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第一章 秋田編
38.デートもどき
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「刃さんはどんな服が好きですか?」
「俺か? んー。まぁ落ち着いたものかなぁ。プリントTシャツとかは苦手だな。なんか無地がいい」
一体何の話をしているんだと自分でも思ってしまうが、俺に質問しているのは千紗だ。
今は盛岡市内にある大規模ショッピングモールへと来ている。なんでも買い物するのはここが一番なんだそうだ。また雷斗が「田舎だ」と言ったらどつかれていた。
今日も鍛錬をしようとしていた所を無理矢理連れてこられた。
四人で来たんだが、半分に別れようということで何故か男女の組み合わせになったのだ。というかそうさせられたのだ。
「じゃあ、あそことかどうですか?」
エスカレーターを登るとすぐ横に大人っぽい服装の店がある。
そこでは好きそうな無地の物が多い。
「いいかもな」
この職業柄おれは大柄な体をしている。言っちゃなんだが、かなり筋肉質だから伸びない素材だと動きづらいのだ。だからいつもジャージとかになってしまう。
「このTシャツにこのカーディガンとかに似合うと思いますよ?」
「本当か? いやー、俺カーディガンとか来たことないわ」
「絶対に会いますって! ガタイがいいからこそですよ!」
そう言われて無理矢理「試着室」と書いてあるところに押し込まれた。
「着てみてくださいよ! 着たら開けてくださいね!」
少し面倒だが、隊員のリフレッシュの為ならば仕方がないだろう。着替えてみると鏡に映る自分はあまり見たことがなくて少し困惑する。
カーテンをあけると目をギラギラさせた千紗がこちらを凝視していた。
(おいおい、こえぇよ)
「やぁっぱり似合ってますよぉ! いいじゃないですか! すみませーん! これ買います! このまま着て行っていいですか?」
千紗が勝手に買うと決めてしかも着たままらしい。金もその場で払い勝手に鋏を借りてタグを切っていく。なんて強引なことだろう。
「お、おい。金は自分で払うぞ?」
「いいんです。ここは、私がプレゼントしたいんです! さぁ、行きましょう!」
靴を履くとすぐにどこかへと連れていかれる。脱いだ服は紙袋に入れさせてもらった。なんだかデートみたいだなぁ。
そう思うとなんだかソワソワとしてしまう。自分に千紗は隊員だと言い聞かせて心の中の平静を保つようにしている。
連れていかれたのは女物の服屋さんだった。そこで合点がいった。プレゼントを自分もして欲しいってことなんだろうと。
「あの、これとこれのどっちがいいですか?」
「んー千紗にはこっちが似合うと思うぞ?」
「そうですか!? でも、このちょっとあるフリフリが嫌なんですよねぇ」
俺は耳を疑った。コイツ俺にどっちがいいか聞いたのに、いいと言った方を嫌いってどういうことだと。
(いやいや、落ち着け。聞いたことがあるぞ。秀人に。どっちがいいって聞くときは自分の意見と合うまで繰り返されるとかなんとか)
「これはどっちがいいと思います?」
「んーどっちも似合うと思うが……」
「どっちかって言ってるでしょ!」
これは逃げ場がないなぁ。なんで今日はこんなにガッツいてくるんだろうか。
「じゃあ、こっち!」
「じゃあってなに?」
(コイツめんどくせぇ)
「いや、なんでもないさ。あっ、これなんか似合いそうだけどな?」
必殺の別の服を進めよう作戦。この作戦だと選ぶ必要がない。俺が一つに決めるからだ。
「あっ! かわいいかも! 有難う御座います! これにする! これと合うのをさがそぉー!」
俺は一つの試練をクリアした。
まぁ隊員のリフレッシュのためだ。
こういった触れ合いもしておかないとな。
(そういえば、雷斗たちはどっちに行ったんだろうなぁ)
「刃さん! こっちに来てくださいよ!」
キョロキョロして店の外を見ていたら引っ張られた。
俺の試練はまだ続くらしい。
────ガシャァァン
どこかのガラスが割れる音だ。
咄嗟に店を出て音がした方を向く。
マラスが口に人を加えている。
窓のすぐそばを歩いていた人を食おうとしているようだ。
────ウゥゥゥゥゥゥ
建物内にサイレンが鳴り響く。
「行くぞ!」
俺と千紗はマラスの元へと急ぐ。
捕まっている人の救助が優先だ。
「ファイヤーアロー!」
火の矢を成形して射出する。マラスの頭を掠めた。
「ギャアァァァァ!」
叫んだ反動で加えていた人を落とした。
マラスの後方から雷斗が迫っている。
あいつに任せよう。マラスはこちらをむいて凝視している。
「ギィィィアァァァ」
闇の波動を放ってくる。
「ファイヤーボール!」
炎の球を打ち相殺させる。
「サンダーランス!」
雷斗の手には雷でできた槍が成形されている。
それをマラス目掛けて投げた。
こちらを気にしているマラスは後ろには気を使っていない。
────ズシュ! バリバリバリバリッッ!
「ギィアァァァァアア」
消し炭になって死に絶えた。
口から落ちた女性の元へと行く。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい。あの、有難う御座います! 魔人の方が居てくれたなんて……助かりました!」
急に起き上がって顔が近い気がする。
「は、はぁい! 離れましょうねぇ! あたしは治癒部隊なので、怪我がないか見ますねぇ?」
そう言って俺から女性を引き離していく。
(何やってんだあいつ?)
「俺か? んー。まぁ落ち着いたものかなぁ。プリントTシャツとかは苦手だな。なんか無地がいい」
一体何の話をしているんだと自分でも思ってしまうが、俺に質問しているのは千紗だ。
今は盛岡市内にある大規模ショッピングモールへと来ている。なんでも買い物するのはここが一番なんだそうだ。また雷斗が「田舎だ」と言ったらどつかれていた。
今日も鍛錬をしようとしていた所を無理矢理連れてこられた。
四人で来たんだが、半分に別れようということで何故か男女の組み合わせになったのだ。というかそうさせられたのだ。
「じゃあ、あそことかどうですか?」
エスカレーターを登るとすぐ横に大人っぽい服装の店がある。
そこでは好きそうな無地の物が多い。
「いいかもな」
この職業柄おれは大柄な体をしている。言っちゃなんだが、かなり筋肉質だから伸びない素材だと動きづらいのだ。だからいつもジャージとかになってしまう。
「このTシャツにこのカーディガンとかに似合うと思いますよ?」
「本当か? いやー、俺カーディガンとか来たことないわ」
「絶対に会いますって! ガタイがいいからこそですよ!」
そう言われて無理矢理「試着室」と書いてあるところに押し込まれた。
「着てみてくださいよ! 着たら開けてくださいね!」
少し面倒だが、隊員のリフレッシュの為ならば仕方がないだろう。着替えてみると鏡に映る自分はあまり見たことがなくて少し困惑する。
カーテンをあけると目をギラギラさせた千紗がこちらを凝視していた。
(おいおい、こえぇよ)
「やぁっぱり似合ってますよぉ! いいじゃないですか! すみませーん! これ買います! このまま着て行っていいですか?」
千紗が勝手に買うと決めてしかも着たままらしい。金もその場で払い勝手に鋏を借りてタグを切っていく。なんて強引なことだろう。
「お、おい。金は自分で払うぞ?」
「いいんです。ここは、私がプレゼントしたいんです! さぁ、行きましょう!」
靴を履くとすぐにどこかへと連れていかれる。脱いだ服は紙袋に入れさせてもらった。なんだかデートみたいだなぁ。
そう思うとなんだかソワソワとしてしまう。自分に千紗は隊員だと言い聞かせて心の中の平静を保つようにしている。
連れていかれたのは女物の服屋さんだった。そこで合点がいった。プレゼントを自分もして欲しいってことなんだろうと。
「あの、これとこれのどっちがいいですか?」
「んー千紗にはこっちが似合うと思うぞ?」
「そうですか!? でも、このちょっとあるフリフリが嫌なんですよねぇ」
俺は耳を疑った。コイツ俺にどっちがいいか聞いたのに、いいと言った方を嫌いってどういうことだと。
(いやいや、落ち着け。聞いたことがあるぞ。秀人に。どっちがいいって聞くときは自分の意見と合うまで繰り返されるとかなんとか)
「これはどっちがいいと思います?」
「んーどっちも似合うと思うが……」
「どっちかって言ってるでしょ!」
これは逃げ場がないなぁ。なんで今日はこんなにガッツいてくるんだろうか。
「じゃあ、こっち!」
「じゃあってなに?」
(コイツめんどくせぇ)
「いや、なんでもないさ。あっ、これなんか似合いそうだけどな?」
必殺の別の服を進めよう作戦。この作戦だと選ぶ必要がない。俺が一つに決めるからだ。
「あっ! かわいいかも! 有難う御座います! これにする! これと合うのをさがそぉー!」
俺は一つの試練をクリアした。
まぁ隊員のリフレッシュのためだ。
こういった触れ合いもしておかないとな。
(そういえば、雷斗たちはどっちに行ったんだろうなぁ)
「刃さん! こっちに来てくださいよ!」
キョロキョロして店の外を見ていたら引っ張られた。
俺の試練はまだ続くらしい。
────ガシャァァン
どこかのガラスが割れる音だ。
咄嗟に店を出て音がした方を向く。
マラスが口に人を加えている。
窓のすぐそばを歩いていた人を食おうとしているようだ。
────ウゥゥゥゥゥゥ
建物内にサイレンが鳴り響く。
「行くぞ!」
俺と千紗はマラスの元へと急ぐ。
捕まっている人の救助が優先だ。
「ファイヤーアロー!」
火の矢を成形して射出する。マラスの頭を掠めた。
「ギャアァァァァ!」
叫んだ反動で加えていた人を落とした。
マラスの後方から雷斗が迫っている。
あいつに任せよう。マラスはこちらをむいて凝視している。
「ギィィィアァァァ」
闇の波動を放ってくる。
「ファイヤーボール!」
炎の球を打ち相殺させる。
「サンダーランス!」
雷斗の手には雷でできた槍が成形されている。
それをマラス目掛けて投げた。
こちらを気にしているマラスは後ろには気を使っていない。
────ズシュ! バリバリバリバリッッ!
「ギィアァァァァアア」
消し炭になって死に絶えた。
口から落ちた女性の元へと行く。
「大丈夫ですか!?」
「は、はい。あの、有難う御座います! 魔人の方が居てくれたなんて……助かりました!」
急に起き上がって顔が近い気がする。
「は、はぁい! 離れましょうねぇ! あたしは治癒部隊なので、怪我がないか見ますねぇ?」
そう言って俺から女性を引き離していく。
(何やってんだあいつ?)
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