日本が別に何をしたって……。
(あれ? 俺が日本から召喚されていったんだよな。その前は何ともなかったのに戻ってきたら異世界化していた。それまでにあったことといえば、魔王を倒したこと)
日本列島の地図の魔物の分布の多い所を見ていく。千葉、神奈川、埼玉と隣接している県が特に多い。最初に設立されたのが中央基地だ。
その次は石川、富山、岐阜、福井。このあたりと鹿児島、宮崎、熊本。東北は青森、岩手、宮城、山形。あとは北海道中心部と西部に位置する部分。
「パワースポットなんて沢山あるしなぁ」
さっきのパワースポットのことが頭を過ぎった。さっきのは秋田の遺跡だったところ。地図で見ると魔物は出現していない。
「ここは魔物出てないんだなぁ。だから真ん中に位置する岩手が東北基地の設置候補になったんだろうけどなぁ」
そもそも基地のある県にしか壁を設置しておらず、人間はその基地のある県にしか今はいない。それ以外は廃屋だ。
他に基地は西基地が富山にある。南基地が鹿児島に。北海道基地は北海道の真ん中あたりにあるんだが。
携帯端末で調べる石川、富山の辺りのパワースポットは。
「神社かぁ。あとは、能登半島の先端……珠洲岬。魔物は能登半島には出てない!」
これはひょっとするかもしれないぞ。もしかしたら魔物が集まっている場所じゃなくて、出現しない場所が鍵かもしれない。
だとしたら、鹿児島より南だと……屋久島とか種子島。パワースポットとしてはいっぱいある。どれが対象かはわからないな。
北海道は東方向だと三つの湖がある。この周辺になにかあるかもしれない。まずは秋田に行ってその祠とやらを確認しよう。
「これで当面の目的が決まったぞ。だが、これには調査団のようなものを設立する必要がある。それようのパーティを組まないとな」
もうすでに日が傾いていた。
明日も休みなんだが、いてもたっても居られない。武岩総長の所へ行って検討してもらおう。
「あれ? 今日は休みじゃないんすか?」
「はははっ。ちょっと調べたいことがあってな」
基地の入口で隊員にそう言われ気恥ずかしくなって笑って誤魔化す。
本当の所、連休なんて貰う事なかったから暇なんだけど、そんなこと言ったら寂しい奴だと思われちゃうから言うまい。
この魔人戦闘部隊は世界各国にある機関となっているが、一応独立した世界的な組織となっている。実は資料館が敷地内にあるのだ。
その資料館というのがこれまでの歴史の調査資料がそこに詰め込まれているという事。それを今回は調べに来たのだ。
敷地内の端の方にこじんまりとある角ばった白い建物。それがこの基地の資料館だ。
入口で身分証代わりの認証カードを翳して入る。
中に入ると紙の匂いがするのと少しかび臭い。換気したりした方がいいと思うんだけどなぁ。一応冷房は入っているのでいいのかもしれないが。
自分の目的の所を探す。まずは歴史書でも読んでみようか。記憶が戻る前はこんなところ寄り付かなかったから、読んだことなんてなかったのだ。
分厚い「異世界化の歴史」という本を手に取りページをめくっていく。
内容は世間で言われているような内容とだいたい同じ。ある日突然魔物が発生した。それを最初に討伐したのは最初の魔人。その事実から、魔物の発生と魔人の発生はほぼ同時期だと言われているとある。
「この内容は読んでもあんまり役に立たなそうだな」
それ以降は魔物に関してとか私の考察といった著者の適当な見解が書いていて少し見たが、役には立たなそうだった。
他に何かないかとみていくと魔法に関しての考察が書かれたものもあった。それを手に取りページをめくる。
「魔法の属性に関しての考察か?」
それならと思いページをパラパラとめくると一個の写真が出てきた。突然出現した祠があったとのこと。場所は秋田の大湯環状列石だ。秋田県鹿角市にある縄文時代後期の遺跡に今までなかった祠があったようだ。
これは気になり携帯端末で検索する。
パワースポットとしてしられているそうだ。
「パワースポットねぇ」
誰かのいたずらかなと思いそのままスルー。
そもそも街も急に森林化したりして意味の分からない状態となっている。意味の分からない物だらけな為、気にしてはいられないのだ。
目ぼしいのはないと考え調査資料の方を見ることにした。
魔物の出現分布という資料があり、各地のジスパーダが調べた魔物の確認された場所に丸いシールが貼ってある地図が見つかった。
「ふーん。こんなに細かく調べてたんだなぁ」
当時は本当に忙しかったと聞いている。魔物の発生件数もかなり多かったのではないだろうか。ある程度の誤差はあるだろうが、大きな日本地図を机の上に広げてみた。
東京周辺と関西、東北、北海道、沖縄。満遍なく魔物が発生していたことを示している資料だった。
日本だけの資料だが、世界ともなると凄いことになるだろうな。そう思ったが、そうでもないらしい。世界の分布図だとそこまで被害は大きくないようだ。
「日本だけ? 標的にされている?」
異世界から標的にされる意味がわからないよなぁ。
日本が別に何をしたって……。
(あれ? 俺が日本から召喚されていったんだよな。その前は何ともなかったのに戻ってきたら異世界化していた。それまでにあったことといえば、魔王を倒したこと)
日本列島の地図の魔物の分布の多い所を見ていく。千葉、神奈川、埼玉と隣接している県が特に多い。最初に設立されたのが中央基地だ。
その次は石川、富山、岐阜、福井。このあたりと鹿児島、宮崎、熊本。東北は青森、岩手、宮城、山形。あとは北海道中心部と西部に位置する部分。
「パワースポットなんて沢山あるしなぁ」
さっきのパワースポットのことが頭を過ぎった。さっきのは秋田の遺跡だったところ。地図で見ると魔物は出現していない。
「ここは魔物出てないんだなぁ。だから真ん中に位置する岩手が東北基地の設置候補になったんだろうけどなぁ」
そもそも基地のある県にしか壁を設置しておらず、人間はその基地のある県にしか今はいない。それ以外は廃屋だ。
他に基地は西基地が富山にある。南基地が鹿児島に。北海道基地は北海道の真ん中あたりにあるんだが。
携帯端末で調べる石川、富山の辺りのパワースポットは。
「神社かぁ。あとは、能登半島の先端……珠洲岬。魔物は能登半島には出てない!」
これはひょっとするかもしれないぞ。もしかしたら魔物が集まっている場所じゃなくて、出現しない場所が鍵かもしれない。
だとしたら、鹿児島より南だと……屋久島とか種子島。パワースポットとしてはいっぱいある。どれが対象かはわからないな。
北海道は東方向だと三つの湖がある。この周辺になにかあるかもしれない。まずは秋田に行ってその祠とやらを確認しよう。
「これで当面の目的が決まったぞ。だが、これには調査団のようなものを設立する必要がある。それようのパーティを組まないとな」
もうすでに日が傾いていた。
明日も休みなんだが、いてもたっても居られない。武岩総長の所へ行って検討してもらおう。
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