シナリオを退場した悪役令嬢は、賢者様をハッピーエンドに導きたい!!

冬野 冷

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第一章 婚約破棄からの逃亡

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 会場に向かうと、既にパーティーが始まっていた。これ、パーティーっていうか、宴会だよね?まだ昼なのにお酒が置いてあるんだけど?机の上に所狭しと置かれた料理、酒の入ったコップを片手に肩組んで踊りだす執事A、B、Cたち、見事な美声を響かせながら音程の外れた歌を歌うメイドA、そして剣を振り回しながら何かを叫んで踊っている・・・・・・お、お父様ーーーーーー!!
 なんで!?どうしちゃったのお父様!?・・・・・・あっ、お母様が首トンで気絶させた。うん、あっちは大丈夫そうだね。

「姉様」

 ふわふわの白金の髪を揺らしながら、相変わらず愛らしい私の弟、シノが近づいてきた。

 乙女ゲームの攻略対象キャラの1人、シノルーカ・ヴァルテス。ゲーム内では、姉のいじめが原因で無口無表情というキャラだったのだけど・・・・・・。今のシノは、表情豊かな腹黒だ。怒ると、とてもいい笑顔で毒を吐く。家族のことが好きで、とても大切にしている。ゲームとは違うけど、こういう変化は、とてもいいことだと思う。

 相変わらず天使でかわいらしいシノが、ニコニコと笑顔を振りまきながら私に話しかけてきた。

「改めて、お帰りなさい、姉様」
「ええ、ただいま、シノ」

 どうぞ、と差し出された飲み物を受け取り、ありがとうと言ってほほ笑むと、シノは頬を赤らめてへにゃりとした笑顔をした。あぁ、かわいいなぁとほっこりしながら飲み物を口に含む。オレンジジュースだった。

「姉様、あの方・・・レイン様でしたっけ?あの方は姉様の彼氏さんですか?」
「ふぐっ!?・・・うぇっほ、げほっ!!」
「だ、大丈夫ですか、姉様!?」
「・・・うん、ダイジョウブダヨ・・・・・・。」

 び・・・・・・びっくりしたわ!!レイン様との関係をっ!直球で!しかもかわいい弟から聞かれて!!しかも何の心の準備もしてなかったから、むせた・・・・・・。ジュースを吹き出さなかっただけまだましと思うことにしよう・・・・・・。

「レイン様は、彼氏じゃないよ。師弟なんだよ・・・・・・」
「師弟、ですか?姉様が弟子なんですよね?だけど、レイン様はどう上に見ても14にしか見えないのですが・・・・・・」
「うん、レイン様は14歳、私と同じ年よ?でも、私よりもはるかに強いし知識も豊富なの。まだまだ、学ぶことがたくさんあるわ。」

 そう、私はまだまだレイン様に届かない。もっと頑張らないと。
ふんっ、と気合を入れていると、シノがこちらを見ていた。

「姉様、今、楽しいですか?」
「え?ええ、楽しいわよ?」

 それがどうかしたの?と首をかしげる。シノは、ふわりと笑って、姉様が楽しいのなら何も言うことはありません、といった。なんだったのだろう?
 ふと、後ろに気配を感じて振り返る。

「シア、シノ。ここにいたんだね」

 そう言って、私たちに笑いかける麗しのお兄様。

 乙女ゲームの隠し攻略キャラ、シリウス・ヴァルテス。ゲーム内では色気とフェロモン駄々洩れなチャラ男だったけど、今のお兄様は皆から月の化身と呼ばれるほどの美貌を持つ、神々しいシスコンになっている。神々しいシスコンってなんだ!?って突っ込まれるだろうけど、ほんとに神々しいシスコンなんだよ。ゲームのお兄様は、家がいろいろとややこしいことになってて、荒れてたんだよね。チャラ男な兄様より今のお兄様のほうが好きだから私的にはいい結果になったと思う。

「お兄様、ごきげんよう」 
「ふふっ、ごきげんよう。シアとこうやってお話できてよかったよ。」
「まあ、お兄様。わたくしが家に帰るつもりがなかったと思っているのですか?」
「そういうわけじゃないよ。ただ、うれしくてね」

 ニコニコとうれしそうに笑うお兄様を見ていると、こっちまでニコニコしてくるから不思議だ。

「そういえば、さっき、レイン君がバルコニーに出ていくのを見たけど・・・・・・行かなくていいのかい?」
「ほ、本当ですか!?教えてくださり、ありがとうございます、兄様。シノ、私はレイン様を探すわ。また、後でお話ししましょう」
「はい!また後程」

 レイン様を追って、バルコニーへ向かう私をお兄様とシノが生暖かい目で見ていたのだが・・・・・・私が気づくことはなかった。

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