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7.金の行方
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今はギルドにきてるんだ。
昨日、タイガさんはボクの話を詳しく聞いてきた。
なんでも、最近領民の間で金を集めている人がいるという噂が広がっているらしい。
そんな中、ボクがお金を取られたから。ついに字兵にまで手を出し始めたんだなと思ったみたい。
そこで頼まれたのが、またギルドで任務を受けて欲しいってことだった。ボクは構わないけど。あの人困ってたんじゃなかったのかな。
「あら! 今日はなんの依頼をうけるの!?」
「えーっと、これとこれを」
今回選んだのは毒消し草の採取と草食べネズミというのを倒してこよう。これも倒して持ち帰れば倒した証明になるみたい。
「うん! 今度も早く終わると良いわね? 無理しないのよ?」
「はい! 頑張ります!」
意気揚々と外に出て街から出る。
少し離れたところで毒消し草の群生地を探す。草が多くて最初の一つが見つからない。
「うーん。ないなぁ」
少し森の奥へと入っていく。
あんまり入ってしまうと大きい字獣に会うかもしれないから気をつけないといけないんだ。
字獣っていうのは字の刻印を持つ生き物のことなんだって。昨日、コウジュが教えてくれたんだ。
草むらから咀嚼音のようなものが聞こえてきた。
覗いてみると前歯の発達した生き物が毒消し草を食べている。こいつのせいでみつからなかったのか。
遠目から仕留めることにする。
ボクは『棘』で指を細長い棘のように変形し、首を一突きした。
苦しそうな声を上げて倒れる少し小さな生き物。これをネズミって書いてたけど。初めて見たなぁ。
血が抜けるのを待って袋に入れる。
そしたら毒消し層を摘んでまた集める。昨日の薬草ほどではないけど結構集まった。
これは別の袋に入れる。
ギルドの査定だけど、一個一個数えたりとかはしないんだって。袋いっぱいだったら五千ルノー。足りなかったら少し引くって感じの大雑把な計算らしい。
一々数えていられないもんね。
ギルドの人って人件費をかけないために最低限でやっているらしいから大雑把なんだって。大変だよね。
採取と討伐がまた午前中に終わったからボクはギルドに戻る。そして、換金してもらい、ランさんに驚かれた。
「昨日に引き続き二万ルノー越えね。新人にしてはかなり稼いでいる方よ?」
「そうなんですか?」
「えぇ。ま、無理はしないようにね?」
「有難う御座います!」
例を言いギルドを後にする。
宿舎に向かっている最中にまた手招きされた。
すると、昨日の男が立っている。
「あれ? どうしたんですか?」
「昨日の金も酷い連中に取られちまってよぉ。また二万くれねぇかなぁ?」
「ホントに必要なんですか? 嘘はつかない方がいいですよ?」
「あっしが嘘をついてるってのかい? そんな訳がないだろう!」
「それならいいですよ」
ボクはまた二万ルノー渡した。
これもタイガさんの指示通りだ。
渡して油断させるとか言ってたけど。
これで無実がはっきりすればいいね。
さっきの人。
◇◆◇
世の中そんなに甘くない。
その男は金を持って街を出た。
そして、何やらみすぼらしい格好をした男に金を渡している。
「へっへっへっ。どうですかい? また金を渡してきたバカがいやした。いやはや、世の中ってのをわかってませんな!」
「いい調子じゃねぇか! もっと集めてこい!」
「へい! しかし、あのー。あっしにもそろそろ金が欲しいなぁなんて……」
「あぁん? たったこれっぽっちの金しか集められねぇのに金が欲しいだぁ!? 仕方ねぇな。一万はやるよ」
「有難う御座います! 侵略が成功したあかつきにはお願いしますね!」
金を受け取ると金を持ってきた男はニヤリと笑みを浮かべた。みすぼらしい男も同じように邪悪な笑みを浮かべている。
「あぁ。ちゃんとボスには伝えておくさ」
「お願いしますよ!」
「お前もバレんじゃねぇぞ?」
「わかってますよ。上手くやってやすからぁ!」
シュウイから金をとった男はその場を離れると街へと戻って行った。
残ったみすぼらしい格好の男は邪悪な笑みを浮かべて去る男を見送る。
「クックックッ。馬鹿なヤツだ。あんなやつがボスの役に立つわけがねぇ。俺たちが侵略したら真っ先に殺しておかねぇとな」
その男は町外れの『魔』との領境の方へと歩いていく。そして、森の中へと入ると草をどかし始めた。
土の代わりに鉄の扉が出てきたのだ。それを開けると地下へと降りていった。
一部始終を見ていた者がいる。
その者は静かに去っていった。
◇◆◇
そこはシュウイが最初に領主への挨拶に来た部屋である。
「タイガ様、ご報告が……」
「入れ」
「どうだった?」
「やはり黒でした」
タイガは顎に手を当てると考えるように唸り声を上げた。
「おそらくですが、『魔』の領との地下道を作られているようです」
「何? それは事態が深刻だな」
「はい。こっちの者を使って探りながら金を集めているんでしょう。おそらく侵攻してきたさいには最初に殺されるでしょうが」
タイガは腕を組み目を瞑り思考を巡らせているようだ。
「シュウイから金を取ったやつは誰だったんだ?」
「それなんですが、遠目からだったのでおそらくですが、七級のモーザかと」
「ふむ。アイツか……」
あの男に何か思う所がありそうだ。
昨日、タイガさんはボクの話を詳しく聞いてきた。
なんでも、最近領民の間で金を集めている人がいるという噂が広がっているらしい。
そんな中、ボクがお金を取られたから。ついに字兵にまで手を出し始めたんだなと思ったみたい。
そこで頼まれたのが、またギルドで任務を受けて欲しいってことだった。ボクは構わないけど。あの人困ってたんじゃなかったのかな。
「あら! 今日はなんの依頼をうけるの!?」
「えーっと、これとこれを」
今回選んだのは毒消し草の採取と草食べネズミというのを倒してこよう。これも倒して持ち帰れば倒した証明になるみたい。
「うん! 今度も早く終わると良いわね? 無理しないのよ?」
「はい! 頑張ります!」
意気揚々と外に出て街から出る。
少し離れたところで毒消し草の群生地を探す。草が多くて最初の一つが見つからない。
「うーん。ないなぁ」
少し森の奥へと入っていく。
あんまり入ってしまうと大きい字獣に会うかもしれないから気をつけないといけないんだ。
字獣っていうのは字の刻印を持つ生き物のことなんだって。昨日、コウジュが教えてくれたんだ。
草むらから咀嚼音のようなものが聞こえてきた。
覗いてみると前歯の発達した生き物が毒消し草を食べている。こいつのせいでみつからなかったのか。
遠目から仕留めることにする。
ボクは『棘』で指を細長い棘のように変形し、首を一突きした。
苦しそうな声を上げて倒れる少し小さな生き物。これをネズミって書いてたけど。初めて見たなぁ。
血が抜けるのを待って袋に入れる。
そしたら毒消し層を摘んでまた集める。昨日の薬草ほどではないけど結構集まった。
これは別の袋に入れる。
ギルドの査定だけど、一個一個数えたりとかはしないんだって。袋いっぱいだったら五千ルノー。足りなかったら少し引くって感じの大雑把な計算らしい。
一々数えていられないもんね。
ギルドの人って人件費をかけないために最低限でやっているらしいから大雑把なんだって。大変だよね。
採取と討伐がまた午前中に終わったからボクはギルドに戻る。そして、換金してもらい、ランさんに驚かれた。
「昨日に引き続き二万ルノー越えね。新人にしてはかなり稼いでいる方よ?」
「そうなんですか?」
「えぇ。ま、無理はしないようにね?」
「有難う御座います!」
例を言いギルドを後にする。
宿舎に向かっている最中にまた手招きされた。
すると、昨日の男が立っている。
「あれ? どうしたんですか?」
「昨日の金も酷い連中に取られちまってよぉ。また二万くれねぇかなぁ?」
「ホントに必要なんですか? 嘘はつかない方がいいですよ?」
「あっしが嘘をついてるってのかい? そんな訳がないだろう!」
「それならいいですよ」
ボクはまた二万ルノー渡した。
これもタイガさんの指示通りだ。
渡して油断させるとか言ってたけど。
これで無実がはっきりすればいいね。
さっきの人。
◇◆◇
世の中そんなに甘くない。
その男は金を持って街を出た。
そして、何やらみすぼらしい格好をした男に金を渡している。
「へっへっへっ。どうですかい? また金を渡してきたバカがいやした。いやはや、世の中ってのをわかってませんな!」
「いい調子じゃねぇか! もっと集めてこい!」
「へい! しかし、あのー。あっしにもそろそろ金が欲しいなぁなんて……」
「あぁん? たったこれっぽっちの金しか集められねぇのに金が欲しいだぁ!? 仕方ねぇな。一万はやるよ」
「有難う御座います! 侵略が成功したあかつきにはお願いしますね!」
金を受け取ると金を持ってきた男はニヤリと笑みを浮かべた。みすぼらしい男も同じように邪悪な笑みを浮かべている。
「あぁ。ちゃんとボスには伝えておくさ」
「お願いしますよ!」
「お前もバレんじゃねぇぞ?」
「わかってますよ。上手くやってやすからぁ!」
シュウイから金をとった男はその場を離れると街へと戻って行った。
残ったみすぼらしい格好の男は邪悪な笑みを浮かべて去る男を見送る。
「クックックッ。馬鹿なヤツだ。あんなやつがボスの役に立つわけがねぇ。俺たちが侵略したら真っ先に殺しておかねぇとな」
その男は町外れの『魔』との領境の方へと歩いていく。そして、森の中へと入ると草をどかし始めた。
土の代わりに鉄の扉が出てきたのだ。それを開けると地下へと降りていった。
一部始終を見ていた者がいる。
その者は静かに去っていった。
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そこはシュウイが最初に領主への挨拶に来た部屋である。
「タイガ様、ご報告が……」
「入れ」
「どうだった?」
「やはり黒でした」
タイガは顎に手を当てると考えるように唸り声を上げた。
「おそらくですが、『魔』の領との地下道を作られているようです」
「何? それは事態が深刻だな」
「はい。こっちの者を使って探りながら金を集めているんでしょう。おそらく侵攻してきたさいには最初に殺されるでしょうが」
タイガは腕を組み目を瞑り思考を巡らせているようだ。
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