三尺刀使いの仮想現実戦記

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コープドシェイドクリテッド攻城戦

終幕ノ時

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作者
途中から椛視点に切り替わります。

「死ねえ!」
リーズンビエーネは接近して針を突き刺して来る。
「海蛇!」
私は其れを難なくカウンターする。
「ぐあっ!」
「そろそろ終わりにしましょうよ」
「嗚呼、そうだな!私の最後を世界よ!しかと見届けよ!終わりの針(レッズドナーバ)!」
此奴、自爆する気です。どうしましょうか?
1、自爆の爆発を切り落とす
2、自爆する前に殺す
3、逃げる
どれがいいでしょう。範囲的に3は現実味が無いですね。となると1か2ですね。ならば2メインで失敗したら1でいきましょう。
「大海流白波!死ねやぁぁぁぁぁ!」
此奴もう少しで死ぬ。でも、後5秒ってとこかな?削り切れるかなぁ?いや!何弱気な事考えているんだ!?私!削り切る!それだけだぁ!
「らぁぁぁぁぁ!」
ちっ!後2秒後0.5秒で攻撃を止め
「ぐわぁぁぁぁぁ!」
「ふぇっ?」
何が起きた?リーズンビエーネが死んだ。何故?体力を削り切ったから。
「やっ、やっ、やったぁぁぁぁぁ!かちましたよぉ!大将!」
バンっ!
「ふぇっ?何の音ですか?」
「ガァァァァァ!」
ポーンっ。
私は空中、其れも巨大亀の背中の山の上空に投げ出された。

椛視点
其れは突然、本当に突然起きた。亀が咆哮を上げながら倒れ、背中の真ん中の山から人が1人まるで鯨の潮吹きに乗った様に空中に投げ出された。その時
「危ない!」
と青が叫んだ。そして青はさらに私に向かい言葉を紡ぐ。
「椛!あの馬鹿弟子を助けてくれ!」
私の返事は決まっている。
「わかったわ。あのアマを助けるのは大変不服だけど激流が言うならね。後でご褒美を要求させて頂くけど」
「お手柔らかにお願いします」
「其れじゃ、行って来るわね」
「行ってらっしゃい」
大変不服だけど青を助ける時に傷を付けてしまったからね。練習よ練習。
「死なないでよねクソアマ」
だって此奴に死なれるとちょっと青に怒られちゃう。其れは悲しいからさ。後5m位かな?
「なっ!木の葉さん!」
「助けに来てあげたわよ浄水!」
空中で木の葉をキャッチして地上に降りて行く。因みに今日は下に黄色のハーフパンツを履いてその上から紅色の袴を履いている為下からパンツは見えない。上には紅色の着物を着てその上に大きく紅葉を後ろに刺繍された黄色の羽織を着ている。勿論紅葉は紅色での刺繍だ。さらに言うと腰には青い帯が締まっておりそこに川を描いた扇子が刺さっている。
「ありがとうございます木の葉さん」
「勘違いしないで旦那に頼まれてよ。彼今回の様な事は苦手だから。さてと、おしゃべりはここまでよ。これ以上は舌噛むから」
うん。舌噛む。だって、山肌を落ちながらも死なない様に適度に足場に着地してまた落ちると言う作業なのだから。
「ほっ、ほっ、ほっ」
あら、声を出さないところを見るにそこそこやる様じゃ無い。下を見ると青が心配そうに見上げて居る。可愛い可愛い可愛い。隣では炎が次の戦いの準備をして居た。後少しで青と話せるわね。待ってて青もう少しだから。
そう思い私は少し加速した。
「木の葉!急ぐなゆっくりでいいぞ」
「待ってて激流、もう少しだから」
「急ぎ過ぎるな、木の葉」
後少しで地面に着くよ。
「うん、分かった」
少し減速する。後10m位。
「もんそろそろだぞー」
「ふふふっ降りたらキスしてよね」
「ふっ、ふざけないで下さい!ぶっ殺しますよ!」
助けてやったというのに何たる奴。
「浄水」
青がドスの効いた声でクソアマの名前を呼ぶ。
「なっ、何でしょうか?」
「お前、木の葉が居なかったら死んでたんですよ。其れなのにぶっ殺すですって?調子に乗るのも良い加減にしろ!!!お前が木の葉に今向けるべきは殺意では無く感謝だ!このド阿呆が!其れに戦場で仲間割れなんてもっての外だ!ふざけるな!分かったか!?この大馬鹿ものがぁ!」
青のお説教、今この時青の脳内はあのクソアマで支配されてるから悲しいな。
「はっ、はいー!」
「ならば木の葉に感謝の言葉の一つや二つ掛けてこい。そして前言を撤回しろ」
「はいー!」
こんのクソアマがようやく気付いたのか?
「木の葉さん」
「なんですか」
私は苛立ちを孕ませて応える。
「助けていただきありがとうございました」
「常識人であればその言葉が最初に出るものですよ。以後気を付けなさい」
「はい」
「其れと前言を撤回させて頂きます」
「うむ、宜しい。咄嗟に心にもない事や本心が出そうになった時に自制できる様訓練しなさい。私からは以上です」
「ありがとうございました」
「さて、激流」
「何でしょうか?」
チュッ。
私は青の唇を咄嗟に奪う。甘くてあったかくて優しい味がした。
「ご馳走様」
唇を外してこう言った。其れに対して青は
「ふ、不意打ちは狡い!このやろ!」
チュッ。
顔を赤くして不意打ちは狡いと言った後私の唇を青から奪って来た。因みに私は一瞬フリーズした。
「ふぇっ?激流」
「んっ、そろそろいこっか。最前線」
「むー分かった。けどその前に青、炎達に連絡して遅れるって」
「良いけど、何で?」
「青、あのクソアマについて少しお話しよっか」
「ヒェッ」
少し足を後ろに運んだ青を見て私は言う。
「ねえ、逃げないであんなクソアマの方が私より良いの?そんな訳ないよね。私は青をこんなにも愛して居るのに」
「椛はちょっと愛が重過ぎるのだよ」
「重い?私が?確かに小柄な青よりは重いけど」
「そう言う事じゃない。椛の夜這いとかまあ、私のことを愛してくれるのは素直に嬉しいけど重過ぎるのだよ、愛が」
「別に愛は重くても良いじゃない。むしろ重いくらいが丁度良いでしょ?」
「椛、限度と言うものが有るのですよ。私も椛がそんなに愛が重く無ければ中2位で覚悟を決めて告って居たでしょうに、重過ぎて何が起こるか分からないから告って無かったんだよ私」
「どう言う事?」
「纏めるとまず初めに私は椛が好き。結構ね椛に結婚を強要されたから結婚したと思ったら大間違いだよ」
ボンっ。
椛の頭から湯気が立ちのぼる。
「大丈夫?」
「ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ」
「まあ良いか。第二に何故椛に告らなかったのか?だね。理由は単純明快。椛の愛が重すぎて何が起こるか分からなかったから」
これがかなり大きい。
「そして最後第三に椛、美人じゃん」
ボンっ。
また椛の頭から湯気が立ちのぼる。
「そ、其れの何が関係あるの?」
椛の質問に対して私の出す答えは決まって居る。
「椛って美人じゃん」
「まただよ!不意打ちは狡い!」
「事実だもん。其れで、私って女顔の男じゃん」
「そうだね。青が女性だったら私とためはれる程の美人だっただろうね」
「其れで釣り合わないと言われて虐めに会うのが怖かった」
「ふーん。つまりは私の愛が重過ぎて、さらに私と付き合うと周りから虐められる可能性があるから告白しなかった、と」
「そうだね」
「つまりは外野のクソ共のせいで私は待たされた、と」
「まあ、そうなるね。椛の愛が重過ぎ問題もあるけど」
「ふーん。其れで」
私はドスの効いた声で青に聞く。
「あのクソアマとは変な関係になってないよね?」
「滅相もございません!其れに、最初に言ったけど私も結構椛のことが好きなんだよ。浮気はしないよ。(猫にはあるかもだけど(ボソッ))」
青、猫好きなんだ。私よりも、なら仕方ないよね。
「よし、この世界から猫を消し去ろう。全て一匹残らず鏖殺してやる」
「やめて」
「だって、青が猫にはあるかもとか言うから!」
「恋愛対象としては椛だけだよ。可愛がる、愛でる等の対象は椛と猫でためはれるねということ。猫を恋愛対象とは見れないから!」
「そっ、ならよかった。さて、待たせちゃったし行きましょうか。最前線」
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