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【第3章:王都編】 第4話「王国の影、動く」
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深夜の《プロメテア》。
炉の火は穏やかに燃え、床には戦いの痕跡が静かに残っていた。
「……あいつら、“命”を捨てることを恐れてなかった」
隼人は手のひらに残る黒い煤を見つめる。
戦いの中で、彼は確信した。
――あれは、ただのテロリストではない。
“狂信”に近い意志を持っていた。まるで何かに突き動かされているかのように。
そのとき、扉が叩かれた。
「失礼する!」
現れたのは、王国騎士団の副団長・ゲオルグだった。
その表情は、今までになく険しい。
「……君の元に“灰の楽園”が動いたと報告を受けた。無事で何よりだ」
「単なる襲撃じゃない。狙いは“核鋼”だった。そしてもう一つ……この店の破壊が目的だった」
「そうか……」
ゲオルグは、懐から一枚の羊皮紙を差し出した。
「これは……?」
「王国の内部で、“灰の楽園”に物資を流している者がいる。
名前が記されていた……“ヴァロア・エスカロット”。」
「……貴族派の筆頭じゃねぇか」
隼人の声に、怒りが滲む。
「この証拠は完全ではない。だが、奴の動きは明らかに不自然だ。
帝国との和平交渉を潰し、軍需を拡大し、騎士団に圧力をかけ続けている」
ゲオルグは視線を鋭くし、告げる。
「我々騎士団は、“正義”に従って動く。
だがこの件、正面から動けば“内戦”になる恐れすらある」
「だからお前は、俺に頼みに来たんだな。“騎士団じゃできねぇこと”を」
「……すまない」
隼人はしばらく黙っていたが、やがて火の粉を見つめながら言った。
「俺は戦士じゃない。鍛冶師だ。けど、“誰に何を託すか”って選び方は、鍛冶師の本分だ」
「今、ヴァロアが何を企んでるかを掴むには……“火花を散らす”しかねぇ」
ゲオルグが口を開く。
「ヴァロアは三日後、“新型武装兵団”の公開演習を行う。王都近衛の選抜隊と共に、だ」
「つまり、その演習に仕込まれた兵器が、“灰の楽園”と繋がっている可能性がある……と」
隼人は頷いた。
「わかった。あんたに代わって、俺が“武器の目”で確かめてやる。
その代わり、クロードとリリィには手を出させるな」
「約束しよう。君の仲間は、我々が守る」
その頃――
王都郊外〈黒煙の谷〉では、クロードたちが“竜骨鉱”を掘り出していた。
「っくそ、この鉱石……ほんとに“生きてる”みたいに暴れるな!」
「リリィ、魔力で包んで!このままじゃ……!」
不意に、谷の奥から唸り声が響いた。
「な、なんの音……?」
「……魔獣か? いや、違う――あれは、“何かが掘り起こされた音”だ」
彼らが採掘したその鉱床の下に、偶然“封印されていた何か”が目覚めようとしていた――。
炉の火は穏やかに燃え、床には戦いの痕跡が静かに残っていた。
「……あいつら、“命”を捨てることを恐れてなかった」
隼人は手のひらに残る黒い煤を見つめる。
戦いの中で、彼は確信した。
――あれは、ただのテロリストではない。
“狂信”に近い意志を持っていた。まるで何かに突き動かされているかのように。
そのとき、扉が叩かれた。
「失礼する!」
現れたのは、王国騎士団の副団長・ゲオルグだった。
その表情は、今までになく険しい。
「……君の元に“灰の楽園”が動いたと報告を受けた。無事で何よりだ」
「単なる襲撃じゃない。狙いは“核鋼”だった。そしてもう一つ……この店の破壊が目的だった」
「そうか……」
ゲオルグは、懐から一枚の羊皮紙を差し出した。
「これは……?」
「王国の内部で、“灰の楽園”に物資を流している者がいる。
名前が記されていた……“ヴァロア・エスカロット”。」
「……貴族派の筆頭じゃねぇか」
隼人の声に、怒りが滲む。
「この証拠は完全ではない。だが、奴の動きは明らかに不自然だ。
帝国との和平交渉を潰し、軍需を拡大し、騎士団に圧力をかけ続けている」
ゲオルグは視線を鋭くし、告げる。
「我々騎士団は、“正義”に従って動く。
だがこの件、正面から動けば“内戦”になる恐れすらある」
「だからお前は、俺に頼みに来たんだな。“騎士団じゃできねぇこと”を」
「……すまない」
隼人はしばらく黙っていたが、やがて火の粉を見つめながら言った。
「俺は戦士じゃない。鍛冶師だ。けど、“誰に何を託すか”って選び方は、鍛冶師の本分だ」
「今、ヴァロアが何を企んでるかを掴むには……“火花を散らす”しかねぇ」
ゲオルグが口を開く。
「ヴァロアは三日後、“新型武装兵団”の公開演習を行う。王都近衛の選抜隊と共に、だ」
「つまり、その演習に仕込まれた兵器が、“灰の楽園”と繋がっている可能性がある……と」
隼人は頷いた。
「わかった。あんたに代わって、俺が“武器の目”で確かめてやる。
その代わり、クロードとリリィには手を出させるな」
「約束しよう。君の仲間は、我々が守る」
その頃――
王都郊外〈黒煙の谷〉では、クロードたちが“竜骨鉱”を掘り出していた。
「っくそ、この鉱石……ほんとに“生きてる”みたいに暴れるな!」
「リリィ、魔力で包んで!このままじゃ……!」
不意に、谷の奥から唸り声が響いた。
「な、なんの音……?」
「……魔獣か? いや、違う――あれは、“何かが掘り起こされた音”だ」
彼らが採掘したその鉱床の下に、偶然“封印されていた何か”が目覚めようとしていた――。
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