14 / 46
14.リアルで集合
しおりを挟む
昨日はあぁ言ったものの、俺はリハビリと家の往復をするだけのオッサンだ。現役時代のギラギラした服は着たくない。
まず、会いに行くための服を買わないといけない。今日のリハビリが終わったら買って帰ることにしよう。
何となく平日はリハビリが忙しくてゲームをやることが出来ず、また週末が近付いて来ていた。
そんな時、現天獄と同期させていたアプリからの通知がスマホに入っていた。
『この前のオフ会の話なんだけど、今度の土曜の夜六時からでどう? 場所はここ↓』
差出人はバカラさんだ。場所を示す地図までついてる。あの人がリーダーだからこういう事も取りまとめてたりするんだろうか?
オッケーですと返信して洋服を見繕って適当に買う。三十のおっさんだからあんまりギラギラした服じゃなくてTシャツにジャケット、パンツに肩掛けの小さいバッグでいいでしょ。
普段ジャージしか着てないからなぁ。
杖あるからいい格好してもしょうがないんだけどね。
それでも、週末を少し楽しみにしている自分がいた。
そして、週末を迎えた。
オフ会の場所は日本中心部の第一都心部の二区の駅の近くの店だった。
電車で移動してゆっくりと徒歩で杖をついていく。
六時まではあと二十分ある。
このペースで歩けば丁度いいだろう。
歩き方が不格好だが、一生懸命歩いているのだ。
ようやく着いた店はこじんまりとした焼肉屋さんであった。名を「肉肉肉」だそうだ。ふざけているのかと心配になってしまう。
店の前でぼんやりと立っているとビシッと髪をオールバックに固めたスーツの人が店の扉を開けた。
ジィって見て居ると、こちらをチラッとみて怪訝な顔をした。
「もしかして、ここに用ですか?」
そう聞かれた俺は違いますと言いそうになるが言葉を飲み込む。
「は、はぃ。ゲームのオフ会で……」
「ギャハハハハハ! おいおい! 待てよ! あれ!? 世良じゃね!? あの野球の! そうだよな!? えっ!? マセラって……あぁ! そういう事!? マジかよ!」
あぁ。この反応はバカらさんだなと思い口が引きつるのがわかる。知ってる人はそうなりますよね。
バカラさんはしばらく騒いで納得はすると手招きした。
「マセラ、いやぁ驚いた。そして納得したわ。あの速度で動けるのはお前の動体視力があったからだったんだな。有名だったもんな? 選球眼がいいって。そして、去年だったか? 事故にあったのは?」
「はははっ。よくご存知で」
「俺っち野球も見るからさ。付き合いで野球の話がよく出るだろ? だから、見るようにしてたんだ。ましてや、世界で活躍した人だもんな。多分みんないる。中で話そうや」
「はい」
少し縮こまりながらも中に入る。
ホントにこじんまりとした店で他にお客さんはいない様子だった。
「おいみんな! さっき店先であった。この人がマセラだ。知ってる人、居るんじゃないか?」
アロハシャツみたいなのを着ている小柄な人、ハンチングを被っているおじ様、高級そうな仕立てのいい服を着ているクルクルヘアの人、そして、奇抜な模様の服を着ている小柄な子。
その人達がテーブルを囲んでいた。
奇抜な子以外が立ち上がって目を見開き、アハロシャツは指をさして声を上げた。
「世良 真やん! WBC出てた人やん!」
「こりゃ驚くであるな。まさか本当にプロのアスリートだったとは……」
おじ様が口を開けて驚いている。
そして、おれも驚いたことがある。
式典で会ったことがある人が居たからだ。
「シルフィって、風花お嬢様だったんですか……」
「マセラ様が、世良様? あぁ。なんと……運命を感じてしまいます。神よありがとうございます」
なんだかよく分からないが、ちょっと変なスイッチ入ってる?
「えっ? みんな知ってるの? 僕知らない」
この子はアルトだな。
知らないのも無理はない。野球に興味なければ知りもしないだろう。
初対面はこんな感じだった。
まず席に座りそれぞれ自己紹介する。
バカラは馬場《ばば》 桂《かつら》
アロハのキンドが金田一《きんだいち》 暁斗《あきと》
おじ様のシルドが宍戸《ししど》 琉戸《るうど》
お嬢様はシルフィ、風間《かざま》 風花《ふうか》
奇抜なアルトは有戸《ありと》 瑠奈《るな》
なんか合コンみたいだな。
そんな感想を抱きながら乾杯した。
「いやー、驚いたわ。まさか、有名人だとは」
「ちょっと躊躇ってた理由が分かったわ! そら、なんか気まずいやんな? 報道が結構あったし」
バカラとキンドが俺の話を振る。
話さない訳にもいかないものだから、当時の話一通りする。
「まぁ、これで皆マセラの大体の事情がわかったわけだ。じゃ、俺たちの話もするか」
バカラさんが仕切ってくれたから話がスムーズで、バカラさんはなんと社長さん、キンドさんは銀行員、シルドはバーマスター、シルフィは事務で、アルトは服飾関係の仕事らしい。
みんな凄いなぁ。
俺、今無職。
あれ? ネムさんを迎え入れるのに無職ってやばくない?
ネムさんが「無職な人とは将来が不安で結婚できない!」って言ったらどうする?
俺はゲームクリアする前に仕事を探さなければならないのでは無いか?
酒が入っていることもある急に突っ伏して絶望するのであった。
まず、会いに行くための服を買わないといけない。今日のリハビリが終わったら買って帰ることにしよう。
何となく平日はリハビリが忙しくてゲームをやることが出来ず、また週末が近付いて来ていた。
そんな時、現天獄と同期させていたアプリからの通知がスマホに入っていた。
『この前のオフ会の話なんだけど、今度の土曜の夜六時からでどう? 場所はここ↓』
差出人はバカラさんだ。場所を示す地図までついてる。あの人がリーダーだからこういう事も取りまとめてたりするんだろうか?
オッケーですと返信して洋服を見繕って適当に買う。三十のおっさんだからあんまりギラギラした服じゃなくてTシャツにジャケット、パンツに肩掛けの小さいバッグでいいでしょ。
普段ジャージしか着てないからなぁ。
杖あるからいい格好してもしょうがないんだけどね。
それでも、週末を少し楽しみにしている自分がいた。
そして、週末を迎えた。
オフ会の場所は日本中心部の第一都心部の二区の駅の近くの店だった。
電車で移動してゆっくりと徒歩で杖をついていく。
六時まではあと二十分ある。
このペースで歩けば丁度いいだろう。
歩き方が不格好だが、一生懸命歩いているのだ。
ようやく着いた店はこじんまりとした焼肉屋さんであった。名を「肉肉肉」だそうだ。ふざけているのかと心配になってしまう。
店の前でぼんやりと立っているとビシッと髪をオールバックに固めたスーツの人が店の扉を開けた。
ジィって見て居ると、こちらをチラッとみて怪訝な顔をした。
「もしかして、ここに用ですか?」
そう聞かれた俺は違いますと言いそうになるが言葉を飲み込む。
「は、はぃ。ゲームのオフ会で……」
「ギャハハハハハ! おいおい! 待てよ! あれ!? 世良じゃね!? あの野球の! そうだよな!? えっ!? マセラって……あぁ! そういう事!? マジかよ!」
あぁ。この反応はバカらさんだなと思い口が引きつるのがわかる。知ってる人はそうなりますよね。
バカラさんはしばらく騒いで納得はすると手招きした。
「マセラ、いやぁ驚いた。そして納得したわ。あの速度で動けるのはお前の動体視力があったからだったんだな。有名だったもんな? 選球眼がいいって。そして、去年だったか? 事故にあったのは?」
「はははっ。よくご存知で」
「俺っち野球も見るからさ。付き合いで野球の話がよく出るだろ? だから、見るようにしてたんだ。ましてや、世界で活躍した人だもんな。多分みんないる。中で話そうや」
「はい」
少し縮こまりながらも中に入る。
ホントにこじんまりとした店で他にお客さんはいない様子だった。
「おいみんな! さっき店先であった。この人がマセラだ。知ってる人、居るんじゃないか?」
アロハシャツみたいなのを着ている小柄な人、ハンチングを被っているおじ様、高級そうな仕立てのいい服を着ているクルクルヘアの人、そして、奇抜な模様の服を着ている小柄な子。
その人達がテーブルを囲んでいた。
奇抜な子以外が立ち上がって目を見開き、アハロシャツは指をさして声を上げた。
「世良 真やん! WBC出てた人やん!」
「こりゃ驚くであるな。まさか本当にプロのアスリートだったとは……」
おじ様が口を開けて驚いている。
そして、おれも驚いたことがある。
式典で会ったことがある人が居たからだ。
「シルフィって、風花お嬢様だったんですか……」
「マセラ様が、世良様? あぁ。なんと……運命を感じてしまいます。神よありがとうございます」
なんだかよく分からないが、ちょっと変なスイッチ入ってる?
「えっ? みんな知ってるの? 僕知らない」
この子はアルトだな。
知らないのも無理はない。野球に興味なければ知りもしないだろう。
初対面はこんな感じだった。
まず席に座りそれぞれ自己紹介する。
バカラは馬場《ばば》 桂《かつら》
アロハのキンドが金田一《きんだいち》 暁斗《あきと》
おじ様のシルドが宍戸《ししど》 琉戸《るうど》
お嬢様はシルフィ、風間《かざま》 風花《ふうか》
奇抜なアルトは有戸《ありと》 瑠奈《るな》
なんか合コンみたいだな。
そんな感想を抱きながら乾杯した。
「いやー、驚いたわ。まさか、有名人だとは」
「ちょっと躊躇ってた理由が分かったわ! そら、なんか気まずいやんな? 報道が結構あったし」
バカラとキンドが俺の話を振る。
話さない訳にもいかないものだから、当時の話一通りする。
「まぁ、これで皆マセラの大体の事情がわかったわけだ。じゃ、俺たちの話もするか」
バカラさんが仕切ってくれたから話がスムーズで、バカラさんはなんと社長さん、キンドさんは銀行員、シルドはバーマスター、シルフィは事務で、アルトは服飾関係の仕事らしい。
みんな凄いなぁ。
俺、今無職。
あれ? ネムさんを迎え入れるのに無職ってやばくない?
ネムさんが「無職な人とは将来が不安で結婚できない!」って言ったらどうする?
俺はゲームクリアする前に仕事を探さなければならないのでは無いか?
酒が入っていることもある急に突っ伏して絶望するのであった。
0
あなたにおすすめの小説
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる