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ゲームの記憶とイベントキャラの運命
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何の面白みも神秘も無い狭い道を歩いて行くと、山の中に煉瓦造りの大きな建物と丸太で組まれた小さな小屋がある。
煉瓦造りの建物からは何やら『ギャアギャア』と獣のような声が聞こえてくる。
大体の予想から飛竜とやらがいるのかもしれない。
そしてベネットはノックもせずに小屋の扉を開けた。
「おじいちゃーん!」
「なんじゃ!?おぉ!ベネか!どうした?」
「キネスモまで行きたいの。頼める?」
話を聞けばベネットの祖父は、ここで飛竜の世話をしているという。それならばベネットと共に暮らせば……と思ったが、飛竜を街中に連れてく事は危険だし不可能だった。
それに、ベネットは誰にも迷惑かけずに独り立ちしたかったようなのだ。
『いつかは冒険者』の夢を抱いていた彼女だから、その判断も分からなくないのだが。随分としっかりしている。
「――――そうか。遂にベネも冒険にのぉ。冒険者の皆様。どうか孫をよろしくお願いしますじゃ」
「いえ。僕らこそ彼女に助けられていますから」
「そうですか。ベネの魔法は両親譲りでしての。この子の両親は嘗て王宮にも仕えていた優秀な魔法使いだったのですじゃ」
なるほど。俺の両親が優秀なのと同じで彼女の両親も優秀だったのだ。それでも平民が生まれるのだから、遺伝もクソもあったものでは無い。
俺と違ってベネットは力を受け継げた分、羨ましいのは間違いないのだが。
「それでは、ワシの自慢の飛竜を紹介しよう!」
俺達はおじいさんについて行き、煉瓦造りの建物の中に入って驚いた。
そこにいたのは長さ十五メートルはある竜。
まぁドラゴンも竜だが、飛竜と聞いて俺が想像したのは所謂、四本足で歩行出来るトカゲタイプに羽の生えたドラゴンだった。
しかしこれは蛇のようなタイプ。まさに『竜』って感じだ。
そういえば、日本昔○なしというアニメや、ネバー○ンディングストーリーという映画を見て育った俺は、竜に乗る少年を見て憧れていた記憶がある。
「これが自慢の飛竜で名前がコアーアイじゃ。竜は短命での。こいつは既に七代目になる」
コアーアイ。コア・アイ。そして七代目なので。【Corei7】
CPUの名前だな。この安直なネーミングは、確かに俺が考えた名前に違いなかった。そういえば、飛竜なるものを使うイベントもあった気がする。
「元気してた?コアちゃん。よしよし……」
「ベネットちゃん怖くないのね」
「だって昔から見てるから、お友達だよ。ルカ様も触ってごらん。フカフカして気持ちいいよ」
飛竜に触るベネットを見て俺は突如思い出した。
それは【マジックイーター】の比較的後期に作ったイベントで、八番目の魔力の泉の場所に関係する。
八番目の魔力の泉は、このサラン国最大級の岩山の頂きにあり、まともに登る事は叶わない。
そこで情報を元に辿り着くのがベネディクトリーヌ。つまりベネットだったのだ。ベネットのおじいさんが飛竜を持っている事を知り、彼女に頼みに行く。
そして彼女に望みのアイテムを届けたプレイヤーは、おじいさんを紹介してもらうといったイベントの流れだったはず。
しかし――――
そこに泉による魔力アップを阻止しようと、魔王軍四魔将の一人『カリザリス』が現れる。そして、カリザリスの手によって飛竜とおじいさん、そしてベネディクトリーヌは身体を貫かれた。
プレイヤーがイベントバトルでカリザリスを倒すと、瀕死のベネディクトリーヌは最後の力を振り絞り飛竜に触れるのだ。
すると蘇生魔法が発動して飛竜は生き返り、主人公達は泉への移動手段を手に入れる事ができる。
『どうか私達の仇を……』
そう言い残して最後に彼女は――――死ぬ。
ベネットはイベントキャラだったのだ。何故今まで気付かなかったのか。
「ルシアン?どうしたの?」
「あ?いや。何でもない」
「さては、ルシアン。高い所が苦手なんでしょ~」
そう俺をからかいながらルカとベネットが笑う。
しかし、俺はそれどころではなかった。
(あのイベントはまだ先。いや、そもそも始まるかどうかもわからねぇ。これはゲームじゃないんだ!だったら俺もルカも主人公ではないはずだ)
ゲームでは、この時点で既に魔王軍の将軍が現れているはずだった。それが無いという事は、やはりゲームとは違う。もしくは、まだその時ではないのかもしれない。
メインクエストの始まり方も少し違ったし、きっとゲームのようにはならないと、そう思いながらも辺りを警戒する自分がいた。
「な、何言ってんだよ。俺はバカだから高い所は好きだぜ」
「は?何それ?」
「バカと煙は高い所が好きって言うだろ?」
「アハハ。聞いた事ないわよそんなの」
「行きますよ、ルシアン様。乗ってください!」
俺は飛竜の上によじ登る。直ぐにベネットのおじいさんが操る飛竜は垂直に空高く飛び上がった。意外と静かに。
「スゴーい!ルシアン、あそこ!村があんなに小さい!」
「思った以上に高く上がるんだなぁ」
「皆。しっかり掴まっておるんじゃぞ」
「さぁ、行きましょう!王都へ!」
上空の強めの風を全身に受けながら、俺達は次の目的地であるキネスモ目指して飛びたった。
その道中で俺は一つの山の頂きを見詰めていた。ゲームでは第八の泉があるはずの場所だが…………そこは確かに存在した。
今はとても入れる強さでは無いが。いつかあそこに行かなければならない時が来る。
(絶対にゲーム通りにはさせねぇ!)
俺は心に強く誓った。
それからユックリと飛竜は移動した。それでも山を歩く事を考えると物凄い早さで目的地に向かっている事になる。
四時間程飛んだ所で地上に近い所で何かが見えた。
(何だあれ?鳥か?――――違う!)
「ガーゴイルの大軍だ!」
それは間違いなく地上ではなく、俺達の高度と地上の半ば辺りを飛んでいる。向かっているのはおそらく俺達と同じ、王都キネスモだ。
煉瓦造りの建物からは何やら『ギャアギャア』と獣のような声が聞こえてくる。
大体の予想から飛竜とやらがいるのかもしれない。
そしてベネットはノックもせずに小屋の扉を開けた。
「おじいちゃーん!」
「なんじゃ!?おぉ!ベネか!どうした?」
「キネスモまで行きたいの。頼める?」
話を聞けばベネットの祖父は、ここで飛竜の世話をしているという。それならばベネットと共に暮らせば……と思ったが、飛竜を街中に連れてく事は危険だし不可能だった。
それに、ベネットは誰にも迷惑かけずに独り立ちしたかったようなのだ。
『いつかは冒険者』の夢を抱いていた彼女だから、その判断も分からなくないのだが。随分としっかりしている。
「――――そうか。遂にベネも冒険にのぉ。冒険者の皆様。どうか孫をよろしくお願いしますじゃ」
「いえ。僕らこそ彼女に助けられていますから」
「そうですか。ベネの魔法は両親譲りでしての。この子の両親は嘗て王宮にも仕えていた優秀な魔法使いだったのですじゃ」
なるほど。俺の両親が優秀なのと同じで彼女の両親も優秀だったのだ。それでも平民が生まれるのだから、遺伝もクソもあったものでは無い。
俺と違ってベネットは力を受け継げた分、羨ましいのは間違いないのだが。
「それでは、ワシの自慢の飛竜を紹介しよう!」
俺達はおじいさんについて行き、煉瓦造りの建物の中に入って驚いた。
そこにいたのは長さ十五メートルはある竜。
まぁドラゴンも竜だが、飛竜と聞いて俺が想像したのは所謂、四本足で歩行出来るトカゲタイプに羽の生えたドラゴンだった。
しかしこれは蛇のようなタイプ。まさに『竜』って感じだ。
そういえば、日本昔○なしというアニメや、ネバー○ンディングストーリーという映画を見て育った俺は、竜に乗る少年を見て憧れていた記憶がある。
「これが自慢の飛竜で名前がコアーアイじゃ。竜は短命での。こいつは既に七代目になる」
コアーアイ。コア・アイ。そして七代目なので。【Corei7】
CPUの名前だな。この安直なネーミングは、確かに俺が考えた名前に違いなかった。そういえば、飛竜なるものを使うイベントもあった気がする。
「元気してた?コアちゃん。よしよし……」
「ベネットちゃん怖くないのね」
「だって昔から見てるから、お友達だよ。ルカ様も触ってごらん。フカフカして気持ちいいよ」
飛竜に触るベネットを見て俺は突如思い出した。
それは【マジックイーター】の比較的後期に作ったイベントで、八番目の魔力の泉の場所に関係する。
八番目の魔力の泉は、このサラン国最大級の岩山の頂きにあり、まともに登る事は叶わない。
そこで情報を元に辿り着くのがベネディクトリーヌ。つまりベネットだったのだ。ベネットのおじいさんが飛竜を持っている事を知り、彼女に頼みに行く。
そして彼女に望みのアイテムを届けたプレイヤーは、おじいさんを紹介してもらうといったイベントの流れだったはず。
しかし――――
そこに泉による魔力アップを阻止しようと、魔王軍四魔将の一人『カリザリス』が現れる。そして、カリザリスの手によって飛竜とおじいさん、そしてベネディクトリーヌは身体を貫かれた。
プレイヤーがイベントバトルでカリザリスを倒すと、瀕死のベネディクトリーヌは最後の力を振り絞り飛竜に触れるのだ。
すると蘇生魔法が発動して飛竜は生き返り、主人公達は泉への移動手段を手に入れる事ができる。
『どうか私達の仇を……』
そう言い残して最後に彼女は――――死ぬ。
ベネットはイベントキャラだったのだ。何故今まで気付かなかったのか。
「ルシアン?どうしたの?」
「あ?いや。何でもない」
「さては、ルシアン。高い所が苦手なんでしょ~」
そう俺をからかいながらルカとベネットが笑う。
しかし、俺はそれどころではなかった。
(あのイベントはまだ先。いや、そもそも始まるかどうかもわからねぇ。これはゲームじゃないんだ!だったら俺もルカも主人公ではないはずだ)
ゲームでは、この時点で既に魔王軍の将軍が現れているはずだった。それが無いという事は、やはりゲームとは違う。もしくは、まだその時ではないのかもしれない。
メインクエストの始まり方も少し違ったし、きっとゲームのようにはならないと、そう思いながらも辺りを警戒する自分がいた。
「な、何言ってんだよ。俺はバカだから高い所は好きだぜ」
「は?何それ?」
「バカと煙は高い所が好きって言うだろ?」
「アハハ。聞いた事ないわよそんなの」
「行きますよ、ルシアン様。乗ってください!」
俺は飛竜の上によじ登る。直ぐにベネットのおじいさんが操る飛竜は垂直に空高く飛び上がった。意外と静かに。
「スゴーい!ルシアン、あそこ!村があんなに小さい!」
「思った以上に高く上がるんだなぁ」
「皆。しっかり掴まっておるんじゃぞ」
「さぁ、行きましょう!王都へ!」
上空の強めの風を全身に受けながら、俺達は次の目的地であるキネスモ目指して飛びたった。
その道中で俺は一つの山の頂きを見詰めていた。ゲームでは第八の泉があるはずの場所だが…………そこは確かに存在した。
今はとても入れる強さでは無いが。いつかあそこに行かなければならない時が来る。
(絶対にゲーム通りにはさせねぇ!)
俺は心に強く誓った。
それからユックリと飛竜は移動した。それでも山を歩く事を考えると物凄い早さで目的地に向かっている事になる。
四時間程飛んだ所で地上に近い所で何かが見えた。
(何だあれ?鳥か?――――違う!)
「ガーゴイルの大軍だ!」
それは間違いなく地上ではなく、俺達の高度と地上の半ば辺りを飛んでいる。向かっているのはおそらく俺達と同じ、王都キネスモだ。
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