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あると様と下僕
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「どうぞ、こちらが俺達の家です。」
「お、お邪魔しま~す…」
晴人くんに促されるがままに、おずおずと部屋に入る。
「やっぱりここが1番落ち着くのじゃ~」
「…あるとはヒキニートだから家がお似合いナノ…」
「な、なんじゃと!?わわ、わしがヒキニートな訳ないのじゃ!?」
「…うるさいノ。静かにしろナノ。」
「はぃはぁ~い♡喧嘩しちゃ駄目よぉ~♡ぁるとちゃんにるぅか♡」
「…ごめんなさいナノ。お姉様。」
「むっ…兄には従順なのに…」
楽しそうに喧嘩している様子を見ると、とても仲がいいんだなぁと思いほのぼのしていると、
「全く…うるさいわね。自分の家じゃないのよ。」
ぶつぶつ言いながら、美空ちゃんは私にお茶を出してくれる。
「あら、ありがとう…気が利くのね…」
「何よその反応。」
少し驚いた表情をする私が気に食わないのか眉間にしわを寄せる。
「ううん、気を悪くさせたのならごめんなさいね。」
「い、いいのよ…別に…」
素直に謝ると一瞬目を見開き、気まずそうにそっぽを向いてしまった。
不器用ないい子だったと気づき、会ってよかったと思う。
ふと、晴人くんの膝に腰掛けていたのあちゃんと目が合う。
手がすっぽり隠れた世でいう萌え袖をしたその子は袖を顎に持ってきて私を見つめながら不思議そうな顔でこてんっと顔を傾げる。
あ、あざとい…っ!
私はのあちゃんと全然話せてなかったなと思い、手で招いた。
のあちゃんはキョトンとした顔をした後、理解したのか晴人くんに何か話すと膝から下ろしてもらい、足を引きずりながら私の方に来てくれた。
「ごめんなさい…!足を怪我していたの…!?私の方から行けばよかったね…」
のあちゃんの歩く様子をみて焦った私がそう言うと、
「…だい、じょうぶ…みそらにりはびり、しなさいって言われたから…」
と、カタコトながら必死にフォローしてくれる。
この子も優しいいい子だわ、と感動した私は申し訳なさと感謝の気持ちを込めて頭を撫でた。
すると、のあちゃんは少しくすぐったそうにしながら困った様に笑った。
「のあちゃんは日本語苦手なの?」
「…ちょっとだけ…」
「あら、そうなの…これからいっぱい喋れるようになるといいわね。」
私がそう言うと何度も首を縦に振り、小さい声でよし、と呟いた。
のあちゃんの顔立ちはとても幼い。
目も大きくずっと見つめていたら吸い込まれそうだ。鼻も高くて唇も薄い。
髪もつやつやで睫毛も長くてくるんとしている。
「お人形さんみたい…って思ったんじゃないですか?」
背後からぬっと出てきた真っ黒な服を身にまとった女の子は先程までるぅかちゃんと言い争っていたあるとちゃんだった。
「本当にそう思ったわ……って口調が違う…?」
あるとちゃんの言葉にうんうんと頷きながら、口調に違和感を覚えた。
「さっきるぅかちゃんと話してた時と全然雰囲気違うけど私に気を遣わなくてもいいのよ?」
「い、いえ…そういう訳には…」
壁を作られているのかも、と不安になる私。
すると、私の前に座っていたのあちゃんが手を挙げ
「…このひと、あるとさまのしもべ…になる……」
とあるとちゃんに告げた。
「え?それってどういう…」
私の言葉はのあちゃんの袖により遮られた。
あるとちゃんの方を見てみるとギラっと目付きが変化し、勢いよく立ち上がると細い腕を組んだ。
「そうじゃったのか!!下僕よ!!」
「しもべ……??」
「なりたかったのなら、そうはっきり言えば善いものの!!!」
あるとちゃんの急変に唖然としていると、のあちゃんが私の耳元で
「…なかよくなる、ためには、しもべ、にならなきゃ、いけないから、はなし、をあわせてください……」
と囁く。
なるほどそういう設定ね、と承知し、
「えぇ。挨拶が遅れてしまったわね。あると様?」
と言った。
あるとちゃ…あると様は満足そうな顔をすると私に手を差し伸べた。
「?」
「貴方は第156番目の下僕じゃ!宜しくなぁ!」
と満面の笑みで私の手を小さい両手で包み込んだ。
「お、お邪魔しま~す…」
晴人くんに促されるがままに、おずおずと部屋に入る。
「やっぱりここが1番落ち着くのじゃ~」
「…あるとはヒキニートだから家がお似合いナノ…」
「な、なんじゃと!?わわ、わしがヒキニートな訳ないのじゃ!?」
「…うるさいノ。静かにしろナノ。」
「はぃはぁ~い♡喧嘩しちゃ駄目よぉ~♡ぁるとちゃんにるぅか♡」
「…ごめんなさいナノ。お姉様。」
「むっ…兄には従順なのに…」
楽しそうに喧嘩している様子を見ると、とても仲がいいんだなぁと思いほのぼのしていると、
「全く…うるさいわね。自分の家じゃないのよ。」
ぶつぶつ言いながら、美空ちゃんは私にお茶を出してくれる。
「あら、ありがとう…気が利くのね…」
「何よその反応。」
少し驚いた表情をする私が気に食わないのか眉間にしわを寄せる。
「ううん、気を悪くさせたのならごめんなさいね。」
「い、いいのよ…別に…」
素直に謝ると一瞬目を見開き、気まずそうにそっぽを向いてしまった。
不器用ないい子だったと気づき、会ってよかったと思う。
ふと、晴人くんの膝に腰掛けていたのあちゃんと目が合う。
手がすっぽり隠れた世でいう萌え袖をしたその子は袖を顎に持ってきて私を見つめながら不思議そうな顔でこてんっと顔を傾げる。
あ、あざとい…っ!
私はのあちゃんと全然話せてなかったなと思い、手で招いた。
のあちゃんはキョトンとした顔をした後、理解したのか晴人くんに何か話すと膝から下ろしてもらい、足を引きずりながら私の方に来てくれた。
「ごめんなさい…!足を怪我していたの…!?私の方から行けばよかったね…」
のあちゃんの歩く様子をみて焦った私がそう言うと、
「…だい、じょうぶ…みそらにりはびり、しなさいって言われたから…」
と、カタコトながら必死にフォローしてくれる。
この子も優しいいい子だわ、と感動した私は申し訳なさと感謝の気持ちを込めて頭を撫でた。
すると、のあちゃんは少しくすぐったそうにしながら困った様に笑った。
「のあちゃんは日本語苦手なの?」
「…ちょっとだけ…」
「あら、そうなの…これからいっぱい喋れるようになるといいわね。」
私がそう言うと何度も首を縦に振り、小さい声でよし、と呟いた。
のあちゃんの顔立ちはとても幼い。
目も大きくずっと見つめていたら吸い込まれそうだ。鼻も高くて唇も薄い。
髪もつやつやで睫毛も長くてくるんとしている。
「お人形さんみたい…って思ったんじゃないですか?」
背後からぬっと出てきた真っ黒な服を身にまとった女の子は先程までるぅかちゃんと言い争っていたあるとちゃんだった。
「本当にそう思ったわ……って口調が違う…?」
あるとちゃんの言葉にうんうんと頷きながら、口調に違和感を覚えた。
「さっきるぅかちゃんと話してた時と全然雰囲気違うけど私に気を遣わなくてもいいのよ?」
「い、いえ…そういう訳には…」
壁を作られているのかも、と不安になる私。
すると、私の前に座っていたのあちゃんが手を挙げ
「…このひと、あるとさまのしもべ…になる……」
とあるとちゃんに告げた。
「え?それってどういう…」
私の言葉はのあちゃんの袖により遮られた。
あるとちゃんの方を見てみるとギラっと目付きが変化し、勢いよく立ち上がると細い腕を組んだ。
「そうじゃったのか!!下僕よ!!」
「しもべ……??」
「なりたかったのなら、そうはっきり言えば善いものの!!!」
あるとちゃんの急変に唖然としていると、のあちゃんが私の耳元で
「…なかよくなる、ためには、しもべ、にならなきゃ、いけないから、はなし、をあわせてください……」
と囁く。
なるほどそういう設定ね、と承知し、
「えぇ。挨拶が遅れてしまったわね。あると様?」
と言った。
あるとちゃ…あると様は満足そうな顔をすると私に手を差し伸べた。
「?」
「貴方は第156番目の下僕じゃ!宜しくなぁ!」
と満面の笑みで私の手を小さい両手で包み込んだ。
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