オリンピック選手金メダリストが転生後、最高の武器屋のマスターになった

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【第3章:王都編】 第8話「魂と灰の最終審判」

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王都・審問議事堂前広場――

天を覆うようにして、巨大な機械兵が姿を現した。

その全身は黒鉄の装甲に覆われ、背には翼のような“魔素触手”をたなびかせている。

それは、人の魔力を喰い、命の残滓で動く《灰の契約者》。
王国の闇の中で封じられ、ヴァロアによって復活を遂げた“人類の遺棄兵器”。

 

「貴様に“魂の刃”など……握る資格はない。人はただ従い、兵器はただ命じられればよい!」

ヴァロアは装置を操作し、契約者を駆る。

黒鉄の巨兵が、重魔導砲を構えた。

 

「来るぞ――!」

隼人は咄嗟に飛び込み、**《魂継ぎの刃》**を構えた。

その刀が、淡く光を放ち始める。

「共鳴してる……こいつは“俺だけの刃”じゃねぇ。“守りたい奴ら”の意志が宿ってる……!」

 

第一撃――灰光破砲(アッシュ・ディスチャージ)

巨兵の胸部から放たれた濁った魔導ビームが、地面を抉り、建物を吹き飛ばす。

隼人はその中を飛び込み、刀を逆手に構えて駆けた。

「魂を燃やして作った兵器と、魂を守るために打った刃……
ぶつけてやるよ――この一撃に、全部乗っけてな!!」

 

奥義・魂継ぎ一閃(ソウル・リンク・スラッシュ)!

刃が赤く閃き、隼人の身体と完全に同調する。

一瞬、彼の意識に“仲間たち”の想いが流れ込んだ。

リリィの祈り、クロードの支え、ゲオルグの信頼……すべてが、刀身に宿る。

その刃が――契約者の右腕を、斬り落とした。

 

巨兵が呻くような音を放ち、バランスを崩す。

隼人は地面に滑り込みながら叫んだ。

「こいつは、“使う者の魂を喰う”刃じゃねぇ! “想いを継ぐ”ための刃だって、まだわかんねぇのか!」

 

ヴァロアの顔が歪む。

「ならば――貴様ごと王都を灰に還す! 第二砲、発射用意!」

 

だがその瞬間、上空から青い魔光が降り注いだ。

「……遅れてすまん!」

ゲオルグ率いる騎士団が突入してきた。

空中から魔弓を射る者、機動馬に乗った突撃兵、そして法術士の魔封じ陣――

「隼人! 今だ!!」

 

隼人は、最後の構えを取った。

刀身が白く、赤く、青く――すべての色に染まりながら、刃は天を裂くように伸びていく。

最終奥義・魂継ぎ連舞(ソウル・リレー・ブレイク)!!

「この刃は――皆の魂が繋がってできてる! だから負けねぇ!!」

刃が契約者の胸部コアを真っ直ぐに貫いた。

“命喰い炉”が断ち切られ、兵器の巨体が崩れ落ちる。

灰が舞う――しかし、それは“誰の命”も喰っていない。

 

ヴァロアが地面に崩れ落ちた。

「なぜだ……なぜ、あんな無骨な刃が……この、完全な兵器に……」

隼人は彼に向かって言った。

「お前が捨てた“魂”を、俺は拾った。
そして打ったんだ。“誰かを守るための刃”をな――」

 

 

――その後、ヴァロアは拘束され、議事堂は灰の契約者計画の全容を明かすことになる。

王都には再び、平穏が戻ってきた。

そして《プロメテア》の店先に、今日も炉の音が響く。

 

「さーて、次はどんな注文が来るかな」

隼人が笑った時、その背には――今なお脈打つ《魂継ぎの刃》が静かに眠っていた。

 
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