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69.後日談

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否和城にて
 
「ご両親、見つかって良かったですね!」

「あぁ。死んだんじゃないかと何度も思ったんだけどね。良かったよ。今日はいっぱい食べてくれ」

「はい! ありがとうございます!」

少し離れたところでは

「まぁ。あの子が翔真の彼女なの? あんなに嬉しそうにご飯食べて!」

「あ、いやぁあの人は翔真さんをご飯としか思ってないと言いますか……はい。もっと熱烈に好きでいてくれる人とか居るんですけどね」

『まぁ、仲のいい女性の中の1人と言いますかですね……』

「あら! 何人もに手を出しちゃダメねぇ」

『いや、それが……手は出てないというか。仲がいいだけでして』

「えっ!? 手を出してないの?」

「そうなんですよ。翔真さんはちょっと踏み込めないところがあって……」

「優柔不断はダメよねぇ!?」

『「その通りですねぇ」』

◆◇◆
 
調意思にて

「あの! 私、桃野美晴と申すものでして、翔真くんとは仲良くさせて頂いておりまして……」

「あらあら。そうなのねぇ。大変でしょう? 翔真がだらしないから!」

「お母様、そうなんですよ! 各地で可愛い子や綺麗な子を引っ掛けてですね……」

「ちょっと! 変なこと言わないでよ! 美晴さん!」

「翔真くん!? だって事実じゃないですか!? 私というものがありながら!」

「いや……だって俺達友達でしょ?」

ズズズズーーーーーーンッッ

『待避ー! 総員待避ー! 危険です! 危険です!』

「みなさん出口はこちらでーす! 速やかに避難してください!」

「もぉぉぉぉおお! しょーーーーーまーーー! どこまで鈍感なのよぉぉぉ! 私があなたを好きなのわかるでしょーーー!」

 頭からプシューーーッと煙を出しながら腕を組んで仁王立ちしている。

「ぇ? えぇ?」

 周りに助けを求めるが、皆首を振って諦めろと言ってくる。

「ちょっとこっちでお話しましょー」

 首根っこを掴まれて別の部屋に連れていかれた。
 開放されたのは数時間後の夜だった。

◆◇◆

 旅館にて

「まぁ、いい旅館ね」

「そうだな。凄くいい雰囲気のある旅館だ。何より、若女将が美しい」

 忘れられてた父。
 出てきたと思ったら耳を抓られている。

 腕を取られて握り締められる。
 
「翔真さん! ご両親と無事に会えたんですね! 本当に良かった! また泊まりに来てくれてありがとうございます! 今日はいっぱいサービスしちゃいますね!」

「あっ、ありがとうございます……」

 後ろから美晴さんの呪詛が聞こえてくるようだ。

 豪華な夜ご飯を食べて満足して寝たのであった。

◆◇◆

千大にて

「おう。茜。うちの親見つかったんだ」

「翔真! よかったね! 頑張って探したかいがあったじゃない!」

 いい笑顔で茜が答えるものだからまた母さんが余計なことを言い始めた。

「あらあら? この茜ちゃんが本命なの?」

 慌てて取り繕おうとすると。
 
「本命? 何の話か分かりませんけど、私は翔真の1番の友達です!」

「ねっ? 友達」

「そうなのねぇ」

 蘇芳が笑っていた。

『流石、茜ちゃん! ストレートに友達って言ったね! 振られた翔真!』

「蘇芳はなんでそんなに喜んでるんだ?」

 拳に力を入れながら蘇芳に迫る。

『まぁまぁ、お、落ち着きなって。その拳は痛そうだなぁ』

「翔真! また話聞いてね!」

「おう! またな!」

◆◇◆

 森丘にて

「美麗さん! ただいま帰ってきました! うちの両親、無事に生きて見つかりました!」

「そうなのぉ!? 良かったじゃない! しばらく見ないうちにまた大人になったわね? お姉さんドキドキしちゃう!」

「み、美麗さん! そんなこと言ったら……」

「あらあら? 翔真のことをよく思ってくださってるのかしら?」

「えっ? この方は……ゆめさん!」

「えっ? 知ってるんですか?」

 戸惑って聞くと。

「この領出身でRランクになった魔法職の女の人なんてなかなか居ないのよ!」

「そ、そうなんですか?」

「あら? 私のことを知っていたのね? 若いのに勉強熱心ね」

「いえいえ! ゆめさんって女のギルド関係者の間では有名ですから!」

「そうなの? 嬉しいわぁ!」

 女通しの話が始まった。
 こりゃ長くなるぞ。

「翔真。ホントにいい子ばかりで選り取りみどりだな?」

「そゆなことないよ。相手の気持ちもあるしさ」

「そうだろうが、俺はそんな子に育ってくれて本当に嬉しいぞ!」

「そう?」

「これからは好きなように生きるといい! それだけの強さがあればなんでも出来るだろう!」

「うん。また旅に出ようかなって思ってるんだ」

「いいじゃないか! 若いうちは旅をした方がいいぞ!」

「そうだな! せっかく良いパーティーに巡り会えたしな!」

 そうして、ふたたび旅立ったのだった。

◆◇◆

 暁至にて

「風香ちゃん、久しぶり!」

「あっ! 英雄のおかえりですねぇ?」

「そんな! 大層なもんじゃないよ!」

「ふふふっ。来てくれて嬉しいですよ!」

「両親、生きてたんだ。それで、1回森丘に戻ったんだけど、また旅に出ようかなってさ……」

「そうなんだ? ふふふっ。嬉しい。ありがとね?」

「ん? 何が?」

「出てすぐこの領に来てくれたって事でしょ?」

「うん……そうだな」

「だぁかぁら、ありがと!」

 キューンと来てしまう。

「ご飯とか食べにいかない?」

「ふふっ。いいよ? 仕事終わってからでいい?」

「うん! もちろん!」

『見事に僕達は忘れられてますなぁ』

「そうですなぁ。蘇芳さん」

 蘇芳と一斗は忘れられていた。

 この中の誰かとどうにかなったのかというのはまた別のお話。
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みんなの感想(1件)

れん
2023.05.14 れん

女性といい感じ、からの一押しが物足りない……ハーレムタグないし、フラグたてるだけたててどうするんだろう……キャラかなり多いし、どうなるのか……。

解除
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