元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥

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2.成敗

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「挨拶したところで、モンスターが寄ってきちゃったんだけど……」

 俺の後ろに隠れるミリア。
 テイムされたしな。
 守るさ。

「カタカタタ! ガタタダ!(かかって来い! ザコども!)」

 そこに突っ込んできたのはまたしてもゴブリン。
 スケルトンもいる。

 ゴブリンの首を刈り、胸を突き。
 スケルトンなんざ、容易い。
 そう思い、青い炎の胸を突く。

 ガラガラと骨が崩れていく。
 骨を拾い、骨を投擲して他のスケルトンの胸の炎を破壊する。
 ドンドン崩れていくスケルトン。

 後ろからはスライムもやって来た。
 スライム?

「スライムは核を攻撃するの!」

 ナイス! ミリア。

 核を突いて突いて突きまくる。
 すると、身体が光った。

「あっ! レベルアップした! 後でスキルポイントで獲るスキル選ぼうね!」

 スキルが獲れるのか。
 いいな。あとで獲れるスキル見せてもらおう。

 倒したはいいけど、出口が分からないな。

「あっ、私わかると思う! 来た道覚えてる!」

 おお。
 なら話が早いな。
 俺が前を行くから後ろから案内頼むわ。

「うん! こっちだよ!」

 一緒に出口へ向けて歩いていく。

 なぁ、なんでこの場所に来たんだ?

「あぁ。それはね、さっきの人たちの荷物持ちで来たんだ。それぐらいしか私に出来る仕事がなくて」

 なるほど。けど、持つって言っても……。

「そうなの。力がある訳じゃないしね。私が持てる荷物なんて少しなの」

 だよな。
 じゃあ、これからは冒険者として活躍できるな?

「うん! ナイルのおかげ!」

 さっきEランクって言ってたけど、ランクってどうやって上がるんだ?

「それはねぇ、倒したモンスターの数と強さで評価されるんだ。後は、依頼の達成率かな」

 それなら、今後は一緒に依頼を受ければ大丈夫だな。

「そうだね! 頼りにしてる!」

 モンスターの討伐はどうやって?

「この冒険者カードに記録されるの」

 はぁ。なるほど。
 前は討伐部位を持っていかないと行けなかったが、楽なもんだな。

「前って?」

 あぁ。前世のことだ。
 俺、実は前世が剣聖だったんだ。

「へぇ! だから強いんだ!」

 まぁ、そうだな。
 力を出し切れてないけどな。

「あれで? どうしたら力を出し切れるの?」

 まずは剣の強度がないとダメだな。
 あとは、俺のこの体の強度が必要だ。

「それなら、当面の目標はそれだね! 体の強化の方はスキルを探してみよう?」

 あぁ。だな。
 おっ? 出口じゃないか?

「あっ! ホントだ! やった! 出口ー!」

 その小柄な体をいっぱい使って喜びを表現している。
 それを見て可愛いと。
 そう思ってしまった。
 そう。思ってしまったのだ。

 急にモジモジしだしたミリア。
 どうしたんだろう?
 あれ?おれさっき……。

「そんなぁ。可愛いだなんてぇ」

 うん。たしかにそう思ってしまった。

「正直だなぁ」

 この念話よ切り方知りないなぁ。

「あはは。実は切れるんだ。でも、必要? なんか不便じゃない? 別にぃ、私のことは可愛いって思ってくれていいからさぁ」

 そういいながら凄くいい笑顔で微笑んでくる。
 くっ……可愛い。

「ふふっ。ナイルっては正直だなぁ」

 もうやめてくれ。
 恥ずか死ぬ。

「何それ? はははっ。とりあえず、街に行こっか?」

 あぁ。
 コクコクと頭を動かしながら街へと進む。
 ミリアからは鞘も受け取って腰に帯剣している。

 街への道すがらはモンスターは見かけなかった。
 今日のところは見捨てて行った奴らが狩り尽くして行ったんだろうな。

 街に入るとめっちゃ見られている。
 何をそんなに見ているんだろうかと不思議に思う。

「なんか見られてるね? スケルトンをテイムする人って珍しいからかなぁ?」

 珍しいのか?

「だって、言っちゃ悪いけどさ、最弱モンスターの一体だからね」

 そうか。
 そうだよな。
 ゲームとかでも序盤で出てくるし。

「ゲーム?ってなに?」

 いや、説明が難しいな。
 遊びみたいなもんだ。

「それにスケルトンが出てくるの? 変なの」

 まぁ、たしかにな。
 ホントに異世界に居るなんて思わなかったし。

「あらぁ? ミリアちゃん! 生きてるじゃない!」

「はい! ピンピンしてます!」

「なんか、洞窟の中でモンスターに食べられたって噂になってるよ?」

 アイツらだな。

「そうなんだ……ちょっとギルドに行ってみます!」

「えぇ。ちゃんと顔を見せた方がいいわ」

 ギルドへ急ぐ。
 ミリアも小走りになる。
 俺は体力というものが無いのだろう。

 いくら動いても疲れない。
 俺の体って、何を動力にして動いているんだろうか。
 不思議だ。

 ギルドの扉を勢いよく開くと中にいた冒険者とギルド職員が勢いよく振り向いた。
 置いていった奴らは顔を青くしている。

「な、なんでお前が!」

「どういう事ですか? ミリアさんはゴブリンに食べられてしまったと言ってましたよね? それで、死亡した事を知らせて謝礼を貰おうとしてましたよね?」

 ギルド職員に問いただされ、顔を青くして奴らは震えている。

「私、生きてますよ? ピンピンしてます!」

「な、何故だ!? あの場面で最弱テイマーの貴様なんかが生きていられるはずがない!」

「ふふーん。さぁ、何故でしょうね?」

「おい! こうなったら既成事実にしちまえ!」

「「「おう!」」」

 部下と思われる三人に指示を出す。
 剣を抜き放ち襲いかかってきた。

 出た出た。
 話がわからないやつはこうやって逆上するんだよな。
 ミリア、スイッチだ。

「ナイル。お願い」

 ミリアと位置を入れ替えるように交換する。

 ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」

 横一線の剣閃が男達の衣服《・・》を切り裂いた。

「「「はっ?」」」

 素っ裸にされた男達は。
 そそくさとギルドを出ていった。

「カタカタカタカタ」

 俺は思わず笑ってしまった。

「な、なんだ!? そのスケルトンは!?」

「私のテイムモンスターのナイルよ? 強いでしょ?」

 ミリアが自慢げに話す。
 まぁ、この程度はな。
 別に技を出すまでも無かったがな。

「はっ!? ザコなスケルトンに何が出来る!? ここで消してやるわ!」

 その男は背中に担いでいた斧を持ち上げるとそのまま肉薄してきた。

 ストロング流剣術 柔剣術
「カタタ(朧《おぼろ》)」

 斧を受け流すと床に突き刺さる。

 ストロング流剣術 抜剣術
「カタカタ(皇《すめらぎ》)」

 男はバランスを崩して尻もちをついた。
 その男の右腕は手首から先が無くなっていた。

「腕がぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁ!」

「カタカタカタカタ」

「くそぉぉぉぉ! 覚えてろよぉぉぉ!」

 手と斧を抱えて去っていった。
 これで懲りたか?
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