ゴミ屋だった青年は『集』『使』で無双する

ゆる弥

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13.革命軍

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「えっ!? どういうことですか?」

 そう声を上げたのは目の前に座る男が話を聞いて欲しいと言ったからだ。

「私達はこの領を変えるために立ち上がった革命軍なんです! 密かに集まって領主を打とうとしています。私はリーダーをやらせてもらっているゴッコです」

「ボクはシュウイ。仲間はどれ程ですか?」

「同士は五十人程います。作戦を立てれば領主を殺せると思っています。ぜひお力添えを!」

 ミレイさんに目配せしてどうした物かをじっくりと考えてみる。
 これ自体が罠の可能性もある。
 会ったばかりの人をあっさりと信用するほど馬鹿じゃない。

「実はまだ信用出来ていないんですよ。それで、あなたの天漢を教えて頂いてもいいですか?」

「それはそうでしょう。いきなり、はいそうですかと言えるご時世ではない。私の天漢は『辞』です。言霊をご存知ですか?」

 言霊という言葉を聞いたことがなかった。
 首を捻る。

「口から出した言葉がそのまま意味をなすんです」

「なるほど。『動くな』と言えば動けなくなるということですか?」

「そうです。字力により行使できる言葉は違います。『死ね』が一番有効なのですが、一日に一回。一人にしか使えません」

 制限があるのか。
 そういう天漢もあることに驚いた。
 ボクの脳内リストの中に『辞』はない。
 恐らく希少な天漢なんだろう。

「信じて貰えましたか? 宜しければ、全員分の天漢をお教えしますか?」

「一応、お願いできますか?」

 紙につらつらと革命軍の天漢を書いていく。
 この人は全員分の天漢を把握している。
 それぞれの天漢を活用する作戦を練るためだろう。

「できました」

 紙に目を通す。
『力』‪‬─10 『技』‪─7 『強』─5 『撃』─5 『打』─4 『闘』─4 『戦』─4 『速』‬─4『攻』─3 『守』─3 『殺』─2『盾』─1 『剣』─1

「以上の五十三名です」

 この人達は本当にみんな信用できるのか?
 気になる漢字が一つ。

「この『殺』の字の二人、本当に信用できますか?」

「戦闘に関しては信頼できます。いい人かというとそこは疑問です。戦力として見ていたので……」

「この二人を外すことはできますか?」

 ゴッコさんは目を八の字にして困ったように唸り声を上げた。
 この二人に関しては難しい何かがあるのだろう。
 であれば別の方法をとろうか。

「難しいようであれば、作成の時は要ではない所に配置してください。これなら大丈夫でしょう?」
 
「はい。それならば大丈夫です。気性が荒い物で困っているんですよ」

 頬をかきながらため息をつく。
 なぜに同じ革命軍に所属しているのだろう。

「その二人はなぜ革命軍へ入ったんですか?」

「それが……内部の人間に接触してきたんです。その人間が許可してしまった為、あとから無理とは言えなかったんです。『殺』なんて荒い奴らに決まってますからね」

 この人は悪い人ではなさそうだけど。ミレイさんに視線を移す。頷いたのでこのまま交渉しよう。

「ゴッコさん、情報提供ありがとうございました。ボクたちはあなたを信用します。そこで、話しておきたいことがあります。ボクたちは『粋』領の人間です」

「はははっ。そうでしたか。なんとも都合がいい」

 口を開けて笑っている。状況が好転したと考えたんだろうね。

「ご協力頂けるんですね?」
 
「ボクたちもこの領を救いたいと思っています。その為にこの街の全体図を作りたいんです。街を案内してもらえませんか?」

「えぇ。いいですよ。案内します。私はでられないので、さっきのマングが連れて行きますよ」

 こうしてボクたちは革命軍協力の下、この街を見て回ることになった。

 この街はボクが思っているより広く。そして色々な裏がある街だった。
 まず女子供は一か所に集められていて施設のようなところで過ごして、そこは領主が運営している。所謂《いわゆる》、囲われているようだ。

 ちなみに領主の家は非公開なのだが、ガードの堅い屋敷が一か所あって明らかにそこを出入りしているようだ。

 主要な施設の場所が分かればそこだけ抑えて、後は抵抗する人を鎮めれば鎮圧できるんではないだろうか。

 ただ、一つ懸念していることがある。それは、『魔』の天漢が何を成せる感じなのかがわからないということ。魔の物を生み出すのか? それとも魔法が撃てるのか?

「マングさん、領主の噂とか聞いたことありますか?」

「そりゃ、ありますよ。悪魔、化け物、鬼畜。とかじゃないでしょうか」
 
「うーん。悪者の典型って感じですねぇ」

「それ以外にないと思いますよ? 奴は悪の根源なので」

「ですよねぇ」

 そう話しているのは最初にいた隠れ家だ。
 この周りは大体みた。
 後は、入り口の門付近を見ることができれば準備できる。

 外は薄暗くなってきて色々と動きにくい時間になる。暗がりを好む輩がその辺を闊歩するからだ。面倒だから外には出ない。ミレイさんも横に大人しく座っていた。

「今日はここに泊りますか?」
 
「よければしばらくここで寝泊まりさせて欲しいんですが」

「えぇ。いいですよ。我々は別の隠れ家で過ごしますので。ゆっくりしていて下さい」

「ありがとうございます」

 入口はゴッコさんが『透明になれ』という言霊で透明にしているんだって。壁を出す時も『壁を塞げ』っていうんだって。凄い便利。でも何回も使用するから一日字力がもたないんだって。

 この日は何とか寝床にありつけた。
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