13 / 17
13.革命軍
しおりを挟む
「えっ!? どういうことですか?」
そう声を上げたのは目の前に座る男が話を聞いて欲しいと言ったからだ。
「私達はこの領を変えるために立ち上がった革命軍なんです! 密かに集まって領主を打とうとしています。私はリーダーをやらせてもらっているゴッコです」
「ボクはシュウイ。仲間はどれ程ですか?」
「同士は五十人程います。作戦を立てれば領主を殺せると思っています。ぜひお力添えを!」
ミレイさんに目配せしてどうした物かをじっくりと考えてみる。
これ自体が罠の可能性もある。
会ったばかりの人をあっさりと信用するほど馬鹿じゃない。
「実はまだ信用出来ていないんですよ。それで、あなたの天漢を教えて頂いてもいいですか?」
「それはそうでしょう。いきなり、はいそうですかと言えるご時世ではない。私の天漢は『辞』です。言霊をご存知ですか?」
言霊という言葉を聞いたことがなかった。
首を捻る。
「口から出した言葉がそのまま意味をなすんです」
「なるほど。『動くな』と言えば動けなくなるということですか?」
「そうです。字力により行使できる言葉は違います。『死ね』が一番有効なのですが、一日に一回。一人にしか使えません」
制限があるのか。
そういう天漢もあることに驚いた。
ボクの脳内リストの中に『辞』はない。
恐らく希少な天漢なんだろう。
「信じて貰えましたか? 宜しければ、全員分の天漢をお教えしますか?」
「一応、お願いできますか?」
紙につらつらと革命軍の天漢を書いていく。
この人は全員分の天漢を把握している。
それぞれの天漢を活用する作戦を練るためだろう。
「できました」
紙に目を通す。
『力』─10 『技』─7 『強』─5 『撃』─5 『打』─4 『闘』─4 『戦』─4 『速』─4『攻』─3 『守』─3 『殺』─2『盾』─1 『剣』─1
「以上の五十三名です」
この人達は本当にみんな信用できるのか?
気になる漢字が一つ。
「この『殺』の字の二人、本当に信用できますか?」
「戦闘に関しては信頼できます。いい人かというとそこは疑問です。戦力として見ていたので……」
「この二人を外すことはできますか?」
ゴッコさんは目を八の字にして困ったように唸り声を上げた。
この二人に関しては難しい何かがあるのだろう。
であれば別の方法をとろうか。
「難しいようであれば、作成の時は要ではない所に配置してください。これなら大丈夫でしょう?」
「はい。それならば大丈夫です。気性が荒い物で困っているんですよ」
頬をかきながらため息をつく。
なぜに同じ革命軍に所属しているのだろう。
「その二人はなぜ革命軍へ入ったんですか?」
「それが……内部の人間に接触してきたんです。その人間が許可してしまった為、あとから無理とは言えなかったんです。『殺』なんて荒い奴らに決まってますからね」
この人は悪い人ではなさそうだけど。ミレイさんに視線を移す。頷いたのでこのまま交渉しよう。
「ゴッコさん、情報提供ありがとうございました。ボクたちはあなたを信用します。そこで、話しておきたいことがあります。ボクたちは『粋』領の人間です」
「はははっ。そうでしたか。なんとも都合がいい」
口を開けて笑っている。状況が好転したと考えたんだろうね。
「ご協力頂けるんですね?」
「ボクたちもこの領を救いたいと思っています。その為にこの街の全体図を作りたいんです。街を案内してもらえませんか?」
「えぇ。いいですよ。案内します。私はでられないので、さっきのマングが連れて行きますよ」
こうしてボクたちは革命軍協力の下、この街を見て回ることになった。
この街はボクが思っているより広く。そして色々な裏がある街だった。
まず女子供は一か所に集められていて施設のようなところで過ごして、そこは領主が運営している。所謂《いわゆる》、囲われているようだ。
ちなみに領主の家は非公開なのだが、ガードの堅い屋敷が一か所あって明らかにそこを出入りしているようだ。
主要な施設の場所が分かればそこだけ抑えて、後は抵抗する人を鎮めれば鎮圧できるんではないだろうか。
ただ、一つ懸念していることがある。それは、『魔』の天漢が何を成せる感じなのかがわからないということ。魔の物を生み出すのか? それとも魔法が撃てるのか?
「マングさん、領主の噂とか聞いたことありますか?」
「そりゃ、ありますよ。悪魔、化け物、鬼畜。とかじゃないでしょうか」
「うーん。悪者の典型って感じですねぇ」
「それ以外にないと思いますよ? 奴は悪の根源なので」
「ですよねぇ」
そう話しているのは最初にいた隠れ家だ。
この周りは大体みた。
後は、入り口の門付近を見ることができれば準備できる。
外は薄暗くなってきて色々と動きにくい時間になる。暗がりを好む輩がその辺を闊歩するからだ。面倒だから外には出ない。ミレイさんも横に大人しく座っていた。
「今日はここに泊りますか?」
「よければしばらくここで寝泊まりさせて欲しいんですが」
「えぇ。いいですよ。我々は別の隠れ家で過ごしますので。ゆっくりしていて下さい」
「ありがとうございます」
入口はゴッコさんが『透明になれ』という言霊で透明にしているんだって。壁を出す時も『壁を塞げ』っていうんだって。凄い便利。でも何回も使用するから一日字力がもたないんだって。
この日は何とか寝床にありつけた。
そう声を上げたのは目の前に座る男が話を聞いて欲しいと言ったからだ。
「私達はこの領を変えるために立ち上がった革命軍なんです! 密かに集まって領主を打とうとしています。私はリーダーをやらせてもらっているゴッコです」
「ボクはシュウイ。仲間はどれ程ですか?」
「同士は五十人程います。作戦を立てれば領主を殺せると思っています。ぜひお力添えを!」
ミレイさんに目配せしてどうした物かをじっくりと考えてみる。
これ自体が罠の可能性もある。
会ったばかりの人をあっさりと信用するほど馬鹿じゃない。
「実はまだ信用出来ていないんですよ。それで、あなたの天漢を教えて頂いてもいいですか?」
「それはそうでしょう。いきなり、はいそうですかと言えるご時世ではない。私の天漢は『辞』です。言霊をご存知ですか?」
言霊という言葉を聞いたことがなかった。
首を捻る。
「口から出した言葉がそのまま意味をなすんです」
「なるほど。『動くな』と言えば動けなくなるということですか?」
「そうです。字力により行使できる言葉は違います。『死ね』が一番有効なのですが、一日に一回。一人にしか使えません」
制限があるのか。
そういう天漢もあることに驚いた。
ボクの脳内リストの中に『辞』はない。
恐らく希少な天漢なんだろう。
「信じて貰えましたか? 宜しければ、全員分の天漢をお教えしますか?」
「一応、お願いできますか?」
紙につらつらと革命軍の天漢を書いていく。
この人は全員分の天漢を把握している。
それぞれの天漢を活用する作戦を練るためだろう。
「できました」
紙に目を通す。
『力』─10 『技』─7 『強』─5 『撃』─5 『打』─4 『闘』─4 『戦』─4 『速』─4『攻』─3 『守』─3 『殺』─2『盾』─1 『剣』─1
「以上の五十三名です」
この人達は本当にみんな信用できるのか?
気になる漢字が一つ。
「この『殺』の字の二人、本当に信用できますか?」
「戦闘に関しては信頼できます。いい人かというとそこは疑問です。戦力として見ていたので……」
「この二人を外すことはできますか?」
ゴッコさんは目を八の字にして困ったように唸り声を上げた。
この二人に関しては難しい何かがあるのだろう。
であれば別の方法をとろうか。
「難しいようであれば、作成の時は要ではない所に配置してください。これなら大丈夫でしょう?」
「はい。それならば大丈夫です。気性が荒い物で困っているんですよ」
頬をかきながらため息をつく。
なぜに同じ革命軍に所属しているのだろう。
「その二人はなぜ革命軍へ入ったんですか?」
「それが……内部の人間に接触してきたんです。その人間が許可してしまった為、あとから無理とは言えなかったんです。『殺』なんて荒い奴らに決まってますからね」
この人は悪い人ではなさそうだけど。ミレイさんに視線を移す。頷いたのでこのまま交渉しよう。
「ゴッコさん、情報提供ありがとうございました。ボクたちはあなたを信用します。そこで、話しておきたいことがあります。ボクたちは『粋』領の人間です」
「はははっ。そうでしたか。なんとも都合がいい」
口を開けて笑っている。状況が好転したと考えたんだろうね。
「ご協力頂けるんですね?」
「ボクたちもこの領を救いたいと思っています。その為にこの街の全体図を作りたいんです。街を案内してもらえませんか?」
「えぇ。いいですよ。案内します。私はでられないので、さっきのマングが連れて行きますよ」
こうしてボクたちは革命軍協力の下、この街を見て回ることになった。
この街はボクが思っているより広く。そして色々な裏がある街だった。
まず女子供は一か所に集められていて施設のようなところで過ごして、そこは領主が運営している。所謂《いわゆる》、囲われているようだ。
ちなみに領主の家は非公開なのだが、ガードの堅い屋敷が一か所あって明らかにそこを出入りしているようだ。
主要な施設の場所が分かればそこだけ抑えて、後は抵抗する人を鎮めれば鎮圧できるんではないだろうか。
ただ、一つ懸念していることがある。それは、『魔』の天漢が何を成せる感じなのかがわからないということ。魔の物を生み出すのか? それとも魔法が撃てるのか?
「マングさん、領主の噂とか聞いたことありますか?」
「そりゃ、ありますよ。悪魔、化け物、鬼畜。とかじゃないでしょうか」
「うーん。悪者の典型って感じですねぇ」
「それ以外にないと思いますよ? 奴は悪の根源なので」
「ですよねぇ」
そう話しているのは最初にいた隠れ家だ。
この周りは大体みた。
後は、入り口の門付近を見ることができれば準備できる。
外は薄暗くなってきて色々と動きにくい時間になる。暗がりを好む輩がその辺を闊歩するからだ。面倒だから外には出ない。ミレイさんも横に大人しく座っていた。
「今日はここに泊りますか?」
「よければしばらくここで寝泊まりさせて欲しいんですが」
「えぇ。いいですよ。我々は別の隠れ家で過ごしますので。ゆっくりしていて下さい」
「ありがとうございます」
入口はゴッコさんが『透明になれ』という言霊で透明にしているんだって。壁を出す時も『壁を塞げ』っていうんだって。凄い便利。でも何回も使用するから一日字力がもたないんだって。
この日は何とか寝床にありつけた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~
テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。
しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。
ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。
「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」
彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ――
目が覚めると未知の洞窟にいた。
貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。
その中から現れたモノは……
「えっ? 女の子???」
これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる