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【第5章:聖都リュヴァーン編】 第18話「神域の根と、聖樹の芯鉄」
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聖都リュヴァーンの中央にそびえる《聖樹(せいじゅ)》は、光と生命の象徴とされていた。
その幹は空を貫き、数千年もの時を越えてなお、聖なる息吹を放ち続けている。
その根は地の底深く、かつて“神域”と呼ばれた地下迷宮へと伸びており――《聖樹の芯鉄(しんてつ)》は、聖樹の最深部、命の核に宿る金属とされる。
そこに踏み入るには、ただの力では足りない。
試されるのは、覚悟と魂。
隼人とヴァルトは、神殿の審問を経て、聖域の扉を開かれた。
「ここが……神域の根か」
階段を降りきった隼人の足元に広がるのは、青白く光る苔と、巨大な根がうねる地底の世界。
根はまるで生き物のように脈打ち、壁や天井をも貫いている。
空気は重く、まるで呼吸そのものが試されているかのようだった。
「……ここでは“嘘”は通じない。精神と魔力が剥き出しにされる。覚悟して進もう」
ヴァルトの言葉に、隼人は頷いた。
「魂で向き合うんだろ? 望むところだ」
道なき道を、二人は進む。
足元の根がうごめき、まるで意志を持つように進路を試してくる。まるで“選んでいる”かのように――
「……この道は、誰でも通れるわけじゃないってわけか」
「“芯鉄”は、聖樹の記憶そのものだ。選ばれぬ者が触れれば、その魂を燃やされるとも言う」
試される者、隼人。
かつて武を極め、命を賭して戦い抜いた魂は、異世界の地においても揺るぎない光を放っていた。
そして、ついに――
◆
「――見つけた」
地下の最深部、《命の泉》と呼ばれる空間。
そこには巨大な根が絡み合い、中央に黄金に輝く核が脈打っていた。
それが《聖樹の芯鉄》。
しかし、その手前に立ちふさがる存在があった。
人影。
けれどそれは人ではなかった。
白い法衣を纏い、目元を仮面で隠したその存在は、明らかにこの場所の“守護者”だった。
「ここに来る者よ。問う――おまえの“魂”は、何を求めてこの鉄を欲するか」
声は空間に響き渡るが、抑揚も感情もない。
だが、その問いは――重い。
隼人は、一歩前に出た。目を逸らさず、まっすぐに答える。
「俺は、誰かを守れる“本物”の武器を作るために、ここに来た。魂を込めて作った剣で、誰かの未来を切り拓きたい。……それが、俺がこの世界に生きる意味だ」
沈黙。
だが次の瞬間、仮面の守護者がその手を掲げ、虚空から“神鋼の槍”を顕現させた。
「ならば証明せよ。その“願い”が偽りでないことを」
戦いの幕が上がる。
◆
守護者の槍は神速。
空間そのものを裂き、鋭く突き立ててくる。
隼人は避けつつ、カウンターを狙うが、攻撃がまるで読めない。
「ヴァルト、援護を!」
「了解!」
雷の魔弾が飛び交い、隼人の背後を守る。
その間に、隼人は《灰断の剣》を引き抜いた。
熱と冷気、魂と記憶が交錯する地下の中枢。
剣と槍がぶつかり合い、火花と光が爆ぜる。
(速い……でも、負けねえ。俺は――)
「こんなとこで、終わってたまるかッ!!」
叫びと共に、魂を込めた斬撃が、守護者の胸を貫いた。
仮面が砕ける。
中から現れたのは――若き日の騎士の姿だった。
「……見事だ。おまえの魂には、偽りがない」
そう告げると、騎士の姿は静かに消えていった。
そして、隼人の目の前に、《芯鉄》がふわりと宙に浮かび――その手に落ちた。
それは、ただの金属ではない。
意志と記憶を宿した、世界の“心臓”。
◆
「これで、全てが揃ったな」
「ああ……《灰喰い》《氷霊の涙》《聖樹の芯鉄》。魂宿す三つの素材――」
「そして、職人であるお前の魂が揃えば、“真なる武器”が生まれる」
隼人は拳を握った。
戦うための剣ではない。
守るための“希望”を宿す武器を作る。
「さあ、帰るか。次は……鍛冶場だ」
その幹は空を貫き、数千年もの時を越えてなお、聖なる息吹を放ち続けている。
その根は地の底深く、かつて“神域”と呼ばれた地下迷宮へと伸びており――《聖樹の芯鉄(しんてつ)》は、聖樹の最深部、命の核に宿る金属とされる。
そこに踏み入るには、ただの力では足りない。
試されるのは、覚悟と魂。
隼人とヴァルトは、神殿の審問を経て、聖域の扉を開かれた。
「ここが……神域の根か」
階段を降りきった隼人の足元に広がるのは、青白く光る苔と、巨大な根がうねる地底の世界。
根はまるで生き物のように脈打ち、壁や天井をも貫いている。
空気は重く、まるで呼吸そのものが試されているかのようだった。
「……ここでは“嘘”は通じない。精神と魔力が剥き出しにされる。覚悟して進もう」
ヴァルトの言葉に、隼人は頷いた。
「魂で向き合うんだろ? 望むところだ」
道なき道を、二人は進む。
足元の根がうごめき、まるで意志を持つように進路を試してくる。まるで“選んでいる”かのように――
「……この道は、誰でも通れるわけじゃないってわけか」
「“芯鉄”は、聖樹の記憶そのものだ。選ばれぬ者が触れれば、その魂を燃やされるとも言う」
試される者、隼人。
かつて武を極め、命を賭して戦い抜いた魂は、異世界の地においても揺るぎない光を放っていた。
そして、ついに――
◆
「――見つけた」
地下の最深部、《命の泉》と呼ばれる空間。
そこには巨大な根が絡み合い、中央に黄金に輝く核が脈打っていた。
それが《聖樹の芯鉄》。
しかし、その手前に立ちふさがる存在があった。
人影。
けれどそれは人ではなかった。
白い法衣を纏い、目元を仮面で隠したその存在は、明らかにこの場所の“守護者”だった。
「ここに来る者よ。問う――おまえの“魂”は、何を求めてこの鉄を欲するか」
声は空間に響き渡るが、抑揚も感情もない。
だが、その問いは――重い。
隼人は、一歩前に出た。目を逸らさず、まっすぐに答える。
「俺は、誰かを守れる“本物”の武器を作るために、ここに来た。魂を込めて作った剣で、誰かの未来を切り拓きたい。……それが、俺がこの世界に生きる意味だ」
沈黙。
だが次の瞬間、仮面の守護者がその手を掲げ、虚空から“神鋼の槍”を顕現させた。
「ならば証明せよ。その“願い”が偽りでないことを」
戦いの幕が上がる。
◆
守護者の槍は神速。
空間そのものを裂き、鋭く突き立ててくる。
隼人は避けつつ、カウンターを狙うが、攻撃がまるで読めない。
「ヴァルト、援護を!」
「了解!」
雷の魔弾が飛び交い、隼人の背後を守る。
その間に、隼人は《灰断の剣》を引き抜いた。
熱と冷気、魂と記憶が交錯する地下の中枢。
剣と槍がぶつかり合い、火花と光が爆ぜる。
(速い……でも、負けねえ。俺は――)
「こんなとこで、終わってたまるかッ!!」
叫びと共に、魂を込めた斬撃が、守護者の胸を貫いた。
仮面が砕ける。
中から現れたのは――若き日の騎士の姿だった。
「……見事だ。おまえの魂には、偽りがない」
そう告げると、騎士の姿は静かに消えていった。
そして、隼人の目の前に、《芯鉄》がふわりと宙に浮かび――その手に落ちた。
それは、ただの金属ではない。
意志と記憶を宿した、世界の“心臓”。
◆
「これで、全てが揃ったな」
「ああ……《灰喰い》《氷霊の涙》《聖樹の芯鉄》。魂宿す三つの素材――」
「そして、職人であるお前の魂が揃えば、“真なる武器”が生まれる」
隼人は拳を握った。
戦うための剣ではない。
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「さあ、帰るか。次は……鍛冶場だ」
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