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場は予期せぬ共闘へと……
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俺が選んだ道は、城への遠回りルート。
それでいて、最も閑散としたエリアを通過する道。
最初、この街に来た時。ある程度は街の案内図等で確認はしていた。
ここは魔王軍本拠地が地下にある。常に道は知っておかなければ逃げる時にもどうしようもない。
居住区や商業区は朝から賑わいがある。そこはまず通らないと考えると必然的に工業区と言われる場所だ。
昔から悪者は工業地帯で戦うものだ。
何とか戦隊とか何とかライダーとかは、何故か何もない採掘現場で戦ったりするが、刑事物のドラマとか見るとコンテナ埠頭とかが多いし。
ヤンキー物や、ヤクザ物ですら、何故か使われていない廃工場にたむろったりしている。
なんて理由では無いが――――
単純に早朝なら工業区はまだ人が少ない。
前世の一般的工場とかは朝八時~九時勤務が多かったし、この世界でも早朝は働く人も居住区にいる。
商業区は店が多いので。仕入れやら、なんやらで朝が早い。これは、どこの世界でも同じだ。
そんな名探偵コ○ン張りの推理を展開しながら俺は走っていた。だが、一向に誰の姿も見えぬ。
どうやら、俺の行動はワングが想定していたより遅い方だったようだ。
グルッと無駄に遠回りした挙げ句。城に辿り付くと、何も言わずとも城の門が開かれた。門番達の表情は険しい。
これは最初、俺がここに来た時と同じ状況。つまり……入って来いって事だ。
こうなったら真っ向勝負しかない。
最初はワングに案内してもらったし、人質探しの時は行き当たりばったりだったので、迷宮を抜けれるかどうかの不安は残ったのだが。その心配は無かった。
俺が玉座の間に入ると、そこはいつもの雰囲気とは違った。
レッドカーペットの両端には相当な数の兵士が立ち並び、玉座にはデモンズが座っていた。一気に王宮らしくなってしまった。
その隣にはワング。
ワングの隣には兵士に捕らえられたルカとベネット。
俺の姿を見るなり、ルカとベネットが必死で逃げ出そうと暴れるが二人の兵士に押さえ付けられた。
「なるほど。やはり未来予知は使い物にならんようだ」
口を開いたのはデモンズ。ワングが報告したのだろう。俺自身は今だ自分がブライトだとは思っていない。未来予知が無くて当然だ。
寧ろ、ワングに先を越されているくらいだから。
「言っておくが、俺は魔王なんかじゃねぇぞ」
俺がデモンズを睨み付け言い放つも。余裕すら感じる穏やかな声でデモンズは返してきた。
「残念だが、それはお前が分かっていないだけの事だ。既にお前の中の魔王様のスコタディは目覚めている。後は、我が魔王様を返してもらうだけの事だ」
「な、何言ってんだ……くっ!」
デモンズの言葉を引き金に、再び激しい頭痛が襲った。
すると、デモンズが玉座を立ち上がり俺に近付いてくる。そして俺の頭におぞましい爪のある大きな手を置いた。
「時は満ちた。我が知りうる魔王様の記憶、その脳内に直接認知させてやろう」
(なっ!そんな事出来るんかよ!無茶苦茶だろ!)
そんな事を考えられたのも一瞬だった。
途端に俺の頭は、弾け飛ぶのではないかと思う程の痛みと共に、様々な悪の歴史が走馬燈のように甦ってきたのだ。
それがデモンズに見せられている記憶なのか、俺の中で甦ってきた記憶なのかの判断はつかない。
だが、確実に自分の意識は薄れていった。死の予兆だ。
゛我は魔界の王……、我は魔界の王なり…… ゛
何かに支配されそうだった。
それが魔王だという事は今更考えるまでもない。やはり俺には魔王のスコタディが宿っていたのかと理解した。
しかし、一つだけ不思議だった。脳の奥から響くその者は言っているのだ。
――――『我と』
(何だよ。魔王は自分を我とは呼ばないんじゃなかったか?)
結局、ワングに全て騙されていたのだ。所謂、誘導尋問ってやつだ。奴もあの時は半信半疑だったのだろう。
それで俺に自ら魔王が覚醒していないと自白させたのだ。賢すぎる。俺とワングは互いに騙す、ライアーゲーム状態だったわけか。
そして俺の完敗だったのだ。
このゲームはバットエンドで終わる。そう思った瞬間、何故か頭の痛みが少し和らいだ。
自分の視界が戻って来て、俺は目の前の光景に驚いた。
「き、貴様……何をしている。何のつもりだワングぅ!!」
デモンズは後ろを振り返り叫んだ。程なくして、俺の目の前で血反吐を吐いて悪魔は崩れ落ちた。
その後ろには、デモンズの背中にダガーを深く刺し込むワングの姿があった。
(なんだ?これ……?)
暫く頭が働かなかったが、回りの兵士達が一気にガーゴイルへと姿を変えた。その標的は俺では無く、デモンズを刺したワングに違いなかった。
数は軽く百を越えている。ルカとベネットは棄てられるように解放された。
ワングはダガー、一本でガーゴイルとやりあうつもりだ。ルカとベネットが直ぐにガーゴイルへの攻撃を開始する。
この場はワングに加担すると判断したのだろう。しかし、ガーゴイルは最上位種。その攻撃は今までの奴等と比べ物にならない。そして、数の暴力。
元々戦闘能力の乏しいワングでは対処出来る筈も無かった。
俺も剣を抜いた。
ワングの裏切りはこの際置いて、目の前の最悪の状況を打破する為に俺は剣を振った。
「ルカぁ!!」
直ぐにルカから俺の剣に向けて稲妻が走った。それを剣で受けるようにすると、剣は黄色く発光する。
しっかり斬れれば一撃で決まる。しかし、中には剣で防いでくる奴もいる程の手練れのガーゴイル。
そんな剣など、簡単にへし折って俺の魔鉱石の剣はガーゴイルを斬る。しかし、剣一本間に入るだけで生き残る。
想像以上に強いのだ。それでも時間をかけて少しずつ始末していく。ルカやベネットを守りながら。
ワングも必死だ。見たこと無い苦痛の表情を浮かべている。
頭脳では勝てなかったが、肉体的には俺の方が上だ。なんて、今はどうでも良い優越感を覚える。
しかし、戦闘時間が長引く程に疲労が蓄積する。俺の剣の魔力が切れ。俺達も既に限界だが残りは一体だった。
その一体と戦っていたワング。
ガーゴイルの一撃でワングのダガーが弾かれた――――
振り戻ってきたガーゴイルの剣は、ワングの頭上から振り下ろされた。
それでいて、最も閑散としたエリアを通過する道。
最初、この街に来た時。ある程度は街の案内図等で確認はしていた。
ここは魔王軍本拠地が地下にある。常に道は知っておかなければ逃げる時にもどうしようもない。
居住区や商業区は朝から賑わいがある。そこはまず通らないと考えると必然的に工業区と言われる場所だ。
昔から悪者は工業地帯で戦うものだ。
何とか戦隊とか何とかライダーとかは、何故か何もない採掘現場で戦ったりするが、刑事物のドラマとか見るとコンテナ埠頭とかが多いし。
ヤンキー物や、ヤクザ物ですら、何故か使われていない廃工場にたむろったりしている。
なんて理由では無いが――――
単純に早朝なら工業区はまだ人が少ない。
前世の一般的工場とかは朝八時~九時勤務が多かったし、この世界でも早朝は働く人も居住区にいる。
商業区は店が多いので。仕入れやら、なんやらで朝が早い。これは、どこの世界でも同じだ。
そんな名探偵コ○ン張りの推理を展開しながら俺は走っていた。だが、一向に誰の姿も見えぬ。
どうやら、俺の行動はワングが想定していたより遅い方だったようだ。
グルッと無駄に遠回りした挙げ句。城に辿り付くと、何も言わずとも城の門が開かれた。門番達の表情は険しい。
これは最初、俺がここに来た時と同じ状況。つまり……入って来いって事だ。
こうなったら真っ向勝負しかない。
最初はワングに案内してもらったし、人質探しの時は行き当たりばったりだったので、迷宮を抜けれるかどうかの不安は残ったのだが。その心配は無かった。
俺が玉座の間に入ると、そこはいつもの雰囲気とは違った。
レッドカーペットの両端には相当な数の兵士が立ち並び、玉座にはデモンズが座っていた。一気に王宮らしくなってしまった。
その隣にはワング。
ワングの隣には兵士に捕らえられたルカとベネット。
俺の姿を見るなり、ルカとベネットが必死で逃げ出そうと暴れるが二人の兵士に押さえ付けられた。
「なるほど。やはり未来予知は使い物にならんようだ」
口を開いたのはデモンズ。ワングが報告したのだろう。俺自身は今だ自分がブライトだとは思っていない。未来予知が無くて当然だ。
寧ろ、ワングに先を越されているくらいだから。
「言っておくが、俺は魔王なんかじゃねぇぞ」
俺がデモンズを睨み付け言い放つも。余裕すら感じる穏やかな声でデモンズは返してきた。
「残念だが、それはお前が分かっていないだけの事だ。既にお前の中の魔王様のスコタディは目覚めている。後は、我が魔王様を返してもらうだけの事だ」
「な、何言ってんだ……くっ!」
デモンズの言葉を引き金に、再び激しい頭痛が襲った。
すると、デモンズが玉座を立ち上がり俺に近付いてくる。そして俺の頭におぞましい爪のある大きな手を置いた。
「時は満ちた。我が知りうる魔王様の記憶、その脳内に直接認知させてやろう」
(なっ!そんな事出来るんかよ!無茶苦茶だろ!)
そんな事を考えられたのも一瞬だった。
途端に俺の頭は、弾け飛ぶのではないかと思う程の痛みと共に、様々な悪の歴史が走馬燈のように甦ってきたのだ。
それがデモンズに見せられている記憶なのか、俺の中で甦ってきた記憶なのかの判断はつかない。
だが、確実に自分の意識は薄れていった。死の予兆だ。
゛我は魔界の王……、我は魔界の王なり…… ゛
何かに支配されそうだった。
それが魔王だという事は今更考えるまでもない。やはり俺には魔王のスコタディが宿っていたのかと理解した。
しかし、一つだけ不思議だった。脳の奥から響くその者は言っているのだ。
――――『我と』
(何だよ。魔王は自分を我とは呼ばないんじゃなかったか?)
結局、ワングに全て騙されていたのだ。所謂、誘導尋問ってやつだ。奴もあの時は半信半疑だったのだろう。
それで俺に自ら魔王が覚醒していないと自白させたのだ。賢すぎる。俺とワングは互いに騙す、ライアーゲーム状態だったわけか。
そして俺の完敗だったのだ。
このゲームはバットエンドで終わる。そう思った瞬間、何故か頭の痛みが少し和らいだ。
自分の視界が戻って来て、俺は目の前の光景に驚いた。
「き、貴様……何をしている。何のつもりだワングぅ!!」
デモンズは後ろを振り返り叫んだ。程なくして、俺の目の前で血反吐を吐いて悪魔は崩れ落ちた。
その後ろには、デモンズの背中にダガーを深く刺し込むワングの姿があった。
(なんだ?これ……?)
暫く頭が働かなかったが、回りの兵士達が一気にガーゴイルへと姿を変えた。その標的は俺では無く、デモンズを刺したワングに違いなかった。
数は軽く百を越えている。ルカとベネットは棄てられるように解放された。
ワングはダガー、一本でガーゴイルとやりあうつもりだ。ルカとベネットが直ぐにガーゴイルへの攻撃を開始する。
この場はワングに加担すると判断したのだろう。しかし、ガーゴイルは最上位種。その攻撃は今までの奴等と比べ物にならない。そして、数の暴力。
元々戦闘能力の乏しいワングでは対処出来る筈も無かった。
俺も剣を抜いた。
ワングの裏切りはこの際置いて、目の前の最悪の状況を打破する為に俺は剣を振った。
「ルカぁ!!」
直ぐにルカから俺の剣に向けて稲妻が走った。それを剣で受けるようにすると、剣は黄色く発光する。
しっかり斬れれば一撃で決まる。しかし、中には剣で防いでくる奴もいる程の手練れのガーゴイル。
そんな剣など、簡単にへし折って俺の魔鉱石の剣はガーゴイルを斬る。しかし、剣一本間に入るだけで生き残る。
想像以上に強いのだ。それでも時間をかけて少しずつ始末していく。ルカやベネットを守りながら。
ワングも必死だ。見たこと無い苦痛の表情を浮かべている。
頭脳では勝てなかったが、肉体的には俺の方が上だ。なんて、今はどうでも良い優越感を覚える。
しかし、戦闘時間が長引く程に疲労が蓄積する。俺の剣の魔力が切れ。俺達も既に限界だが残りは一体だった。
その一体と戦っていたワング。
ガーゴイルの一撃でワングのダガーが弾かれた――――
振り戻ってきたガーゴイルの剣は、ワングの頭上から振り下ろされた。
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