濃紺の火花

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ep1デュッセルドルフ級超弩級戦艦誕生

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キッ、キッ、キッ。
フェルトペンが紙に文字を書くときに出る不快音が部屋に木霊する。
「出来た」
彼は紙に書いていたのだ。
「俺の考える最強の戦艦。超弩級戦艦デュッセルドルフ!」

※超弩級戦艦とは戦艦と主に表記される砲艦で、イギリスの弩級戦艦ドレッドノート以上の性能を持つ戦艦を超弩級戦艦と表記する。ドレッドノート以上の性能とは片側に主砲を三機以上向けられることである。また弩級戦艦のことを前弩級戦艦と表記することもある。また、超弩級戦艦の中で比較的高速な戦艦を巡洋戦艦と呼ぶ。しかし、巡洋戦艦は戦艦自体の高速化、戦艦自体の効力の低下により自然消滅した。

俺の名前は連矢工(れんや こう)。軍艦が好きで時々設計図を書いたりしている高校二年生だ。今俺は今日書き上げた超弩級戦艦の設計図を手にしている。
「装甲は外面にNVNC鋼を貼った後NVNC鋼の裏に熱を伝えにくくする為の断熱材として耐火木材を挟み、内側にはCNC鋼を用いる事でNVNC鋼での一次防御。耐火木材の耐火用鋼板によるあまり効果のない二次防御。そしてCNC鋼を用いる三次防御で敵艦の砲弾を止めて、ナチスのビスマルク級超弩級戦艦に搭載された380mm連装砲の技術を流用した430mm連装砲四機八問で敵艦を粉砕する。とても素晴らしいじゃ無いか!だけど・・・サイズがとんでもないことになるな。足も遅くなるし」

※日本の代表的な戦艦である大和型超弩級戦艦が460mm。イギリスの代表的な超弩級戦艦であるキングジョージ5世級(プリンスオブウェールズ等同型艦五隻)が356mm。アメリカの代表的な戦艦であるアイオワ級超弩級戦艦が406mmとデュッセルドルフ級の430mmはかなりの巨砲。

※NVNC鋼、CNC鋼、補足としての軟質ヴォタン鋼。NVNC鋼はニッケルクローム鋼。CNC鋼はNVNC鋼を元にニッケルの含有量を減らし銅を代わりに入れた物。後補足として連矢工の想像したデュッセルドルフ級の水雷防御隔壁には軟質ヴォタン鋼を使用。軟質ヴォタン鋼はヴォタン鋼の一種でニッケルクローム鋼の一種であるKNC鋼を元にモリブデンを配合した硬ヴォタン鋼と比べ粘りがある鋼材。

船体はビスマルク級超弩級戦艦をメインとしてそれを大型化した物を採用。それに伴う質量増加などにより巡航速度は19ノットから16ノットへ。最高速度は31ノットから27ノットへ低下した。
※1ノット=約1.852km毎時。
「そして、」
そしてなによりもコレが問題だ。
「建設費用を計算したけど、頭が痛くなる。大和型超弩級戦艦一番艦大和と二番艦武蔵の建設費用を足した位かかるな」
流石にコレは想定以上だ。
「だけど、俺の作る夢想艦隊の主力艦としての性能は十二分にあるな」
三種の材料を使った最低でも副砲の側盾の合計で100mm。最も厚い所だと三種合計で主砲の前盾で400mm。厚さの配分は一律でCNC鋼が75mm。耐火木材が
10mm。NVNC鋼が残りだ。副砲の側盾を例に出すとNVNC鋼は15mmだな。また装甲の厚さが75mm以下の時はCNC鋼を貼っている。理由はCNC鋼は薄くてもかなりの対弾性を誇るからだ。75mmまでならばNVNC鋼と同等の対弾性だ。ただし75mm以上貼ると著しく耐久力の向上が低下する為CNC鋼を装甲として貼る場合は75mm以下しか使用しないと決めている。
「そして対空火器。コレがめっちゃ悩んだ」
対空火器。第二次世界大戦中に勃発した太平洋戦争で大日本帝国海軍の航空機にイギリス海軍のキングジョージ5世級超弩級戦艦プリンスオブウェールズがマレー沖海戦で撃沈したことにより海戦は空の時代を迎えた。
「それが故に防空巡洋艦などと言うカテゴリーが生まれたのだが、防空専門の巡洋艦を造らねばならない程に航空機は圧倒的な戦力を誇る」

※防空巡洋艦とは対空火器をマシマシに積んだ巡洋艦の事。代表的な防空巡洋艦はイギリスのダイドー級や2022年現在日本やアメリカ、韓国等で就任しているイージス艦(防空巡洋艦に分類されない物もある)。

「あんまり防空巡洋艦みたいに対空火器をマシマシに積むと副砲が積めなくなるんだよね。デュッセルドルフ級超弩級戦艦は対艦性能に振った艦だからね」
そう!デュッセルドルフ級超弩級戦艦は対艦を前提に設計した超弩級戦艦。だから対空は遼艦に任せるのだが、流石に対空火器無しは酷いので対空火器も設計した。
「デュッセルドルフ級超弩級戦艦に載っける対空火器はビスマルク級超弩級戦艦を基に20mm単装機関銃を連装にし、両舷に二機ずつ新たに20mm四連走機関銃を増設した位だ」
ビスマルクの単体の対空能力は練度不足の為低かった様だが練度を鍛えれば良い。対空能力は素でかなり高いのだからわざわざ俺が手を入れることも無い。
「まあ、対空砲担当の為に全対空砲の為に対空機銃には防盾を新たに設計はしたけどね」
そして対空火器の次に悩んだのは偵察だ。
「単純に艦上構造物である艦橋を日本の扶桑型超弩級戦艦みたいな違法建築艦橋位のサイズにするのも考えたけど、目立つんだよね。違法建築艦橋」
※違法建築艦橋とは扶桑型超弩級戦艦に載っけられたアホみたいなサイズの艦橋である。必ずしも違法ではないのでご注意を。
「だからこそ私は考えた。戦艦の構造に関する本を読み漁った。そして私の前に現れたのは漢字で三字平仮名五字のこの分類。そう!偵察機だ!」

※偵察機とは敵情偵察を行う飛行機。まんまだね。その歴史は古く西暦1794年にはフランス軍が気球を偵察機として用いている。代表的な偵察機は日本のキ46-Ⅲ甲通称を一〇〇式司令部偵察機三型甲。

「そして結局はビスマルクモデル船体の為少し設計図を修正すればアラドAr196が載っけられた」

※アラドAr196。ドイツのアラド社が開発した偵察機。翼を畳むことが出来る為ドイツの駆逐艦以外の艦載機として1938年11月から生産が始まった。1944年の三月までに500機以上生産された。フロートを付けることができ陸上、艦上、水上偵察機として活躍した。有名な搭載された艦はビスマルクとポケット戦艦だろう。

だから私はコレ、アラドAr196に改修を加えた。具体的には武装として装備していた50kg爆弾の有効性があまりないと判断し、爆弾を装備していたエリアにエンジンと燃料庫を増設した。これにより880馬力の空冷エンジンが70馬力増量して950馬力の空冷エンジンに強化された。
また、デュッセルドルフ級超弩級戦艦に載っけるカタパルトも強化を加えた。威力増強という単純な強化を。

作者
此奴の考えてる架空艦は全部ミリオタの私が考えた奴です。後表紙画像の答えはナチスドイツの超弩級戦艦ビスマルクです。デュッセルドルフ級の水雷防御について加筆。因みにデュッセルドルフ級は船体モデル、水雷防御、副砲、対空砲、艦橋(そのままのスケールで船体と同じ縮尺で大型化した為)はドイツで主砲と偵察機はドイツを元に改良。装甲板は
大日本帝国のを使っています。
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