シナリオを退場した悪役令嬢は、賢者様をハッピーエンドに導きたい!!

冬野 冷

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第一章 婚約破棄からの逃亡

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 さて、レイン様の修行家を出発しまて、1日目で私のおうち、ヴァルテス家につきました。レイン様のお家があったのは、王都を囲む壁―――通称、リューメルンの壁のすぐそばの森です。王都に入るには、身分を証明するものを見せるか、金を払えばいい。私とレイン様は、冒険者ギルドのカードを見せたら、あっさりと通してもらえた。
 そう、この世界には、冒険者ギルドがあるのだ!!憧れの冒険者ギルド!存在していると知ったときは狂喜乱舞したものだ。冒険者ギルドには、もちろん、ランクがある。下からF、E、D、C-、C、C+、B-、B、B+、A-、A、A+、S-、S、S+、SS、SSSという感じになっている。Cランクから-とか+とかついてるのは、冒険者の生存率を上げるためだとか。基本、何でも屋という感じで、様々なクエストがある。1番メジャーな魔物討伐から、公園の清掃活動まで、本当に様々だ。冒険者登録ができるのは16歳から。私が冒険者カードを持っているのは、ルミワ魔法学園の生徒だから。ルミワでは、入学すると生徒全員が冒険者ギルドに登録させられるのだ。冒険者ギルドも了承している。レイン様も、一応ルミワに在籍していることになっているのでもらうことができたのだそう。

 で、問題はこの後だ。レイン様は、私をヴァルテス家に送った後、そのまま自分の実家に帰ろうとしていたので引き留めて、家に上がってもらうことにした。そこはいい。今の私たちはローブを頭からすっぽりとかぶっていて、明らかに不審者みたいな格好だ。・・・・・・この格好で入っても大丈夫なのだろうか、いや、私の家なんだけど。

 うん、覚悟を決めよう。たとえ不審者扱いされたとしても、ローブを脱いで顔を見せればいいことだ。

「・・・・・・レイン様、行きましょうか」
「う、うん。」

 レイン様は、家の大きさに驚きながらついてくる。とりあえず門の前まで来たのだけれど・・・・・・守衛さんが2人立っていた。いや、いるのは知ってたんだけど。どうも、キラキラした目でこっちを見てるんだよな~。とりあえず、フードをとって話しかける。

「えっと、久しぶり、ですね。覚えていらっしゃるでしょうか、エリシア・ヴァルテスです。後ろの方は私の連れの方ですので身分は確かですわ。ここを通してもらえますか?」

 お嬢様言葉で話しかけてみる。なんとなく、レイン様が驚いたのを感じた。うん、レイン様の前で、お嬢様言葉を使ったことはなかったもんね。でも家ではこんな感じなんだよね。どっちかというとレイン様の前で使ってた言葉のほうが素なんだけど。私だってやればできる子だし、社交界では『完璧なるお方』って呼ばれてるんだから。これは弟情報だから確実だ。

「やはり、エリシア様でしたか!!無事なお姿を見ることができ、うれしく思います。」
「皆様、お待ちになられていますよ。さあ、どうぞお入りください。後ろの方もどうぞ。」
「ええ、お仕事、頑張ってくださいね」
「「光栄の極み!!」」

 ほほえみ付きで頑張ってね、といったら変な返しをされた。そこは、ありがとうございますじゃないの?まあ、いっか。とりあえず、なぜか固まってるレイン様の手を取って門を通る。その門の先には・・・・・・庭、というか森と川が見える。屋敷は2km先にある。とりあえず、歩く。

「広いな。」
「ですよねー。」

 そんなことを話しながら、ひたすら足を動かして、屋敷の前まで来た。

「エリシア、えっと、その、手」
「?・・・・・・っあ!!ご、ごめん!!」

 慌てて、レイン様の手を放す。危なかったー、このまま家に入るところだったわー。

 さて、気を取り直して・・・・・・。
私は、扉のノッカーで扉をたたいた。すると、数分、否、数秒も置かずに扉が勢いよく開かれた。そして・・・・・・

「「「「「おかえりなさい!!シア(姉様)(お嬢様)!」」」」」

 ・・・・・・盛大なお出迎えだな。

「ただいまかえりました。」

 みんなにっこり顔だ。家がおかしい?ふつうそこは怒るとこだろって?うん、家の人は使用人も含めて、どこか抜けてるんだよ。

「シア、後ろの人は誰かな?」

 神々しい美貌の兄様が私に話しかけてきた。

「1か月間、お世話になった人ですよ。」
「・・・・・・初めまして、レイン・クライシスといいます」
「なるほど・・・・・・エリシアがお世話になったね。エリシアの父のブレイン・ヴァルテスという。」
「母の、スレイア・ウィニー・ヴァルテスです」
「兄の、シリウス・ヴァルテスだよ」
「弟の、シノルーカ・ヴァルテスです!」

 ニコニコ顔で自己紹介を始めるわが家族たち。どうやら、レイン様を歓迎してくれているようだ。お父様がレイン様に近づいて、手を差し出す。

「これからも、末永くよろしく、レイン君」
「・・・・・・はい、よろしくお願いします。」

 互いに握手を交わす2人を見て、ふと、引っかかる。さっき、お父様、末永くよろしくって言わなかった?・・・・・・友達としてこれからも仲良くしてやって、ってことだよね?お母様をちらりと見ると、意味ありげな笑顔でウインクをされた。うん、お母様かわいい。・・・・・・これ、完全にレイン様が好きってことがばれてるな。どうやら、レイン様をの外堀を埋めていくようだ。・・・・・・がんばって、レイン様。そしてごめんなさいレイン様。お母様だけでなくほかの皆も気づいたようで、私に、とってもいい顔を向けてくる。中にはガッツポーズしてくる人もいる。これは・・・・・・あきらめよう。

「では、エリシアが無事帰ってきたことだし、ちょっとしたパーティーでもしようか。レイン君も参加してくれないかい?」
「よろしいのですか?」
「もちろん、ただ、この後用事があるというのなら無理強いはしないけど」
「喜んで参加させていただきます。」

 まじか。パーティーって、たぶん身内だけのものだと思うけど。家って、いろいろと濃い人が多いんだけど・・・・・・レイン様大丈夫かな?・・・・・・まあ、いっか。


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