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モラルを語り捕縛されること
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「先輩!モラルとか常識なんて物に囚われていては真理なんぞ見えないんですよ!」
「ふん、なるほど。馬鹿にしては当たり前の事をいうではないか。では聞くがモラルとはなんだ?」
「それは、あれですよ社会のルールとか倫理、道徳という」
「もっと具体的に答えろ」
「あ~…嘘をついてはいけない、物を盗まない、とか…浮気をしちゃいかんとか…」
「なんだ法律の話しになりそうだな。モラルとは法律か?」
「……な、なんなんでしょう?」
「モラルとは人が人としてあるために必要な精神的態度だな」
「つまり……」
「こいつだ、パンツだよ」
「は?」
「獣は衣服を着ないだろうが。毛皮を着てはいるがな、あれは体毛だ。猿と我らの僅か3%の違いはパンツを履いているかだ」
「つ、つまり精神的態度とはパンツを履くか履かないか。大事なところを隠すという恥じらいにあると!」
「その通りだ。パンツを履くことが我々と畜生を隔てているのだ!パンツの発明こそが偉大なる人類の夜明けだったのだ!」
「で、ではノーパン主義者は?!」
「奴らは公然と獣に戻っているという背徳感に愉悦する狂信者どもよ。儚い兄弟と言う秘密結社を学内でつくって信者獲得に励む、文明の敵だ。ちなみに奴らの首魁は爽やかテニスサークルの菅嶋なのだ。あの爽やかな笑顔で幾人もの学生を騙しノーパニストに仕立て上げているのだ」
「な、ななんと許せん!」
「お前が何度も振られるのも、講義のノートを失くしたのも、駅前で気があるふりした美人にアンケートを受けて高い買い物をさせられたのも、儚い兄弟が後ろで糸を引いていたのだ!あ、あとお前から借りたCDがいつの間にか売りに出されていたのもな」
「ふ、ふふ、ふざけるなァァア!儚い兄弟団めぇ!」
「行け!今こそ人間の尊厳を高々と掲げて突き進み、文明の敵に天誅を下すのだ!」
「わっかりました、先輩!この僕が、この僕が必ずやぁ!」
酒の勢いというやつは恐いもので、彼は先輩から渡された物干し竿に先輩のLLのトランクスを棚引かせ、下宿先を飛び出した。
夜の街をパンイチの学生が毛深い裸体を晒して、合コンで移動中の菅嶋何某に天誅と叫んで、飛びかかろうとして学生自治会の警備隊に捕縛されたという顛末を聞いたのは、彼が部活長屋の牢屋の中で目を覚ましてからの事。また彼の捕縛容疑は猥褻物陳列罪という、この字書けます?と聞きたくなるような字面で、僕はパンツをモラルを履いていたはずだ!と訴えるも隙間からナニやらチラチラ覗いていたと聞き、しまったトランクスでなくブリーフにするべきだったと嘆いたという。
ちなみに彼を扇動して犯行に及ばせたと思われる先輩なる人物は目下のところ、その行為を否認している。あれは泥酔した後輩が先走った末の行為である、と宣い、近頃の学生はモラルが無くなっていると肩を竦めたという。この事件が後の四十七烈士による学内天誅騒動に至るとは、この時点では誰も想像だにしていなかった。
続……かないと思う。
「ふん、なるほど。馬鹿にしては当たり前の事をいうではないか。では聞くがモラルとはなんだ?」
「それは、あれですよ社会のルールとか倫理、道徳という」
「もっと具体的に答えろ」
「あ~…嘘をついてはいけない、物を盗まない、とか…浮気をしちゃいかんとか…」
「なんだ法律の話しになりそうだな。モラルとは法律か?」
「……な、なんなんでしょう?」
「モラルとは人が人としてあるために必要な精神的態度だな」
「つまり……」
「こいつだ、パンツだよ」
「は?」
「獣は衣服を着ないだろうが。毛皮を着てはいるがな、あれは体毛だ。猿と我らの僅か3%の違いはパンツを履いているかだ」
「つ、つまり精神的態度とはパンツを履くか履かないか。大事なところを隠すという恥じらいにあると!」
「その通りだ。パンツを履くことが我々と畜生を隔てているのだ!パンツの発明こそが偉大なる人類の夜明けだったのだ!」
「で、ではノーパン主義者は?!」
「奴らは公然と獣に戻っているという背徳感に愉悦する狂信者どもよ。儚い兄弟と言う秘密結社を学内でつくって信者獲得に励む、文明の敵だ。ちなみに奴らの首魁は爽やかテニスサークルの菅嶋なのだ。あの爽やかな笑顔で幾人もの学生を騙しノーパニストに仕立て上げているのだ」
「な、ななんと許せん!」
「お前が何度も振られるのも、講義のノートを失くしたのも、駅前で気があるふりした美人にアンケートを受けて高い買い物をさせられたのも、儚い兄弟が後ろで糸を引いていたのだ!あ、あとお前から借りたCDがいつの間にか売りに出されていたのもな」
「ふ、ふふ、ふざけるなァァア!儚い兄弟団めぇ!」
「行け!今こそ人間の尊厳を高々と掲げて突き進み、文明の敵に天誅を下すのだ!」
「わっかりました、先輩!この僕が、この僕が必ずやぁ!」
酒の勢いというやつは恐いもので、彼は先輩から渡された物干し竿に先輩のLLのトランクスを棚引かせ、下宿先を飛び出した。
夜の街をパンイチの学生が毛深い裸体を晒して、合コンで移動中の菅嶋何某に天誅と叫んで、飛びかかろうとして学生自治会の警備隊に捕縛されたという顛末を聞いたのは、彼が部活長屋の牢屋の中で目を覚ましてからの事。また彼の捕縛容疑は猥褻物陳列罪という、この字書けます?と聞きたくなるような字面で、僕はパンツをモラルを履いていたはずだ!と訴えるも隙間からナニやらチラチラ覗いていたと聞き、しまったトランクスでなくブリーフにするべきだったと嘆いたという。
ちなみに彼を扇動して犯行に及ばせたと思われる先輩なる人物は目下のところ、その行為を否認している。あれは泥酔した後輩が先走った末の行為である、と宣い、近頃の学生はモラルが無くなっていると肩を竦めたという。この事件が後の四十七烈士による学内天誅騒動に至るとは、この時点では誰も想像だにしていなかった。
続……かないと思う。
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