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第一章 婚約破棄からの逃亡
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お兄様からレイン様の居場所を聞いてバルコニーに出ると、レイン様は、いた。いたんだけど・・・・・・話しかけづらい。
バルコニーでグラス片手に空を見上げる美少年。この状態を聞いただけなら、わあ~絵になるなーと思うと思う。でも、実際は・・・・・・(真昼間の)バルコニーで(中身の入っていない)グラス片手に(何もない)空を(うつろな目で)見上げる美少年。
・・・・・・。
話しかけにくい。
ゆ、勇気を出すんだエリシア!君ならやれる君ならやれる君ならやれる君ならやれる君なら殺れる、あ、殺っちゃいかんよ。
「レ、レイン様、ここにいたんだね」
「エリシア?ふふふ、ついに幻聴が聞こえるようになったか・・・・・・もう僕はダメみたいだ」
とても素敵な笑顔で笑い出すレイン様。れ、レイン様!私がいなかったこの短時間の間にいったい何が起こったんだ!!
「レイン様!私、ここ!!ここにいるから!!」
何度声をかけてもレイン様は笑うばかりで、私に気づいてくれない。
・・・・・・しかたがない、ほんとはこの手は使いたくなかったんだけど・・・・・・。
「いい加減気づけや!レイン様!!」
私は、手のひらをレイン様の背中にたたきつけた。フルスイングした手は、見事にヒットした。
大丈夫、レイン様のHPはとっても高いから!この程度じゃ、ダメージにもなっていないよ!!たぶん・・・・・・。虚ろな目が私を映す。やっとこっちを見てくれた・・・・・・。
「・・・・・・エリシア?」
「うん、エリシアだよレイン様」
レイン様の眼が虚ろじゃなくなった、かと思ったら涙目になった。エリシア~って言いながら私に抱き着いてくるレイン様。ほんとに、何があったんだよ。・・・・・・そういえば、ゲームのレイン様って極度の人見知りっていう設定があったな。人見知りはこの時からだったか・・・・・・。1人にして、ごめん・・・・・・。
「エリシア、聞いてよ!!人がっ!たくさんの人が僕に話しかけてきたんだ!!」
「おぉう」
「それで、それでね!・・・・・・」
「・・・・・・」
結局、レイン様が落ち着くのに30分くらいかかった。
「・・・・・・ごめんね」
「いや、レイン様が落ち着けたんならそれでいいよ、うん」
あれから30分。レイン様に抱き着かれながら話を聞き続けていた私。長い時間大好きな人に抱きしめられて、精神力がガリガリと削られて、もう死ぬって時にレイン様が解放してくれた。私のSAN値は0になる寸前だ。こういうとき、ゲーム内で売ってたSAN値回復薬が欲しくなる。この世界にはSAN値回復薬は売ってないんだよ。残念。・・・・・・まぁ、似たような効果のある薬なら私が作ったんだけど。
あぁ、レイン様の目に映る私は、きっと虚ろな目をしているのだろうな。
「本当に、大丈夫?」
「ダイジョウブデス」
うん、ホントに大丈夫だよ。ただ、ちょっと、自分の中の何かがオーバーヒート起こした上に暴走して、大変なことになってるだけだから。だからそんなに気にしないで、レイン様。
レイン様のことが心配なので、しばらくそばにいることにした。落ち着いたとはいえまたあんなことになったら困るし・・・・・・かわいかったけどさ。しかし、私がいない間に本当に何があったんだ。気になるんだけど、レイン様は『人が・・・たくさんの人が・・・・・・』としか言わないし、顔が真っ青になったり真っ赤になったりと、大変そうだったし。残念だけど、もう聞くまい。
「・・・・・・エリシア、夕方くらいに、1度、僕は自分の実家に顔を出してくるから」
「夕方に?危なくない?・・・・・・もしもレイン様が変な人につかまって、あんなことやこんなことをされたりしたらどうするの!?」
「あんなことやこんなことって何!?ていうか、僕、そんなに簡単につかまったりしないから!?」
「ちゃんと自己防衛してね?レイン様に何かあったら、私はこの国に隕石を降らせるからね?」
「ヤメテ!?国がなくなっちゃうよ!?・・・・・・僕ってそんなに頼りない?これでも君の師匠なんだけど」
「・・・・・・レイン様、自分がどう見られているかわかって言ってる?」
「え?・・・・・・胡散臭いローブ野郎?」
「・・・・・・・」
レイン様は、全然理解していなかった。確かに普段から黒いローブ着用なうえにフードを深くかぶっているし、少し前まで髪がすごく長くてやぼったい感じだったけど・・・・・・今のレイン様は髪が短いから、顔がばっちり見えているんだよ?しかも、乙女ゲームの隠し攻略キャラだけあってとんでもない美形。そして、侯爵子息だけあって、一つ一つの動きが優雅だし。そして本人の年齢は14。
結論。後ろ暗い連中の獲物になります。
見るからにお忍びのどこぞの貴族。身代金目当ての連中が襲ってきます。だから心配しているんだけど・・・・・・この様子だと、気づいてないな。まぁ、レイン様の強さだと、たいていの奴らは返り討ちにされるけど・・・・・・大丈夫かな?
「本当に大丈夫だよね?」
「ただ実家に顔を出すだけだよ?大丈夫だから」
大丈夫だよと言って笑うレイン様。
心配だ、心配だよ。だって・・・・・・
だって、乙女ゲームのレイン様は、すべてを失ってしまったのだから。
バルコニーでグラス片手に空を見上げる美少年。この状態を聞いただけなら、わあ~絵になるなーと思うと思う。でも、実際は・・・・・・(真昼間の)バルコニーで(中身の入っていない)グラス片手に(何もない)空を(うつろな目で)見上げる美少年。
・・・・・・。
話しかけにくい。
ゆ、勇気を出すんだエリシア!君ならやれる君ならやれる君ならやれる君ならやれる君なら殺れる、あ、殺っちゃいかんよ。
「レ、レイン様、ここにいたんだね」
「エリシア?ふふふ、ついに幻聴が聞こえるようになったか・・・・・・もう僕はダメみたいだ」
とても素敵な笑顔で笑い出すレイン様。れ、レイン様!私がいなかったこの短時間の間にいったい何が起こったんだ!!
「レイン様!私、ここ!!ここにいるから!!」
何度声をかけてもレイン様は笑うばかりで、私に気づいてくれない。
・・・・・・しかたがない、ほんとはこの手は使いたくなかったんだけど・・・・・・。
「いい加減気づけや!レイン様!!」
私は、手のひらをレイン様の背中にたたきつけた。フルスイングした手は、見事にヒットした。
大丈夫、レイン様のHPはとっても高いから!この程度じゃ、ダメージにもなっていないよ!!たぶん・・・・・・。虚ろな目が私を映す。やっとこっちを見てくれた・・・・・・。
「・・・・・・エリシア?」
「うん、エリシアだよレイン様」
レイン様の眼が虚ろじゃなくなった、かと思ったら涙目になった。エリシア~って言いながら私に抱き着いてくるレイン様。ほんとに、何があったんだよ。・・・・・・そういえば、ゲームのレイン様って極度の人見知りっていう設定があったな。人見知りはこの時からだったか・・・・・・。1人にして、ごめん・・・・・・。
「エリシア、聞いてよ!!人がっ!たくさんの人が僕に話しかけてきたんだ!!」
「おぉう」
「それで、それでね!・・・・・・」
「・・・・・・」
結局、レイン様が落ち着くのに30分くらいかかった。
「・・・・・・ごめんね」
「いや、レイン様が落ち着けたんならそれでいいよ、うん」
あれから30分。レイン様に抱き着かれながら話を聞き続けていた私。長い時間大好きな人に抱きしめられて、精神力がガリガリと削られて、もう死ぬって時にレイン様が解放してくれた。私のSAN値は0になる寸前だ。こういうとき、ゲーム内で売ってたSAN値回復薬が欲しくなる。この世界にはSAN値回復薬は売ってないんだよ。残念。・・・・・・まぁ、似たような効果のある薬なら私が作ったんだけど。
あぁ、レイン様の目に映る私は、きっと虚ろな目をしているのだろうな。
「本当に、大丈夫?」
「ダイジョウブデス」
うん、ホントに大丈夫だよ。ただ、ちょっと、自分の中の何かがオーバーヒート起こした上に暴走して、大変なことになってるだけだから。だからそんなに気にしないで、レイン様。
レイン様のことが心配なので、しばらくそばにいることにした。落ち着いたとはいえまたあんなことになったら困るし・・・・・・かわいかったけどさ。しかし、私がいない間に本当に何があったんだ。気になるんだけど、レイン様は『人が・・・たくさんの人が・・・・・・』としか言わないし、顔が真っ青になったり真っ赤になったりと、大変そうだったし。残念だけど、もう聞くまい。
「・・・・・・エリシア、夕方くらいに、1度、僕は自分の実家に顔を出してくるから」
「夕方に?危なくない?・・・・・・もしもレイン様が変な人につかまって、あんなことやこんなことをされたりしたらどうするの!?」
「あんなことやこんなことって何!?ていうか、僕、そんなに簡単につかまったりしないから!?」
「ちゃんと自己防衛してね?レイン様に何かあったら、私はこの国に隕石を降らせるからね?」
「ヤメテ!?国がなくなっちゃうよ!?・・・・・・僕ってそんなに頼りない?これでも君の師匠なんだけど」
「・・・・・・レイン様、自分がどう見られているかわかって言ってる?」
「え?・・・・・・胡散臭いローブ野郎?」
「・・・・・・・」
レイン様は、全然理解していなかった。確かに普段から黒いローブ着用なうえにフードを深くかぶっているし、少し前まで髪がすごく長くてやぼったい感じだったけど・・・・・・今のレイン様は髪が短いから、顔がばっちり見えているんだよ?しかも、乙女ゲームの隠し攻略キャラだけあってとんでもない美形。そして、侯爵子息だけあって、一つ一つの動きが優雅だし。そして本人の年齢は14。
結論。後ろ暗い連中の獲物になります。
見るからにお忍びのどこぞの貴族。身代金目当ての連中が襲ってきます。だから心配しているんだけど・・・・・・この様子だと、気づいてないな。まぁ、レイン様の強さだと、たいていの奴らは返り討ちにされるけど・・・・・・大丈夫かな?
「本当に大丈夫だよね?」
「ただ実家に顔を出すだけだよ?大丈夫だから」
大丈夫だよと言って笑うレイン様。
心配だ、心配だよ。だって・・・・・・
だって、乙女ゲームのレイン様は、すべてを失ってしまったのだから。
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