15 / 79
ベネットの戦う理由は……
しおりを挟む
結界に辿り着くまで基本逃げ切りスタイル。
特別小さいベネットは途中俺が抱えて逃げる場面もあったが、彼女は小柄なだけあってすばしっこい。回避力は天下一品かもしれない。
そこに先輩達のパーティーによる護衛もあり。無事にウェレル大空洞の入り口で全員が安堵のタメ息を吐いていた。
「しっかし敵が多かったな。お前ら何か魔物を寄せ付ける御守りでも持ってるのか?」
かなり疲労した感じの先輩は、息も絶え絶えそう愚痴る。
御守りなら普通は寄せ付けない物だろう、等と思いながらも答えた。
「あんなもんじゃないですか?」
「いや。俺達はあんな数相手にしていないぞ」
まぁ、ダンジョンなんてのは運もある。全く出ない時だってあるだろう。確かに今回、多すぎだとは思ったが。
「とりあえず先輩、ここまでありがとうございました。僕達はベネットを村まで送ります。そろそろ魔法の制限も解除されると思いますし」
「そうか……じゃあな無能」
最後にそれを言わないと気が済まないのだろうか……等と思いつつも笑顔で返す。
すると先輩は思い出したようにベネットに近付いた。いや、最初からタイミングを伺っていたのだろう。
「ありがとな。後よ……良かったら……俺達と一緒に来る気はないか?」
虫のいい話だ。散々彼女をバカにしたのだから。
ルカが横で露骨に不快な顔をして食ってかかりそうだったが、その前にベネットが普通に断った。
「ありがとうございます。でも、その話はお受け出来ません。私にも色々やりたい事があるので」
「そうか。わかった――――。じゃあな、無能。またどこかで会うかもな」
(だから!何で最後に俺に一発入れてくんだ、コイツは)
俺達は最後まで気に入らない先輩パーティーを見送ってから、ベネットをカプリコ村へと送った。
――――――――――
村に着いた時は既に辺りは暗くなっていた。
ベネットが夕食を作ってくれたのでご馳走になる事にする。彼女の自家野菜を使用したご飯は凄く美味しい。
「今日は本当にありがとうございました!」
「いいのよ。私達も助かったんだし。ところで、どうしてベネットちゃんは泉に行きたかったの?」
そういえばその理由を聞いていなかった。
だが想像はつく。何人も死なせていると思っている彼女の事だ。誰かを守れる強さが欲しかったのだろう。
それは全て君のせいでは無いのだと、伝えなければならないと思い俺は口を開いた。
「ベネット。君の回復魔ほ……」
「趣味です!」
「へ!?」
「魔力の泉って凄く神秘じゃないですかぁ~。私、神秘とか古代のなんちゃらとかに弱いんですよね。それに幻想的な景色とかぁ。だから色んな神秘や絶景を見たいんですよぉ」
(ただのパワースポット好きな女子じゃないか!しかも幻想的って……俺的には、この世界が既にファンタジーですが?)
まさかそんな理由で何人も巻き込んだとは。
死んだ方々も浮かばれないかもしれないが、自業自得と言えば自業自得だった。回復出来ない奴等ならベネットがいなければ、もっと早く死んでいたかもしれないのだし。
「そうなんだ。私も神秘とか大好きなの!気が合うね!」
「ルカ様もですか!?神秘最高ですよね!」
(バカだ。こいつらバカだわ。ってか『様』ってやめろ)
まさかルカも神秘の為に光魔法とか言ってるんじゃないだろうかと不安になってくる所だが。もちろん彼女にはちゃんとした理由があるし。セシルと婚約したくないからだ。
(あれ?その理由も結構どうでもよくね?)
いや。結婚は人生において大事な事なので、どうでもよいわけではない。だが、命を賭ける事かと言われると疑問は残る。
では、俺の理由は。
ルカをセシルに渡したくないから……そう。俺の理由も意外と軽い事に気付いてしまった。
「――――聞いてる?いいよね?ルシアン」
「え?何の話?」
「私をルシアン様とルカ様の冒険に付き合わせてください!」
話がぶっ飛んでいた。
「だって、ベネット。あいつらの誘い、断ってたじゃないか。やりたい事があるんじゃないのか?」
「私のやりたい事は冒険です」
「それなら。俺達じゃなくても強い奴等の方が安全だぞ?」
俺の言ってる事は正論だった。危険な冒険に行く相手を選ぶ権利は優秀な回復魔法使いの彼女にある。仲間選びは、自分が生きるか死ぬかを選択するのと同じ事なのだ。
「ルシアン様、私の魔法を誉めてくれたから……だから。その……良かったら…………あっ!肩の傷を治したからとか、ご飯食べさせてあげたからとか、そんな恩を売る事言ってるんじゃありませんよ!?ダメ……ですか?」
(コイツ絶対わざとだろ!)
「いいじゃんルシアン。ベネットちゃんは神秘が好きなんだよ!即戦力だよ」
「あ、あぁ。そうだな。彼女が良いなら俺はいいよ」
「ありがとうございます!これからも、よろしくお願いします!」
何かもう女子二人に任せればいいと思い始めた。
翌朝。
俺達は三つ目の神秘……いや、魔力の泉を求めて次の目的地へと向かう事にした。
「――――へぇ~。サラン王国は御二人共初めてなのですか。サランには昨日のウェレルのような水の街の他に、断崖絶壁にある街カホンや、地中の街ドリル等、破天荒な造りの場所が多いのですよ。まさに神秘ですよね」
サラン王国の領土は詰まる所が地形に恵まれていない。
その為、破天荒な造り方をしなければならないので必然的に変わった街並みが多いのだ。
一方で俺とルカが生まれ育ったゼクルート王国は土地に恵まれている。
ここにきて漸く最初の王国の名前が出た事に戸惑いを覚える所だろうが、次に向かうのはサラン王国の首都であり、【ベインハッツ城】が聳え建つ城下町キネスモだ。
そして、キネスモにはメインクエストのイベントがある。
「ベネットちゃん。キネスモまでは長いの?」
「はい。山岳を越えるので徒歩だと二週間ですね」
「え!?そんなに?」
「大丈夫ですよ。飛竜でビューン!して、1日でパッ!ですよ」
(飛竜でビューン。1日でパッ……!?)
何食わぬ顔でベネットはルートとは違う方向に向かって歩いて行く。俺達もそれに続いた。
特別小さいベネットは途中俺が抱えて逃げる場面もあったが、彼女は小柄なだけあってすばしっこい。回避力は天下一品かもしれない。
そこに先輩達のパーティーによる護衛もあり。無事にウェレル大空洞の入り口で全員が安堵のタメ息を吐いていた。
「しっかし敵が多かったな。お前ら何か魔物を寄せ付ける御守りでも持ってるのか?」
かなり疲労した感じの先輩は、息も絶え絶えそう愚痴る。
御守りなら普通は寄せ付けない物だろう、等と思いながらも答えた。
「あんなもんじゃないですか?」
「いや。俺達はあんな数相手にしていないぞ」
まぁ、ダンジョンなんてのは運もある。全く出ない時だってあるだろう。確かに今回、多すぎだとは思ったが。
「とりあえず先輩、ここまでありがとうございました。僕達はベネットを村まで送ります。そろそろ魔法の制限も解除されると思いますし」
「そうか……じゃあな無能」
最後にそれを言わないと気が済まないのだろうか……等と思いつつも笑顔で返す。
すると先輩は思い出したようにベネットに近付いた。いや、最初からタイミングを伺っていたのだろう。
「ありがとな。後よ……良かったら……俺達と一緒に来る気はないか?」
虫のいい話だ。散々彼女をバカにしたのだから。
ルカが横で露骨に不快な顔をして食ってかかりそうだったが、その前にベネットが普通に断った。
「ありがとうございます。でも、その話はお受け出来ません。私にも色々やりたい事があるので」
「そうか。わかった――――。じゃあな、無能。またどこかで会うかもな」
(だから!何で最後に俺に一発入れてくんだ、コイツは)
俺達は最後まで気に入らない先輩パーティーを見送ってから、ベネットをカプリコ村へと送った。
――――――――――
村に着いた時は既に辺りは暗くなっていた。
ベネットが夕食を作ってくれたのでご馳走になる事にする。彼女の自家野菜を使用したご飯は凄く美味しい。
「今日は本当にありがとうございました!」
「いいのよ。私達も助かったんだし。ところで、どうしてベネットちゃんは泉に行きたかったの?」
そういえばその理由を聞いていなかった。
だが想像はつく。何人も死なせていると思っている彼女の事だ。誰かを守れる強さが欲しかったのだろう。
それは全て君のせいでは無いのだと、伝えなければならないと思い俺は口を開いた。
「ベネット。君の回復魔ほ……」
「趣味です!」
「へ!?」
「魔力の泉って凄く神秘じゃないですかぁ~。私、神秘とか古代のなんちゃらとかに弱いんですよね。それに幻想的な景色とかぁ。だから色んな神秘や絶景を見たいんですよぉ」
(ただのパワースポット好きな女子じゃないか!しかも幻想的って……俺的には、この世界が既にファンタジーですが?)
まさかそんな理由で何人も巻き込んだとは。
死んだ方々も浮かばれないかもしれないが、自業自得と言えば自業自得だった。回復出来ない奴等ならベネットがいなければ、もっと早く死んでいたかもしれないのだし。
「そうなんだ。私も神秘とか大好きなの!気が合うね!」
「ルカ様もですか!?神秘最高ですよね!」
(バカだ。こいつらバカだわ。ってか『様』ってやめろ)
まさかルカも神秘の為に光魔法とか言ってるんじゃないだろうかと不安になってくる所だが。もちろん彼女にはちゃんとした理由があるし。セシルと婚約したくないからだ。
(あれ?その理由も結構どうでもよくね?)
いや。結婚は人生において大事な事なので、どうでもよいわけではない。だが、命を賭ける事かと言われると疑問は残る。
では、俺の理由は。
ルカをセシルに渡したくないから……そう。俺の理由も意外と軽い事に気付いてしまった。
「――――聞いてる?いいよね?ルシアン」
「え?何の話?」
「私をルシアン様とルカ様の冒険に付き合わせてください!」
話がぶっ飛んでいた。
「だって、ベネット。あいつらの誘い、断ってたじゃないか。やりたい事があるんじゃないのか?」
「私のやりたい事は冒険です」
「それなら。俺達じゃなくても強い奴等の方が安全だぞ?」
俺の言ってる事は正論だった。危険な冒険に行く相手を選ぶ権利は優秀な回復魔法使いの彼女にある。仲間選びは、自分が生きるか死ぬかを選択するのと同じ事なのだ。
「ルシアン様、私の魔法を誉めてくれたから……だから。その……良かったら…………あっ!肩の傷を治したからとか、ご飯食べさせてあげたからとか、そんな恩を売る事言ってるんじゃありませんよ!?ダメ……ですか?」
(コイツ絶対わざとだろ!)
「いいじゃんルシアン。ベネットちゃんは神秘が好きなんだよ!即戦力だよ」
「あ、あぁ。そうだな。彼女が良いなら俺はいいよ」
「ありがとうございます!これからも、よろしくお願いします!」
何かもう女子二人に任せればいいと思い始めた。
翌朝。
俺達は三つ目の神秘……いや、魔力の泉を求めて次の目的地へと向かう事にした。
「――――へぇ~。サラン王国は御二人共初めてなのですか。サランには昨日のウェレルのような水の街の他に、断崖絶壁にある街カホンや、地中の街ドリル等、破天荒な造りの場所が多いのですよ。まさに神秘ですよね」
サラン王国の領土は詰まる所が地形に恵まれていない。
その為、破天荒な造り方をしなければならないので必然的に変わった街並みが多いのだ。
一方で俺とルカが生まれ育ったゼクルート王国は土地に恵まれている。
ここにきて漸く最初の王国の名前が出た事に戸惑いを覚える所だろうが、次に向かうのはサラン王国の首都であり、【ベインハッツ城】が聳え建つ城下町キネスモだ。
そして、キネスモにはメインクエストのイベントがある。
「ベネットちゃん。キネスモまでは長いの?」
「はい。山岳を越えるので徒歩だと二週間ですね」
「え!?そんなに?」
「大丈夫ですよ。飛竜でビューン!して、1日でパッ!ですよ」
(飛竜でビューン。1日でパッ……!?)
何食わぬ顔でベネットはルートとは違う方向に向かって歩いて行く。俺達もそれに続いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる