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第一章 秋田編
42.秋田へ出発
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秋田へ出発する日がやってきた。
少しの休暇だったが、リフレッシュできたしこの基地にも良い絆ができたと思っている。
大湯環状列石の遺跡まではここから少しだけ北上して少し西へと進む計画でルートを教えて貰った。
岩手を出てから割りとすぐだということと高速は途切れているところがあるというので下道で行くことにしたのだ。
それを教えてくれたのも昨日俺が指導した隊員達だった。
みんなに見送られながら東北基地を後にする。
念の為に東北基地での休暇を終えて秋田へ向かうということは武岩総長には伝えている。これで連絡がとれなくなったら俺達は全滅したという事になる。
「なんか最初はどうなるかと思ったっすけど、最後には仲良くなれてよかったっす」
「そうだな。雷斗は鍛え直しだけどな? 一矢報いることができるとおもったんだがな?」
「いやいや! 相手は刀剣部隊ですよ!? 難しいですよぉ」
雷斗は慌てて相手がいかに強いかを語っていた。
それだけ相手を認めているということだろう。
「刃さん随分仲良くなってませんでした? 昨日とか指導したとか聞きましたけど?」
「あぁ。実は訓練場に行ったら指導してくれと頼まれてな。あんまり熱心だったんで指導にも力が入ってな。刀剣部隊で放出系の魔法を撃てるようになったやつがいた」
昨日集まった刀剣部隊員が三十人くらい。そのうちの六人くらいは魔法を撃つことができた。後は時間の問題だろう。
「はぁ!? マジっすか!? 刀剣部隊員が魔法を撃ったんすか!?」
「あぁ。教えたらできたぞ。戻ったらウチのやつらにも教えよう。できるとできないでは戦術の幅が段違いだからな」
「いや、異常ですよ!」
そういう先入観が魔法を使えなくしているっていうのもあるんだよな。使えると思ってやってみれば案外できる物なのだ。
「もしかして、私にもできます!?」
凄くキラキラした目で千紗が見てくる。
少し考えを巡らせる。
(俺は空気中の魔素を魔力器官に補充して魔法を撃っている。それをそのまま使えるとしたら……あぁ、でも魔力周波が一人一人違うからなぁ)
「刃さん大丈夫ですか? すみません。私が余計なこといったから困りましたよね……」
「いや、実はイケルかもしれないと思ってな。それで考えてみたんだが、試してみる価値はあると思うぞ」
「本当ですか!?」
「今度やってみるか?」
「是非!」
運転そっちのけでこっちを見る物だから蛇行して危なかった。
他に車は通っていないから大丈夫だったが。
この車、燃料が実は魔石なのだ。ジスパーダの技術で作り上げたものだからなんだが。他のガソリン等の燃料は今、輸入できていないのだ。だから魔石を動力にするしかなかった。
一種の魔装置なわけだが、今はそういった装置を機械工学や魔法学の研究者が競って作成している。
だから車は走っていないのだ。
「ワタクシも魔法を撃ちたいのですわ」
「冬華も撃てないのか?」
「えぇ。魔法銃に魔力を込める事しかやったことがないのですわ。後は照準を合わせる練習ばかりですわ」
今のジスパーダも成長しないとな。折角の魔人を宝の持ち腐れだ。折角魔法が使えるんだから使った方がいいのに。
得手不得手があるといっても一つも撃てないということはないのだから。魔力量を考えて魔法を行使すれば何かしらは撃つことが可能なのだ。
それは誰かが教えてあげないとわからないこと。俺が皆に教えてあげるしかないだろう。これで更なる戦力強化になる。
「なら、また時間ができたときに教えるとしようか」
「お願いしますわ」
そんな話をしていたら街並みは過ぎ去り、木々が生い茂ってきた。
大きい道路を道なりに進んでいけばいいような話だった。
途中安代という少し西にある土地の方へと行けば遺跡につけるんだそうだ。
壁の中だから魔物が出てくる心配はほぼない。
だからあまり警戒しなくてもいいのだ。
「そういえば、雷斗はあの男性隊員とは和解したのか?」
俺はこのタイミングしかないと思い気になっていたことを聞いてみた。また帰りに通るかもしれない。その時に遺恨を残していては来づらいだろう。
「和解したっすよ。やっぱり自分に話し掛けていた女性隊員のことが好きだったようっす。自分は興味ないって伝えたら謝罪されたっす」
「言い方!」
「言い方が酷いですわ」
女性陣から言いたいことがあるようだが、あの男性隊員と和解したならよかった。
「アイツの端末番号聞いたんすよ。どうなったか、気になるじゃないっすかぁ」
「どの口がいってんのよ」
「自分のことを気にしてほしいですわ」
またしても鋭い突っ込みが入る。
「なんか二人とも当たりが強くないっすか!?」
「調子乗ってるからよ!」
「自分の胸に聞くといいですわ」
女性隊員を侍らせてたのが凄い反感を買ったらしい。
目がもう蔑んだ眼をしていて俺そんな目でみられたら生きた心地がしないな。
「まぁ。二人とも、言いたいことがあるならいった方がいいぞ。あと、私情を挟んでチームワークに影響させないよう、配慮してくれよ? これは重要な任務なんだからな」
「はぁーい」
「はぁ。仕方ないですわ」
「俺何かしたっけ!?」
雷斗のこの言葉は自覚がなさ過ぎた。俺も頭を抱えてしまい、案の定……。
「クソ優男が!」
「ボンクラ野郎ですわ!」
言いたいことを伝えたようだったのだ。
(このチームちょっと心配になってきたなぁ)
少しの休暇だったが、リフレッシュできたしこの基地にも良い絆ができたと思っている。
大湯環状列石の遺跡まではここから少しだけ北上して少し西へと進む計画でルートを教えて貰った。
岩手を出てから割りとすぐだということと高速は途切れているところがあるというので下道で行くことにしたのだ。
それを教えてくれたのも昨日俺が指導した隊員達だった。
みんなに見送られながら東北基地を後にする。
念の為に東北基地での休暇を終えて秋田へ向かうということは武岩総長には伝えている。これで連絡がとれなくなったら俺達は全滅したという事になる。
「なんか最初はどうなるかと思ったっすけど、最後には仲良くなれてよかったっす」
「そうだな。雷斗は鍛え直しだけどな? 一矢報いることができるとおもったんだがな?」
「いやいや! 相手は刀剣部隊ですよ!? 難しいですよぉ」
雷斗は慌てて相手がいかに強いかを語っていた。
それだけ相手を認めているということだろう。
「刃さん随分仲良くなってませんでした? 昨日とか指導したとか聞きましたけど?」
「あぁ。実は訓練場に行ったら指導してくれと頼まれてな。あんまり熱心だったんで指導にも力が入ってな。刀剣部隊で放出系の魔法を撃てるようになったやつがいた」
昨日集まった刀剣部隊員が三十人くらい。そのうちの六人くらいは魔法を撃つことができた。後は時間の問題だろう。
「はぁ!? マジっすか!? 刀剣部隊員が魔法を撃ったんすか!?」
「あぁ。教えたらできたぞ。戻ったらウチのやつらにも教えよう。できるとできないでは戦術の幅が段違いだからな」
「いや、異常ですよ!」
そういう先入観が魔法を使えなくしているっていうのもあるんだよな。使えると思ってやってみれば案外できる物なのだ。
「もしかして、私にもできます!?」
凄くキラキラした目で千紗が見てくる。
少し考えを巡らせる。
(俺は空気中の魔素を魔力器官に補充して魔法を撃っている。それをそのまま使えるとしたら……あぁ、でも魔力周波が一人一人違うからなぁ)
「刃さん大丈夫ですか? すみません。私が余計なこといったから困りましたよね……」
「いや、実はイケルかもしれないと思ってな。それで考えてみたんだが、試してみる価値はあると思うぞ」
「本当ですか!?」
「今度やってみるか?」
「是非!」
運転そっちのけでこっちを見る物だから蛇行して危なかった。
他に車は通っていないから大丈夫だったが。
この車、燃料が実は魔石なのだ。ジスパーダの技術で作り上げたものだからなんだが。他のガソリン等の燃料は今、輸入できていないのだ。だから魔石を動力にするしかなかった。
一種の魔装置なわけだが、今はそういった装置を機械工学や魔法学の研究者が競って作成している。
だから車は走っていないのだ。
「ワタクシも魔法を撃ちたいのですわ」
「冬華も撃てないのか?」
「えぇ。魔法銃に魔力を込める事しかやったことがないのですわ。後は照準を合わせる練習ばかりですわ」
今のジスパーダも成長しないとな。折角の魔人を宝の持ち腐れだ。折角魔法が使えるんだから使った方がいいのに。
得手不得手があるといっても一つも撃てないということはないのだから。魔力量を考えて魔法を行使すれば何かしらは撃つことが可能なのだ。
それは誰かが教えてあげないとわからないこと。俺が皆に教えてあげるしかないだろう。これで更なる戦力強化になる。
「なら、また時間ができたときに教えるとしようか」
「お願いしますわ」
そんな話をしていたら街並みは過ぎ去り、木々が生い茂ってきた。
大きい道路を道なりに進んでいけばいいような話だった。
途中安代という少し西にある土地の方へと行けば遺跡につけるんだそうだ。
壁の中だから魔物が出てくる心配はほぼない。
だからあまり警戒しなくてもいいのだ。
「そういえば、雷斗はあの男性隊員とは和解したのか?」
俺はこのタイミングしかないと思い気になっていたことを聞いてみた。また帰りに通るかもしれない。その時に遺恨を残していては来づらいだろう。
「和解したっすよ。やっぱり自分に話し掛けていた女性隊員のことが好きだったようっす。自分は興味ないって伝えたら謝罪されたっす」
「言い方!」
「言い方が酷いですわ」
女性陣から言いたいことがあるようだが、あの男性隊員と和解したならよかった。
「アイツの端末番号聞いたんすよ。どうなったか、気になるじゃないっすかぁ」
「どの口がいってんのよ」
「自分のことを気にしてほしいですわ」
またしても鋭い突っ込みが入る。
「なんか二人とも当たりが強くないっすか!?」
「調子乗ってるからよ!」
「自分の胸に聞くといいですわ」
女性隊員を侍らせてたのが凄い反感を買ったらしい。
目がもう蔑んだ眼をしていて俺そんな目でみられたら生きた心地がしないな。
「まぁ。二人とも、言いたいことがあるならいった方がいいぞ。あと、私情を挟んでチームワークに影響させないよう、配慮してくれよ? これは重要な任務なんだからな」
「はぁーい」
「はぁ。仕方ないですわ」
「俺何かしたっけ!?」
雷斗のこの言葉は自覚がなさ過ぎた。俺も頭を抱えてしまい、案の定……。
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言いたいことを伝えたようだったのだ。
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