物言わぬ家

itti(イッチ)

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覚悟を決めた

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 山里の印象は決して悪いものではない。太い眉にハッキリした二重の顔立ちは一見華やかに見えるが、全体的に感じる印象は冴えないものだった。目の前の佐伯も綺麗な二重のハッキリした顔立ち。彼がイケメンに見えるのは全体像が美しいからだろうと、祐二は話しながら思っていた。

「その山里くんはいつも自分で編集していたんでしょ?今回に限って岬さんが編集をするなんておかしくないですか?」
 佐伯は祐二の顔をじっと見つめると言った。
「そうなんですよね。ああいう編集ってそれなりのソフトやアプリ、機材が必要なんだと思うんですよ。それに突然出来るものなのかな」
「ですよね。今まで山里くん任せだったのに…..。何が彼女をそうさせたんでしょう」
「あ、……そういえば彼女の部屋にパソコン、ありましたっけ?オールブラックの部屋が衝撃的で見落としてた気がする」
 そう言われて祐二も記憶を辿った。黒い机は印象的だったのに……。

「山里くんは元々一人で動画配信していたらしいんだけど、大学のサークルで岬さんと知り合って廃墟巡りをする様になったみたい。なんとなく岬さんに押し切られてる感じが強いな、と思った」
「岬さんって、そういうところありそう。社内の人間が彼女に一目置いてたのは、そういうオーラを感じてたからかも」
 佐伯はそういうと渋い顔を見せた。
祐二もなんとなく岬の姿が頭に浮かぶ。出会った事のない彼女の立ち居振る舞いまで想像出来た。

「そういえば会社の就業規則で、14日間の無断欠席は退職理由になるんじゃ?そろそろ岬さんもそういう立場になるでしょ」
「そうなんですよね。会社の人事から家族に連絡が行くと思います。」
 
 そこまでいくと本格的に警察の捜索が始まるのでは、と思うが、美乃利の気持ちを考えると祐二は手伝わないわけにはいかなかった。
「僕らは山里くんと岬さんが行った家に行ってみるつもり。彼女がその家で何かを見つけて、それが失踪の原因になっているんじゃないかと思ってる」
「なら、オレも一緒に行きます。社内で彼女のプライベートを知る人もいなさそうだし、そこに行くしかないみたいですね」
「……….まあ、佐伯さんがそうしたいなら、止めはしませんが」
 祐二は佐伯を止める気になれず、任せるしかないと思った。
「では、今日はこの辺で失礼します」
「あ、はい、じゃあ、また連絡します」

 祐二は佐伯と別れると、家に帰って行く。
なんだか大変な事に巻き込まれている気がするが、真相を知る事が出来るならと、覚悟を決めた。
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