物言わぬ家

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せっかくの休日が...

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 せっかくの休みは、1日のんびりと過ごしたかった。なのに、予期せぬ出来事から同行する羽目になり、休日は潰れる事を覚悟した祐二。

 二日酔いまではないが、頭は冴えないまま家を出る。
暖かい陽射しが緑の葉に降り注ぐと、気分的には春の陽気を楽しみたい。なのに、何となくこの先の事を想像したら、楽しい事は起こらない気はする。


 水野と美乃利を迎えに行く前に、何故か昨日出会った佐伯と待ち合わせをする事になった。
元々、美乃利は佐伯と社員寮に行く予定だったし、そこに無理やり水野が乗っかっていった訳で。祐二にしたら迷惑な話。
昨日行ったドラッグストアの駐車場に着くと、「奥村さーん」という声がして、そちらを見たら白い車のドアを開けて手を振る佐伯が居た。

「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
 佐伯は、爽やかな笑みを浮かべ祐二に頭を下げる。サラッとした髪が春風になびいて、更にイケメンぶりをあげていた。

「おはようございます。車、持ってるんですね」
 祐二が近付いて訊ねると、佐伯は「レンタカーですよ。東京で車なんか持てません。電車の方が速いから」と笑う。

「ああ、ですよね。……あ、水野さんの家までは僕が案内しますね」
「はい、お願いします」

 車に乗り込んで、水野のマンションに向かう途中、祐二は岬志保という女性の事を聞いてみた。美乃利から聞く印象と佐伯とでは、感じ方が違うのかもしれない。

「オレは、妹と美乃利ちゃん繋がりで岬さんと話す機会があったんですけど、最初の印象はモデルみたいで垢抜けた娘だなーって感じ。職場でも目立ってたし、あの変な趣味がなきゃモテると思うんだけど…」
苦笑いしているのが、顔を見なくても分かる。祐二も、廃墟巡りを趣味にしている人は無理かも、と思っている。

 性格は陽気で、誰とでも打ち解け合える女性。ただ、外見と人柄がいい事を妬む者もいる。同僚の中には、岬志保の事を悪く言う者もいるらしい。
「彼女の同室の人、菅沼沙織さんていうんですけど、仲は良かったみたいです。歳も同じだし、まぁ、見た目は対照的だけど、気があったみたいですよ。2、3日で帰ってくると思ってた様で、こんな事になって心配してました」
祐二は、頭の中で岬志保という女性像を思い描いていた。

 水野のマンションに着く前に電話を入れると、待ち構えていた二人は出入口で待っていると言った。声は張りのある元気な声で、やる気満々の水野の顔が目に浮かぶ。
ああ、せっかくの休みが.........と、心の中で落胆する祐二だった。
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